- Amazon.co.jp ・マンガ (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784047356863
作品紹介・あらすじ
かつては海ほど大きく感じた父親は、どうしようもないさみしさを抱えた、ひとりのちいさな男だった。
家族、故郷、仕事、若さ、記憶、感情……手の平から少しずつ零れ落ちていくように、大切なものをなくしていく父。
その人生と、別れを描いたエッセイコミック。
感想・レビュー・書評
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松田洋子の作品を久々に読んだ。Kindle版が半額セール(もう終わっています)だったので買ってみたもの。
亡くなったお父さんの思い出を中心に据えた、自伝的コミックエッセイ。一つの家族の歴史をたどったマンガともいえる。
松田には、本作以前に自伝的作品がある。
短編集『好きだけじゃ続かない』(2014年)所収の「平凡なヨウコちゃん」「青空必携1982」「ビックリハウス・ゲイトウェイ」である。
「平凡なヨウコちゃん」は幼年期を描いたもので、「青空必携1982」「ビックリハウス・ゲイトウェイ」は、ど田舎のサブカル女子高生だった青春時代を描いたもの。
もっとも、「平凡なヨウコちゃん」については、「全部実話にするとマズイんで、フィクションも混ぜて」あるそうだが(「あとがき」による)。
本作との内容の重複はないので、併読すれば感動もいっそう深まるはず。
松田洋子の作品の基調となるのは、突き放すような乾いたユーモアと、淡い哀歓がないまぜになった、独特の味わいだ。
その点は本作もしかり。
ただ、素材が素材であるだけに、本作は松田作品としては例外的なほど泣ける。けっしてあざとい泣かせではなく、むしろ演出は抑制の効いたものだが、それでも終盤に行くほど泣ける。
とくに、私は松田と同年齢でもあるので、「ああ、昭和の父親ってだいたいこんな感じ(ダメダメな、困った感じ)だったよなァ」と、いっそう強く共感してしまった。
文章による「あとがき」もとてもよい。味わい深い名文である。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
今まで読んでいた漫画から壮絶などん底人生を想像してましたが、そこまでとんでもないわけでもなかったようで安心しました。
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子供が成長するにつれて、父の理想とする家族の絆がいつしか解けて薄れていく。それでも、病床の父の元に家族が再び集まるとき、作者の手向けた「お父さんは何もなくしていなかったじゃないの」の言葉が胸を打つ。
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松田洋子さんの作品『父のなくしもの(2019)』を読了。
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自身の父親にまつわるノンフィクション。昭和の父親ってたぶんこんな感じの人たちが多かったのではないか。良い面ももちろん負の面もあるが、自分が同時代を生きたということもあり情緒的に強く深く訴えるものがあり涙が抑えられなかった。
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号泣した
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201907/