大阪維新 角川SSC新書 橋下改革が日本を変える (角川SSC新書 108)

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  • Amazon.co.jp ・本 (203ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047315310

作品紹介・あらすじ

大阪が今、熱い。日本第2の大都市・大阪が、橋下徹知事のもとで大きく変わりつつある。知事が提唱する「大阪維新」は、都市・大阪が国への依存から脱して地域として自立しよう、そしてニッポンの再生をリードしようという運動だ。著者は橋下知事のブレーン。「構想日本」と「脱藩官僚の会」の立ち上げ、大阪市役所の改革を主導してきた"改革屋"である。今の日本には国鉄改革と同じスケールの"地域分割"と"民営化"が必須だという。なぜ、橋下改革が日本を変えるのか。その作戦と展望を語る。

感想・レビュー・書評

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  • 法律の人気番組で回答者としても活躍していた弁護士の橋下氏が大阪府知事に就任してから大阪が少し元気になってきたような気がします。

    本に解説されているように、橋下氏には多くのブレインが支援しているようで、大阪都構想や、関西各県をEUになぞらえた考え方についても興味深いものがありました。関西に長い間お世話になった私にとっても、大阪を中心として西日本が元気になって欲しいと思いました。

    本当かどうかわかりませんが、いまだに大阪人が心の奥底では「大阪夏の陣(1615)」で豊臣家が徳川家康に騙されたという400年腰の怨念がある、というのは関西に小学校時代に行って苦労した私はなんとなくですが、理解できるものがありました。

    以下は気になったポイントです。

    ・大阪が衰退し続ける理由は、400年前の大阪夏の陣にある、大阪は豊臣家の城下町であったがそれを徳川家が天領化(植民地化)し、住民の自治意識を骨抜きにしたから(p5)

    ・大阪には2つの国がある、大阪市国と大阪府国、両者の事業は重複して仲が悪い(p7)

    ・一人当たりGDP、自殺者数、財政赤字の3つの指標が国の健康度を示す基本数値と考えられる、最近の日本は他国と比較して3つとも異常値となっている(p16)

    ・この20年間は、以下の3つのメニュー間を右往左往するのみ、1)成長・規制緩和・小さな政府、2)目先の公共事業、財政出動、景気対策、3)格差是正、大きな政府(p24)

    ・政府は地方に対して仕送り3点セットで還元してきた、1)補助金や地方交付税、2)公共事業、3)工場進出である(p27)

    ・日本社会安定化の秘密兵器が、終身雇用制度と地方の公共事業、日本の社会資本(698兆円)の3割以上を占めるのが道路、以下、農林漁業・文教施設・治水・下水道等(p29)

    ・企業運営が破綻するパターンとして、1)債務超過で借金が返済不能、2)資産はあるが運転資金が無い場合、現在の日本な2)のケースに近い(p38)

    ・国民一人当たりの正味金融資産は、アメリカ(936)に次いで、847万円で二位(p38)

    ・医学部の定員は1998年の約7600人でずっと凍結、それが2007年にやっと見直されて、医大の新設や定員増となった(p46)

    ・東京や大阪など、都市部の自治体が持つ不動産に注目すべき、民主党は労働組合が支持基盤のひとつなので着手しづらいかも(p59)

    ・アメリカはワスプ(白人のエリート支配層)の農園主や企業家が共和党(アフリカ系は例外)、移民等の低所得労働者、マイノリティが民主党支持という階級構造がある(p75)

    ・大阪人の心の奥底には、「大阪夏の陣(1615)」で豊臣家が徳川家康に騙されたという400年腰の怨念がある(p93)

    ・大阪は明治になると、政府の中枢機能である通貨や軍事の製造拠点となった、大阪は中央権力との関係をテコに発展してきた(p97)

    ・関東大震災後の1930年代には、都市としては日本最大の人口を誇る町に発展するが、1945年には8回にかたる大阪大空襲で1万人の市民が犠牲になり、街並みも失った(p100)

    ・大阪市には大企業の本社が多数あるので、ほんの10数年前までは、市の収入の6割以上を地元の税金でまかなえていて有数な裕福な市役所であった(p109)

    ・大阪市役所は、ごみ処理についても、過剰コスト・過剰人員・そして過剰サービスの3点セットを貫いてきた(p113)

    ・府と市の機関を合体させる必要がある、ちなみに大阪府と大阪市は2つの大学に対して合計217億円も投入している、東京都(首都大学東京)へは、129億円(p156)

    ・日韓のFTA(自由貿易協定)は1998年から交渉されているが、韓国が課している8%の自動車関税がネックで、まとまっていない(p180)

    ・道州制や地域割りの話は、どうやってその地域が稼げるかという観点から考えるべき、すると4州プラス2(北海道、沖縄)となる(p187)

    ・関西各県をEUになぞらえると、経済の中心の大阪はドイツ、文化の町京都はフランス、海洋都市の兵庫はイギリス、和歌山はイベリア半島(スペイン)、南北に細長い三重はイタリア、バチカンに相当する伊勢もある、商才にたけた滋賀はベルギー、奈良はスイス、福井はスカンジナビア(p188)

    ・明治維新の功績は、廃藩置県と四民平等である、身分制度の廃止とあいまって1876年に秩禄処分によって武士の権利を剥奪した(p193)

    2010/10/31作成

  • 橋下さんの理論のバックボーン。非常に理解しやすい。

  • 内容紹介

    「これは平成の倒幕運動である!」。橋下徹知事のブレーンとして大阪府改革を推し進めている大阪府特別顧問の著者が、なぜ「大阪維新」が日本を救うのか。橋下知事が見据える“中央集権打破”の戦略を大胆に語る。

    内容(「BOOK」データベースより)

    大阪が今、熱い。日本第2の大都市・大阪が、橋下徹知事のもとで大きく変わりつつある。知事が提唱する「大阪維新」は、都市・大阪が国への依存から脱して地域として自立しよう、そしてニッポンの再生をリードしようという運動だ。著者は橋下知事のブレーン。「構想日本」と「脱藩官僚の会」の立ち上げ、大阪市役所の改革を主導してきた“改革屋”である。今の日本には国鉄改革と同じスケールの“地域分割”と“民営化”が必須だという。なぜ、橋下改革が日本を変えるのか。その作戦と展望を語る。

    著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

    上山信一 慶應大学総合政策学部教授。大阪府特別顧問。1957年大阪市生まれ。府立豊中高、京大(法)、米・プリンストン大(公共経営学修士)卒業。旧運輸省、マッキンゼー(共同経営者)等を経て現職。大阪市市政改革推進会議委員長(2005~07年)、国交省政策評価会座長、新潟市都市政策研究所長のほか公的機関、美術館等の改革・評価委員、企業顧問を多数歴任。「脱藩官僚の会」発起人、「構想日本」政策・運営委員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

    本の感想

    この本は橋下徹大阪府知事(当時)が当選した頃の本で、上山信一慶応大学教授が橋下大阪府知事のブレーンとして、大阪市・大阪府の改革の必要性について書いた本である。地下鉄や市バスの民営化・大阪市の職員の厚遇問題が明らかになったことを思い出す。

    また、当時の大阪市長は後に対立する元毎日放送のアナウンサーで平松邦夫氏であることを思い出した。最初はうまく連携をとれていたが、徐々に対立してW選挙で落選したことも思い出す人もいるかもしれない。

    今は吉村洋文大阪市長と松井一郎大阪府知事の体制でもう一度都構想の是非を問う住民投票が行われるかもしれない。都構想の議論の前にもう一度読むことを勧めたい本である。

  • 著者は橋本知事の改革を支えるブレーンおよび「脱藩官僚の会」発起人でもある人。著者は言います。「大阪発の悪いニュースばかり、大阪は現代日本の不幸のデパートそのもの。しかし何もしなければ、10年後には日本全体がこうなる。」大阪だけに限らず、日本の変化を期待させてくれる本です。

  • 賛成半分、反対半分。
    行政の効率化や無駄を省く考えは賛同するが、
    だから国を解体しましょう、規制を緩和しましょうというのは、
    論理の飛躍がある。

    国の形をまず考えることが先。

  • 橋下大阪市長のブレーンが書いた本。
    橋下改革の当事者であるため、今行っている改革は素晴らしい、有効、有用であることが中心であるため、一方通行的な書きぶりではあるが、なるほどなと思うところも多々あった。

    筆者は、現在の日本の状況について、かなり危ないと感じでいる。いわゆる改革派。基本的には、規制緩和し、民間でできることは民間にやらせて、わざわざ公がやる必要のないことは、払い下げみたいな形をとるとのこと。
    もちろん今までも言われてきたことではあるけど、それを今回は徹底的にやるような印象をうけた。

    大阪、地方から全国、日本へというよりは、どっちも並行して改革、維新を行うみたい。まぁ、一刻を争う状況だし、当たり前かもしれないが。

    だいぶ前に読んだ本を振り返っているので、記憶が鮮明ではないが、文章自体は読みやすく分かりやすかった。
    橋下改革については、色々と意見がなされている所ではあるが、変化しようという姿勢が非常に惹かれた。
    ぜひ改革を成功させて欲しいと思うと共に、もうすこし橋下改革について書かれた本を読もうとおもいました。

  • 大阪維新に関してというよりは、筆者から見た日本→大阪の話がメイン。日本の分析に結構な量をさいてます。
    大阪と温度差を感じてしまうのは、仕方が無いのかなぁ。

  • 大阪の現状を歴史的経緯や他の都道府県との比較を交えながら説明して
    いて、わかりやすい。また日本の財政赤字を立て直す施策についても言及があり良かったと思う。 
    改革は多くの場合痛みを伴うものであり、特に既得権益を持っている人が賛成するはずもなく実施が難航する恐れがあるとすると、大胆なパフォーマンスで耳目を集め、衆人環視の元で民意を問うという橋本知事の政治手法は理にかなっている。
    片方の見解だけをみるとどうしてもバイアスがかかってしまうので橋本反対派の著作も読んでみたいところ。

  • 大阪維新について詳しく知らない中、どんどんその勢力が強くなってきているので読んでみました。
    橋下改革のブレーンの人が書いた本です。なので、もっともらしいけども、一方的な見方のような気がしてあまり信用出来ませんでした。疑わずに読めば、そうそう!って感じなんですけどね。
    大阪維新について知るにはだいぶ足りない感じの一冊です。

  • 正直、日本を含めた大阪についての問題点を繰り返して提起しているだけのように思えた。あまりオススメ出来ないです。
    まぁ2009年の本を今読むのが遅すぎたのかもと言った感じでした。

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著者プロフィール

慶應義塾大学総合政策学部教授。
専門は、企業の経営改革、行政評価、行政経営。
京都大学法学部卒業、プリンストン大学大学院(公共経営学修士)修了。運輸省(現・国土交通省)、マッキンゼー(共同経営者)、米ジョージタウン大学研究教授、慶應義塾大学特別研究教授等を経て2007年より現職。大阪府・市特別顧問、愛知県政策顧問、新潟市都市政策研究所長、国土交通省政策評価会座長等を兼務。
主要著作に、『政策連携の時代』(日本評論社、2002年、第1回日本NPO学会賞受賞)、『ミュージアムが都市を再生する』(共著、日本経済新聞社、2003年)、『行政の経営分析 大阪市の挑戦』(共著、時事通信出版局、2008年)、『行政の解体と再生』(共著、東洋経済新報社、2008年)、『自治体改革の突破口』(日経BP社、2009年)、『公共経営の再構築』(日経BP社、2012年)など。

「2012年 『公共の経済・経営学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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