罪色の環 ―リジャッジメント― (メディアワークス文庫)
- KADOKAWA/アスキー・メディアワークス (2014年3月25日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (402ページ)
- / ISBN・EAN: 9784048664660
作品紹介・あらすじ
「あなたたちは裁判員に選ばれました。日給四〇〇万で疑似裁判をしてください」-音羽奏一もまたその裁判員に選ばれた一人。彼は、かつて被疑者となった「首絞めピエロ事件」で無罪になった特殊な経歴を持つ大学生である。そんな彼をはじめとして、計六名の男女が識神島と呼ばれるリゾートに集められた。その目的とは、十九年前に無罪の判決を下された強盗殺人事件の再審。だが、彼らはゲーム感覚で行われる裁判で、ある真実を知ることに…。人工島を舞台に行われるイリーガル・サスペンス開廷!
感想・レビュー・書評
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死刑制度の問題を提議しているという側面ももちろんありますが、
純粋にミステリーとして面白かったです。
いわゆるデスゲーム系統でありながら、
しっかりリアリティがあって各キャラに感情移入できました。
もっと売れてもおかしくなかったのにと思う一冊。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
島で行われた裁判の判決は。
罪の大小はあれど、それを裁く人間を間違えていたなんて考えるだけでもゾッとする。
冤罪で裁かれなどしたら、生きていく事すら厳しいだろうな。 -
日給400万円の裁判員として集められた男女6人。
彼らは19年前のある強盗殺人事件の再審を依頼されることに。
被告人は無罪か、それとも死刑か。
ゲームのような疑似裁判は思わぬ真実を暴き出していきます。
作者の仁科さんはこの後の『座敷童子の代理人』で知りました。その時の伏線の巧みさに、サスペンスを書かせたら上手いだろうなと感じていた通りの面白さ!
法廷サスペンスということで、裁判員制度・死刑制度・冤罪をテーマに、考えさせられる部分も多い話になっていますが、基本的にはライトな読み口で、堅苦しくはないエンタメ小説になっています。
地の文のシニカルで軽妙な言い回しは読んでいて飽きないですね。
「まず鬱憤を吐かせなければ先に進めないのだ。アサリの下処理と同じである」
こういう表現をさらっと入れてくるフットワークの軽さが好きです。
また、伏線とその回収が丁寧でいいですね。
こういう気付きがある小説はすぐ読み返したくなります。
『座敷童子の代理人』同様、ちょっとした一言が生きてくるのも素敵。
読み終わってみると、人が人を裁くのは難しいと改めて思わされました。
何が真実なのかを知っているはずの当事者こそ無力だったりもします。
真実の弱さと、嘘の強さを痛感しました。
そして集団心理こそ最強で最悪のものかもしれません。
作中で提案されたあるアイデアは、効果が確かなら一考の余地はあるかもしれませんね。 -
最後までちゃんと読めば色々とつながる構成だけど、何れにせよ集合体としての人の悪意に対しては強烈に無力なわけで、その意味では、読者に課題を残す巧妙な仕掛け。もし1巻完結じゃなくて続きものだったら、精神的に持たなかったかも。共感覚ネタなくても良かったような。あと、一番の功労者が一番評価低いってのは、なんか重い。そこも著者の狙いだろうか。
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「あなたたちは裁判員に選ばれました。日給400万で疑似裁判をしてください。」
6人の男女はとある島に集められた・
その目的は無罪判決を下された強盗殺人事件の再審。
しかし、ある真実が浮かび上がってくる。
死刑か無罪か、究極の2択。リーガルサスペンス開廷。
途中までは山場はいつ来るのだろうともやもやしていたのだが、真実と目的が分かり始めてくると一気に入り込んでいけました!
キャラが立ってないことと結末は納得がいっていない部分があるけど、物凄く読み応えがある1冊です。
MW文庫ということで挿絵がないのだが、あると人物像や雰囲気がより伝わると思うので欲しいな。 -
死刑か無罪かを決める裁判ゲーム。
新人の作品にしてはなかなか面白かった。
日本の司法制度、裁判員制度だとか死刑制度だとかが抱える問題について考えさせられる面も。
でもなんだかんだいってエンタメ小説。
雰囲気としてはライアーゲーム。