“夕顔” ヒカルが地球にいたころ……(2) (ファミ通文庫)

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  • エンターブレイン
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047274693

作品紹介・あらすじ

取り憑かれ、うっかり友達になってしまった幽霊のヒカルのため、その"心残り"を晴らす約束をした是光。ヒカルが示した次の相手は、内気な引きこもりの少女だった。夜にだけ咲く儚い花のような少女、夕雨。閉じた世界で幸せに微笑む彼女と過ごすうち、徐々に放っておけない気分になる是光だったが…。何故か約束の内容を告げないヒカル。そんな中、夕雨を不登校にした"怨霊"の噂が学園に蘇る。その正体を前に、是光は-!?大人気シリーズ第2巻、登場。

感想・レビュー・書評

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  • 優しい空間に護られて。
    無理矢理連れ出すのではなく、自身の意思で外に足を踏み出させるには興味を持ってもらうのが一番だもんな。
    事故ではないと皆に思わせるためなのか、メールの意図はなんだったのだろ。

  • 内気な引きこもりの儚い夕雨と是光が恋をするのが意外で、でもやっぱりそのままハッピーエンドとはならなかった。素直になれない性分の帆夏や恋とは認めないけれどすっかりファンな葵もいるし、今後も増えていくのだろうなあ。ヒカルが語る花の描写が楽しい。料理が趣味な俊吾が兄的に葵の恋に苦悩する短編が可愛かった。

  •  是光君の初恋。それは式部さんに対してではなく…。
     が、両想いの関係は、未だ独り立ちできない高校生という壁が立ちはだかり、想いを交わし合うことなく、儚く過ぎ去っていく。

     ヒカルと人気者男子の地位を二分する頭条は、夕顔を間においてヒカルと覇を競い合った。
     が、時を経て「怨霊」に囚われていた夕顔=夕雨が、助力を得ながらそれを振り払う。その時、彼女が真に恋しく想う相手とは?…。
     大人しい夕顔、源氏の恋のライバル頭中将。夕顔がとりつかれている怨霊とは何?。といった源氏での設定・人格像が投影されたお話しはなかなか楽しい。

     そして、著者がもう一つのモチーフ作と述べた作品も露わに。

  • 扱っているテーマがシリアス。
    それを一生懸命解決しようとしているところが好感触。
    式部さんがここで動き始めるとは。次巻に期待。

  • 野村美月さん版の源氏物語といったシリーズの第二巻。
    一巻の「葵」を読んでから今まで、こんなに間が開いてしまって
    久しぶりに読みました。今回の女主人公は「夕顔」に対応する
    夕雨ちゃんという女の子。

    源氏物語の女君の中でも、好きなのは夕顔・朧月夜・玉鬘と
    いう私には、まず楽しみにしていた一冊。

    果たせるかな「葵」よりもこちらのほうがずっと好きです。

    家族が離散して、学校でいじめられたことをきっかけに
    引き篭もっていた少女、夕雨。

    彼女は水の中を思わせる青と透明の世界を愛する
    儚い女の子。

    彼女は主人公の是光くんの親友、幽霊のイケメン、
    ヒカルくんとは、孤独と静謐を分け合った友人でした。

    彼女の世界は儚く美しいけれど、ずっとそこで生きてゆくことは出来ません。

    外へ連れ出すことを、生前ヒカルくんは心に決めていたのに
    同じく閉じた世界の安息を愛する彼には、それは困難でした。

    ひっそりと閉じた時の中で淡い青と白に守られ咲く、幻の花。
    それは美しいけれど、いずれは消えてしまう。

    私はこのお話、夕雨ちゃんがヒカルくんの友達だったこと
    案外大事と思っています。
    どの人にも深くひとときを愛したヒカルくん。
    恋でなく、安らぎでつながった二人だったからこそいいって。

    是光くんが、単なる共生関係のような友情や、
    箱庭的な愛でなく、本物の熱い初恋の情熱を傾けた時
    初めて夕雨ちゃんの世界は、崩壊するのではなくて
    外界へと繋がります。

    是光くんもまた、自分の心に潜むやわらかな部分を
    初めて自覚して、恋に落ちるのですが。

    なんとなく美少女にふらついているのではなくて
    自分の意志で恋をし、彼女を愛して、別れてゆく。

    そこがいいな、と思いました。

    その時目にした雨の中の光景は、本当に瑞々しくて。
    安易にヒカルくんの恋人として書かれていなかったことで
    二人の初恋が際立ちます。

    なんて清冽で、印象的なくちづけ。
    なんて切ない別れ。

    ヒカルくんは今回、あまり何もしていないように見えますが
    是光くんの中にも、ヒカルくんと同じように、花の美しさを
    愛でるような繊細さがあることを、ただ淡々と語ることで
    読者に示しています。

    是光くんが、ヒカルくんに誘導されて恋するのでは
    このお話は意味が無いのではないかと思うのです。

    彼が語る繊細な世界を、一見がさつに見える是光くんも
    恋を通して感じ取ることで、是光くんは自分で
    未知の自分に知り合うことになるのです。

    扉を開けて新しい世界を知ったのは、
    夕雨ちゃんだけではなく是光くんもでした。
    それが彼らを、より心優しい、強いひとにしてゆきます。

    いわばその変化が歌われるべきメロディなら
    ヒカルくんは、その伴奏者。

    ヒカルくんの仕事は、だから見守ることと、
    一緒に雨の音を聴くこと。

    雲間から差す光を、一緒に喜んであげること。

    アクティブではありませんが、彼もまた、大事な物語の
    主役の一人です。

    そして、この静かな世界に颯々とした清涼感を
    与えているのは、帆夏ちゃんの是光くんへの
    かわいい恋ですね。

    彼女がいることで、このお話は、異界の物語じゃなく
    身近な世界の青春小説になってる気がします。

    彼女みたいな子も、必要なのですよね。うん。

  • 評価:☆4

    ヒカルが地球にいたころ、第二巻。


    今回は第二の心残りの少女、とある事情で引きこもりになってしまった夕雨がターゲット。
    気になってしまったのは、ヒカルがあまり是光に干渉しなかったこと。
    是光はきっかけとしてはヒカルのために動いているはずなのに、当のヒカルは猫と戯れたり花の薀蓄を言うだけでほとんど何もしないという・・・。
    理由も一応あるんですが、ちょっと不自然に感じたかな。ヒカルの性格なら是光には隠し事しなさそうなものだけど。

    是光が夕雨にガチで惹かれていくのは意外だったw
    これからも1巻につき一人の女性を救うみたいな感じで進んでいくんだと思うんだけど、是光の恋愛模様がどう動くかは気になるね。


    帆夏をからかって頬染めさせたくなるというヒカルの意見には超同意であります!
    ホイホイ女を変えてる(ように見える)是光に対しても怒りながらも結局心配の方が勝る帆夏が好きすぎるw

    巻の最後では驚きの引き!
    頭条さんのシスコンっぷりには笑ったw
    次巻が楽しみ。

  • ヒカルシリーズ2巻目。

    雨、海、氷砂糖など個人的に好きなキーワードがたくさん出てきたので、物語の雰囲気としては“葵”より“夕顔”のほうがすきでした。
    夕雨ちゃんが好みの女の子っていうのもありますけどね(笑)こういう儚げで危うい子が結構好きです。“文学少女”の千愛ちゃんとか蛍ちゃんとか。
    夕雨ちゃんが恋を自覚するシーンが印象的です。文章から音が聴こえてくるようで美しさを感じました。

  • 取り憑かれ、うっかり友達になってしまった幽霊のヒカルのため、その〝心残り〟を晴らす約束をした是光。ヒカルが示した次の相手は、内気な引きこもりの少女だった。夜にだけ咲く儚い花のような少女、夕雨。閉じた世界で幸せに微笑む彼女と過ごすうち、徐々に放っておけない気分になる是光だったが……。何故か約束の内容を告げないヒカル。そんな中、夕雨を不登校にした〝怨霊〟の噂が学園に蘇る。その正体を前に、是光はーー!?
    大人気シリーズ第2巻、登場!!

  • 夕雨が引きこもるきっかけとなった事件を解き明かす場面は、“文学少女"さながらで流石に鮮やかでした。「大好きだけど、別れを選ぶ」という展開は、自分は大好物だと自覚すると共に、それってどうなんだろう、と自問自答。

  • 野村さんの源氏物語第2弾。
    こんどのヒロインは、ちょっと引きこもりぎみの夕顔もとい、夕雨ちゃん。なにこのか弱くて守ってあげたくなる系、小動物な美少女は!!

    外の世界に連れ出すことが夕雨の幸せなのか、このまま優しい世界で暮らすのが幸せなのか。今回は、ヒカルのためっていうより夕雨のために、悩んで、考えて、走り回る是光がカッコよかったな。

    傘をなくして外に出れなかった夕雨が、外へと踏み出すシーンは、とても綺麗で凄くよかった。
    「夕雨に、会いたいんだ・・・・・・」っていう是光の言葉が、とても印象的で響いた。

    しかし魅力的な子ばかりで、最終的にどうなるんだろう。
    個人的には式部さんを応援したいけど、好みでいったら夕雨だしなぁ。葵ちゃんが押して、ヤキモキするシスコンな頭条さんも見たいし・・・・・・次はどんな子がでてくるか楽しみです♪

  • 一巻を読んでないので、なんとも言えないのですが、1人1人個性が、強い作品だと感じました。

    特に近江さんは、“何奴!?”と感じる位、存在感みたいなものがあるなぁ…っと感じました。

    話の流れでは、引きこもりになってしまった夕雨を外に連れ出すというヒカルと頭上の約束を果たす感じの話で、その約束を見つけるまでの間みたいなのが、暗くてジメジメした感じで途中嫌になったけど、夕雨が一人で前を向いて歩いていくことを覚悟するラストが凄く感動しました。

    まだまだ、続くようなので、ユルユルと読み進めたらいいと感じた。

  • 私はどうしてこんなにもこのシリーズが肌に合わないんだろう…とふと考えたのですが、
    レーベルはファミ通ですけど、何かノリは少女小説的ですよね。
    だからじゃないかな?という気がしてきました。
    甘酸っぱい青春とか、ほろ苦い初恋とかそういうの駄目なの!
    読んでいるだけで私の脳内の血糖値が病的に上がる感じでついて行けないの!
    …まぁ私の個人的な好みはどうでも良いと思いますが。
    私もきちんと源氏物語を読んではいないのですが、
    あんまり源氏物語り関係ないというか、別に源氏物語をモチーフにする必要なかったんじゃ…?
    という気がするところが、何とも残念です。
    六条御息所が好きなので、彼女が出るならやっぱり気にはなるんでしょうけど。

  • 青春ミステリとして読むと反則かな。単なる青春ライトノベルとして読めば問題ないが…

  • コメディ色が割と強めだった1巻目とは異なり、全体として暗いムードのミステリ風味。そんな中にもニヨニヨできる描写もあり、最後は明るくまとめたと思いきやエピローグが真っ暗で。色んな要素がバランスよく楽しめて良いですな。

  • 物語りの前半は、引きこもりの夕雨になぜヒカルが引かれて、手もださないまま通い続けていたのか、イマイチ理解できず、しかも母子家庭になったのに、子供を置いて母親が外国へ行ってしまうというシチュエーションもピンとこなくて、??だったが、途中から、野村美月らしい、どろどろとした世界が見え始めたところから物語りに引き込まれ、今回の山場である怨霊退治のシーンは感動的でした。まさかゴルフバックの中に傘が隠してあったとは!しかも是光自身の判断でそこまで暴くことを判断したとは驚きました。成長しましたね。でも是光くん、モテすぎです。帆夏に告白され、葵はもうメロメロ。もちろん夕雨も。このまま第二のヒカルになってしまうのでしょうか……。

  • 野村美月&竹岡美穂コンビのヒカルが地球にいたころ……シリーズの第2巻です。今回は源氏物語から"夕顔"をアレンジした作品でした。前回はヒカルが先頭を切って行動して、それに是光が引っ張られるという感じでしたが、今回はヒカルがあまり手助けをせず、是光が色々な問題に対して、分からないながらも一生懸命に走り回る姿が微笑ましかったです。というか、是光も、ヒカルに負けず劣らず、天然なハーレム皇子の素養がありますね。帆夏、葵、夕雨と立て続けに手なづけてしまうとか…w

  • はじめ夕雨は自分の世界入っちゃってるか弱く儚い不思議な子って感じで守ってあげたくなるような引き込まれてしまう雰囲気の子だと感じた。だけど問題が解決してみればわりかし普通の子で、読んでいてすっきりした。問題が影響する部分が大きかったんだろうな。私の好みはミステリアスな方だけど。まぁそこはすっきり前を向けてよかったのではないだろうか。
    頭条さんははじめなんだこのむかつく兄ちゃんて印象だったけど、イメージ変わった。ちょっと裏で手回しすぎな感があるけど、夕雨のこと考えてるいいやつだった。エピローグ(?)もおもしろかったし、今後もちょくちょくストーリーに絡んでほしいキャラだなぁ。

  • なんだかすごくキュンキュンした!!

    頭条さんの兄馬鹿がステキでした(笑)

  • 「こんな夜遅くに申し訳ないけれど、雨宿りをさせてくれないかい? 雨に濡れた美しい花に傘を貸してしまって、困っているんだ」

  • 2011年9月の日記転載

    個人的には野村美月作品の中でも高評価。
    特に衝撃の展開!!とかは無いのですが、
    感情の動きが、切なさが、とても伝わってくるラストでした。
    なんちゅーか、ホントに雨の様な作品で、
    どんより曇っているのに透明感がある、
    打ちつける雨はうっとうしいのに、
    どこか洗い流される感覚のある物語で、
    ラストは本当に光さす晴れ間の様な、
    澄みきった余韻が広がりました。
    次巻も期待してますw

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著者プロフィール

合唱王国福島出身。春の夕暮れに生まれる。幼いころから読むこと、書くこと、眠ることが大好きで、作家を目指す。作品に「文学少女」シリーズ、「むすぶと本。」シリーズ、『ドレスな僕がやんごとなき方々の家庭教師様な件』(いずれもファミ通文庫)などがある。

「2021年 『世々と海くんの図書館デート(5) 春めくきつねは、つりばしにゆられて、あのこに会いにゆきます。』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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