すべての愛がゆるされる島 (メディアワークス文庫 す 1-1)
- アスキー・メディアワークス (2009年12月16日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (210ページ)
- / ISBN・EAN: 9784048682206
作品紹介・あらすじ
太平洋の真ん中、赤道直下に浮かぶ、名前のない小さな島。そこには教会があり、神父とわずかな島民が暮らし、訪れるどんな二人も祝福され、結婚式を挙げることができる。同性愛、近親愛、不倫愛、そこではあらゆる愛がゆるされる-その二人が、ほんとうに愛し合っているかぎり。その島を訪れる、父親と娘。それから姉と弟。ある者は愛の存在証明のために。またある者は不在証明のために。様々なものを見失って渇いた者たちの、いのちと時間がその場所で交錯する-。
感想・レビュー・書評
-
エンディングが期待はずれ。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
昔読んだ記憶があるのだけれど、未登録だったよう。
読んだ直後の感想は「下北沢のOFF・OFFシアターか劇小劇場で上演されてそう」だったので、ネット上の真面目な感想見てると「なんか・・・すみません」て気分になった。
同じ作者の「世界でいちばん透き通った物語」読破したついでに本棚に登録 -
非常に小説っぽい小説。
実の娘に欲情してしまう先生も滑稽だし、それに執着する咲希も
ジェラシーを感じつつ自分が代わりと知っている直樹も
そんな愛で育てられた愛もまた、粋な話であった。
近親愛がテーマというだけあって、結ばれてはいけない。
という前提のもどかしさがすごく伝わった。
視点がコロコロ代わり最後まで読まないと筋が通らないのが分かりにくかった。 -
タイトル通りの物語。仕掛けられたトリックが明かされたとき物語の根幹にあるテーマが色濃く現れる作品。非常に好きである。
-
物語というのはあらゆるものを真とする
-
愛の物語ではなく、呪われた愛からの解放の物語といった方が、たぶん適切なのではないかと感じました。
太平洋に浮かぶ小さな島に、同性愛であれ、近親愛であれ、不倫愛であれ、結婚式が挙げられる教会がありました。2人が本当に愛し合っていると神が認めれば、教会の奥にある扉が開くと言い伝えられています。
この島を訪れた2組の男女が、この物語の主役です。一方は父と娘で、もう一方は姉と弟です。父は藤岡学といい、周囲の人びとに「先生」と呼ばれている小説家です。娘は藤岡咲希といい、先生とその愛人の間に生まれた娘でした。父は、愛など少しも信じてはいませんが、娘に引きずられるようにこの島にやってきます。父は教会の神父に出会い、教会が、愛してはならない人を愛してしまった人びとの想いを、信仰によって支えていることを教えられます。「神の名において強迫し、快不快の物差しを造りかえること。幸せを再定義すること。それが信仰です」。
しかしそれは、愛を信じない「先生」にとっては真実でも、愛してしまった娘にとっての真実ではありません。「愛していいかどうかを決めるのは愛する側です。愛される側ではない。だから信仰が力を持つんです」。
教会の扉を開けることのできなかった娘は、島から帰り、先生の妻のもとに引き取られて育ちました。彼女は「先生」の愛を求めて、異母弟の直樹とともにふたたび教会を訪れます。島に残された「先生」の手がかりをたどりながら、2人は教会の真実を突き止めます。そして彼らが教会の扉を開けて目にしたのは、「先生」の残した小説と、聖書に刻まれた父と娘の名前でした。父もまた、彼なりの仕方で、娘への愛を再定義し、そこに自分自身をつなぎとめていたのでした。
エピローグでは、咲希と直樹の娘・藤岡愛が教会を一人で訪れ、「愛する人がそこにたしかにいると、感じられるだけでいい」という決断を下すことで、3世代にわたった呪われた愛からの解放を実現することになります。 -
最後に時系列がよくわからなくなった。途中までは適度にグロテスクでじとっとした感じがよかっただけに、残念。
『ほんの一ミリグラムの望みは、絶望の千倍つらい』
『幸せを再定義すること。それが信仰です。』
なかなか好きなフレーズを書いてくれてました。 -
太平洋の真ん中の名もない島。
そこは同性愛、不倫愛、近親愛などあらゆる愛が許される命と時間が交錯する島。
杉井さんってこんな作品も書けるんだなぁという感想しかないな。
組み立ても上手いし、まとめも上手いんだけど、登場人物に名前が基本なく、感情移入が出来なかった。
でも、そこが味なのかもしれないけど。 -
6月15日B