さよならピアノソナタ4 (電撃文庫 す 9-10)
- アスキー・メディアワークス (2008年12月5日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
- / ISBN・EAN: 9784048674294
作品紹介・あらすじ
真冬と出会った春。海への合宿とはじめてのライブを経験した夏。さまざまなイベントを経て真冬への想いに気がついた秋。-そして冬。真冬の誕生日とクリスマスの季節。ナオはその機会に自分の想いを言葉にしようとするが、神楽坂の思惑や千晶の想いに翻弄され、なかなか一歩が踏み出せない。一方で再度のライブに向けてフェケテリコは練習を開始する。そんな中、真冬の身に異変が起こり-。はたしてフェケテリコと四人の恋の行方は?おかしくて少しせつない、恋と革命と音楽が織りなす物語、完結編。
感想・レビュー・書評
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普通に転がったなら、必ず何処かで致命的な結末を迎えるしかなかったはず。そんな物語に、音楽というこの世で最も強い力が、様々な魔法を起こします。それは時に甘美な奇跡を与え、また時に、悪夢のような悲劇をももたらすのです。
音楽というエッセンスがこの小説に与えている効果は絶大で、驚くほどに馬鹿で鈍感で純粋な主人公が、艱難を乗り越えて奇跡のようなハッピーエンドを手にするのも、要所要所でクリティカルな役割を果たす音楽の力の存在があるからこそ。そしてそれが杉井さんの圧倒的な描写で描かれた音楽だからこそ、不思議な説得力があるのだと思います。
終盤は興奮してまともに文章が頭に入ってこなくて、何度も読みなおさなくてはならなくて苦労してしまいました。とにかく最高です。
その最終和音の余韻の最後の一滴が尽きるまで、味わい尽くしたくなる素敵な本でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
最後のライブに真冬は故障で参加できず、
でもいないはずの真冬の音を聞いて満足しつつ終了。
最後は前日夜に翌日の朝練の約束をして千晶と別れるのに、
それをすっぽかしているかもわからない真冬に会いに行って終了。
一人待ってる千晶を想像するとすごい不憫だと感じてしまった。
そんなこんなで後日談へ。 -
言葉を魂の底まで届かせるには血を流すか、歌を流すか。響子の台詞はキザなところもあるけど、ところどころで共感できたり、納得ができたりする。
響子とユーリの会話は噛み合っていて笑った。
最後の、泥棒市場をキーワードに再会を果たすのはロマンティックだった。 -
熱い。ホント熱い。
作中の季節は冬で雪とか降っているのにめちゃ熱い。上手く表現することはできないけれど、この作品で書かれていることは心に深く突き刺さるのだ。少年漫画のような熱さではなく彼らの置かれている状況が青春風景の中に居るからなのだ
それにしても直巳の鈍感さは何なのだろうか。正直言って読んでいて全力で殴りたくなる程に鈍感である。ようやく相手の想いに気付いてからも全く動けず極度の優柔不断っぷりを披露している点にはもう賞賛さえ贈りたくなる。だからこそこの巻では皆の想いが溢れ出し直巳に心労を負わせることになるのだが。
直巳は徹底的にぶちのめされる。何度も傷付き涙を流し倒れてしまう。ある意味痛々しくさえもあるのだが(プレゼントの件含め)、因果応報というべきかそれとも巡り合わせというべきか悩む点ではある。クライマックスでは今までにないほどボロボロの状態のフェテケリコがステージに立つ様は読んでいながら「もうやめてくれ!」と言いたくなってしまうほど
この作品を読んだ事で様々なジャンル、時代の音楽に触れてみたいと思うようになったのは大きなきっかけだったのかもしれない。 -
過去最大級に主人公の鈍感さに腹が立った。
無神経すぎるだろう・・・
最終的には想いが通じたから良かったのかもしれないが、結果的に主人公以外のキャラクターの印象が強くなる。
特に、クリスマスライブ当日の哲郎の言動は格好良かった。 -
再度、ライブに向けて走り出そうとするフェケテリコだが、真冬の身に異変が!?
真冬の誕生日、ライブ、そして4人の恋の行方は!?
本編完結編。
哲郎め(笑)
神楽坂先輩も千晶も波乱を起こしたけど、それ以上に哲郎なんだよ!
恐らく、神楽坂先輩がシリアスモードになるから哲郎の存在が際立って、バランスが取れて、彼なしでは成り立たなかった最終巻だったと思う。
シナリオが直球だから意外性がないけど、王道感があってよかったかな。
みんな器用そうで不器用、だけど、青春を感じられて、シリーズ通じて楽しませてもらいました。
あと、後日談が1冊あるようなのでそれも楽しませてもらいたい! -
9784048674294 331p 2008・12・10 初版