試作品神話

  • 角川書店
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (44ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048538688

感想・レビュー・書評

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  • <p>大塚英志が文章を書き、それに西島大介が挿絵を載せた、という、小説というか、絵本のようなもの。</p>
    <p><b>「最初に僕達が神様を拾った話をしよう」</b></p>
    <p>この文から物語がスタートしたとき、絶対この話は面白いことになる、とワクワクしながら読み始めた。</p><p>14歳で赤ん坊のままの少年がいたり、いきなり自然災害的に「桃」という巨大怪物が攻めてきたりと、とても不条理でオリジナリティー溢れる世界観を表現している点も面白かった。そして、主人公たちに「ヘミングウェイ」とか「ディケンズ」とか著名な作家たちの名がついていて、なにかメタファー的なものを感じさせる部分もよく出来ていると思った。</p><p>けれどがっかりだったのは、物語の後半部分である。これだけ不条理なのに、妙にスッキリとした終わり方をしているのが本当にガッカリだ。これだけわけわからない設定なんだったら、最後の最後まで意味不明で終わって欲しかったと思う。やはりテーマ的な部分を持ち出してしまうのは、大学教授(大塚英志)の性なのだろうか。</p><p>ただ、西島大介のイラストは、最後の一ページまで「魅せる」ものだった。寧ろイラストだけでも物語が成り立つんじゃないか、そんなことすら考えさせる。</p>
    <p>それにしても、「神話」の前に「試作品」が付くっていうこの作品タイトルはかなり卑怯な気がする。「結構イロイロ頭ひねって描きましたけど、なんかスッキリしたようなわけわかんないような、そんな作品に仕上がりました。まぁ、どうせ試作品ですから」ってな具合に、言い訳がましく聞こえるんですけど・・・。</p>

  • 神様の言うままに世界を壊してしまった子供達。
    『特別な存在』と言う心擽る言葉で躍らされて後悔して普通に戻る。
    何とも不思議な絵本みたいな物語でした。

  • 最初に僕達が神様を拾った話をしよう。

  • 大人になるとはどういうことか?

    決して大人にならないと決めた子どもたちの物語は、この問いのために作られた。

    子どもたちは破壊する欲望に駆られて、ただひたすら大人がつくった世界を壊す。そしてすべてを壊し尽くした時、子どもみたいに、泣く。

    神様が楽園をくれても、特別な存在だと言われても、破壊したことの責任はなくならないのだ。だから、子どもたちは再生を目指し、大人になることを決める。

    こんな世界なんて滅びてしまえばいいと思う時がある。大人になることをやめた子どもたちは、そのまま壊しちゃったけど、僕がそうしなかったのはどうしてなんだろう?もし僕が特別な存在だとしたらそうしていただろうか?いや、そうしないことが僕が大人になってしまったという証拠なんだろうか?

    そんなことを考えながら、僕も星を見てはあの星に花が咲いているのかを考えたりもしてみるのだ。

  • 2010-01-10

  • 禁断の果実を口にしてしまったぼくたちは、かみさまに追い出されるのではなく、自らの意志で楽園を後にしなければならない。

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著者プロフィール

大塚 英志(おおつか・えいじ):大塚英志(おおつか・えいじ):1958年生まれ。まんが原作者、批評家。神戸芸術工科大学教授、東京大学大学院情報学環特任教授、国際日本文化研究センター教授を歴任。まんが原作に『アンラッキーヤングメン』(KADOKAWA)他多数、評論に『「暮し」のファシズム』(筑摩選書)、『物語消費論』『「おたく」の精神史』(星海社新書)、他多数。

「2023年 『「14歳」少女の構造』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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