サムスンの決定はなぜ世界一速いのか (角川oneテーマ21 C 200)

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  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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  • Amazon.co.jp ・本 (186ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047102828

作品紹介・あらすじ

世界の新興市場を、最速で制覇する。サムスン式"ボトムアップ"決定術とは。

感想・レビュー・書評

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  • サムスンの業績が伸びている理由を、元サムスンの取締役である筆者が、日本企業との違いを紹介しながら説明している本。その理由を簡単にまとめると下記の通り。

    ①トップダウン方式ではなく、ダウントップ方式を採用している(トップはざくっとした方向性を示すだけ。あとは下の人間が物事を決定し、トップに報告だけする)
    ②とりあえずやってみる精神(日本は「石橋を叩いて渡る」精神)
    ③グローバル化したものづくり(各地域ごとのニーズに合わせて商品を開発する。その為にサムスンは、携帯電話だけでも年間何万機種と生産している!)
    ④③を可能にする為に、全て自前でつくるのではなく、ある程度アウトソーシングしている。

    以上、よく言われていることだが、本書では色々な例が挙げられていて、納得感があった。今後、サムスンについて書かれた他の本も読んでみたい。

  • 書いてあることはシンプル。
    サムスンのやり方が今の世界に、あっているから日本の企業より業績がいいんだと。
    ものづくりというけど
    じゃあ、どんなものを作るの?
    という部分が圧倒的にサムスンのが
    社会に合わせてきている。

    この部分のリサーチにもものすごくお金を使っている。

    機能が沢山ついてて、それが高い基準だったらいいんでしょ?
    よくない。

    求めてないもの作っても自己満足。

    で、
    つまり決定力が大事だよと。
    変えていくことを恐れず、決定していくことが大事だよ。と。

    石橋を叩いて渡る
    ではなく
    腐った橋をわたって壊す。

    このぐらいの覚悟と勇気を持って
    決断せよ。
    そうしなければおいてかれるよと。

    ただし日本の技術はまだまだ貯金があり
    サムスンより上である。

    舵取りを間違えなければ巻き返せる。

    電化製品メーカーに務めたいという願望はないけれど、
    非常に参考になりました。

  • 内容は簡潔でメッセージもわかりやすい。しかし、繰り返しが多く、エピソードも含めてあまり深くはない。10年以上前の本だが、今でも通じる。

  • 現状のサムスンの成功についての整理が目的。

    ・プロセスイノベーション、見える化、見せる化によるコスト低減
    ・各市場別に適切な価格設定。そこに合わせた原価目標設定
    ・現地のニーズに合わせた多品種少量生産を可能とする
    ・各地に散る「地域専門家」の育成


    組織、リーダー
    ・会長の危機意識。
    ・IMF危機によってもたらされた社員にも強い危機意識
    ・トップダウンではなくボトムアップ
    ・トップは全体の戦略を指し示す。明確化する。一定の裁量権を下の人間に与える。

  • サムスンの特徴がわかる。
    すべてが良いわけではないが、見習うべき点も多い。
    ただ、日本人らしさをどこで出すか、よく考えることが必要

  • 著者の前著「危機の経営 サムスンを世界一企業に変えた3つのイノベーション」と余り代わり映えのしない内容。

  • 日立、日本鋼管でCADシステムの開発に従事し、その後サムスンに引き抜かれて10年近くサムスンの役員としてCADシステム導入を主導した著者が、サムスンが日本企業を凌駕していき、一方日本企業はかつての地位を失い凋落していった、その原因を分析し、警鐘を鳴らした書。

    サムスンは、アジア通貨危機以降、日本企業に追随するのをやめ、日本企業と違った道、すなわち過剰品質にならないグローカルな製品開発やデジタル化・モジュール化によるコストダウン、
    デザインや価額等の「表の競争力」重視の戦略に舵を切って成功した、という。このような大規模な戦略転換は、失敗を恐れない意思決定の速さがあって初めて実現可能だったのだとも。

    2011年に執筆された書だが、著者の警鐘虚しく、その後も日本企業が再浮上することなく現在に至っている。

    著者は、韓国は「金と度胸といいとこ取り戦略」、中国は「金と脅しといいとこ取り戦略」、日本は「伝統と伝承と負け惜しみ戦略」と読んでいるが、これはどうなんだろう。的を射た指摘なんだろうか。確かに日本企業は真面目で愚直、またいい加減を良しとしない、職人気質ということはできるかもしれない。

    面白かったのは、サムスンの李健熙会長が松下幸之助を尊敬し、その経営哲学を受け継いでいる、ということ。サムスンは、二番手商法で儲けるナショナル・パナソニックの戦略を徹底して成功した、とも言えるんだな。

    何れにしても、日本の大企業の多くは保守的で、既得権にしがみついてばかりでチャレンジ精神に乏しいから、進取の気質に富む新興・ベンチャー企業へと世代交代していかないとダメなんだろうな。

  • 社内の情報を共有化することで、開発スピードを上げているという取り組みは自社も見習うべきものだと感じた

  • 2011年刊。著者は東京大学大学院経済学研究科ものづくり経営研究センター員だが、元日本鋼管エレクトロニクス本部開発部長、元サムスン電子常務取締役。後2つの経歴から伺えるのは日韓のものづくり比較を体験的に叙述できることであろう。サムスンの欠点・社会的問題点は他書に譲るとして、本書のいうサムスンの特徴は①商品開発戦略はボトムアップ、②販売価格から商品の性能・仕様を逆算していく手法、③商品開発過程を「見える化」し、価格や販売戦略、商品の流通など事情変更があった場合にどの段階でも開発中止することを可能にした点。
    また、④世界の販売地域毎に、言語・文化・歴史・性向に密着した地域販売員を養成してきた点が印象的。

  • なぜ決定が速いのか、のポイントは、権限委譲と品質はユーザーが決めるという考えだろうか。サムソンではボトムアップ方式とのことで、トップはおおまかは方向性だけを示して現場に決定権を与えているとのこと。確かにこれは重要だろう。自分の経験でも、トップが強すぎる組織は統制はとれているが、決断が遅く動きが遅くなりがちだというのは非常に感じる。また品質はユーザーが決める、というのは日本は過剰品質になりがちなのでグローバルで勝てない、ということ。もっともだとは思うが、Galaxy発火事故が世間をにぎわした今日ではいまいち説得力がない。

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