- Amazon.co.jp ・マンガ (200ページ)
- / ISBN・EAN: 9784047373372
作品紹介・あらすじ
「僕の顔が良いばっかりに……」
毎日のように女子に告白される、高校生の熱海くん。
返答が決まって「NO」なのは、彼の好きになるのが男の人だから。
ナチュラルな台詞が持ち味の新鋭・田沼朝が描く、
モテる男子のままならぬ恋物語。
描き下ろし漫画も収録の第1巻!
感想・レビュー・書評
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実は主人公の熱海くんを、ストレートに好きにはなれない。
言動の一つ一つに、すごくイライラさせられる。でも、そばにいたら多分、足立家の人々みたいに熱海くんを可愛がって、いろいろ世話をやいちゃったりするんだろうなーと思う。(顔もいいみたいだし。ずるい)
それにしてもこの作者は人間をよく観察して、絵としてもセリフとしても描く力があってすごいなーと思う。
やっぱり今や日本の文学小説は、漫画の中に存在する。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
なにかとこだわりが忌み嫌われている。
その気になればさっさと捨てることができ、捨て去ればたちどころに善き人間になれるかのように。不要な面倒を招くだけのハデな装いにも等しい扱いを受け、なにをわざわざ好んで着込んでるんだかと嘲られる。それで、脱ぎなよ、ふつうになれるよ、と謳う追い剥ぎが跡を絶たない。それはあなたの感想ですよね、という言葉が破壊的な響きをもつのは、答えを真っ向から否定しにかかるからというより、自分なりに答えを出そうとして、吃りながらもしがみついた努力と時間を蹂躙するからだ。純粋な客観視の蜃気楼を指して「あれが君たちの目指す地だ」と、追い剥ぎは高らかにのたまう。
しかし、天を衝く勢いの蜃気楼には実体がない。近づいたように思ってもまだ遠い。
寒気があたりに満ちてくる。さんざ理想を語って人の装いを剥いでおきながら、よくみると追い剥ぎは分厚く着膨れている。指摘すればひっぱたかれるので言わないまでである。肉体や主観という装いをひろく含めて、人は服をまったく脱ぎ去ることなんてできないのである。
どうしたって、なにかにこだわってしまう人間の姿を、田沼朝は見逃さない。そして、ときにはいっこうに頓着しない姿も。生きてきた時間が人に贈ったそれぞれの服を丁寧に描き分ける。ときどき言葉が足りなくなる瞬間、または過剰に走る瞬間、言い淀む瞬間、あるいは饒舌になる瞬間。ふつうの役回りを演じる人はおらず、みんなどこかしら雑(自明な根拠に立っているのではなく、それぞれの築いた正しさにこだわって生きている)である。おもに学校を舞台に据えながら、雑が雑と出会う。驚いたり怯んだり、うまくいかずに距離を取ったり。それでも、お互いを完全に無視することや、自分の雑で相手の雑をくろぐろ塗りつぶすことはない。誰にでもわかる自明な根拠を行動に持っている自信が誰にもないから、どうしても違う自他の雑に耳を澄ませる余裕を共有している(恋をするといくらか鈍るけれど)。自分の体質をまるごと捨て去ることはできない、しかしどこかしら変わらないとも限らないと思っているから興味の指差す方向へ耳を澄ます。そうして交雑を繰り返した時間が積もり積もって、私の感想がある。いまの私の服がある。 -
このスローペースさが好きかも。
熱海くんの美しさは想像でカバーしつつ…
いやしかし、惚れやすいしめっちゃハッキリした性格だわ。劇的な出来事はビックリするくらい起こらないけど楽しいだろうなー。 -
国島くんBIG LOVE
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それぞれの感性がかなりいい。
惚れっぽい熱海くんと、彼が惚れた人たちの個性。
ちょっと抜けていて、ぬるい風が頬を撫でる、お昼ごはんの後の眠たい空気、ポカポカの日差しが差し込む午後の教室みたいな雰囲気の漫画。
好きだ〜この作家さんの短編集も読みたいな〜 -
綺麗な顔をした熱海くんだが、男性に惹かれた男性には断られてしまう。でも惚れっぽいのですぐ他に気になる人が出来る話。
惚れっぽいけど、それぞれ気持ち的には別物で、恋愛体質というほどのめり込む訳でもなく淡々としてる感じが面白かったです。
足立くんが好きだな。 -
友達だったら緊張しそう
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空気感が好き。
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人間を個人ではなくて、主観でもなくて、むしろナレーションを交えることで他人事として観測させてくれるような雰囲気がとても好きだった。しかも、その覗き見るような瞬間から不意に差し込まれるみずみずしい表現に、ぐっと胸を刺されたりする。
信頼できる物語だなと思った。こういう作品は自分の糧になる気がする。 -
とても良かった。
最近はこんなまったりした雰囲気の作品にハマってる。
熱海くんの周りの人がみんな良い人で良かった。