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- Amazon.co.jp ・本 (421ページ)
- / ISBN・EAN: 9784048733755
感想・レビュー・書評
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昭和27年5月、国分寺。2万坪に亘る邸宅を相続し、そこに夢のようなバロック庭園を造る孤独な陣内青爾。彼は邸で夜会を開き、庭園で従兄の新妻である久我杳子と出会い、二人は恋におち密会を重ねていく。同時に、青爾と杳子の妹、美夜の縁談話がまとまり、禁断の恋は、やがて来る二人の結婚によって、はかなく終止符を打つ筈であった。しかし杳子は罪の意識にためらいながらも、青爾に強く惹かれていく。二人は完成した巨大な庭園で「アモールとプシュケ」の彫像のように結ばれる。しかし、それは破滅への序曲であった...
読み進みながらも、青爾の辿る破滅の終局が予想され、それが快楽のようにも覚えました。青爾のモデルとなったのは、「狂王」ルードヴィヒ?世(ルキノ・ヴィスコンティの映画「ルードウィヒ/神々の黄昏」ではヘルムト・バーガーが演じました)でしょう。バイエルンの国王であった彼も、芸術を愛し、ワグナーと非現実的な城造りに国費を浪費します。彼は従姉妹のオーストリア皇后エリザベート(映画では、ロミー・シュナイダー)に想いを寄せるのですが、エリザベートは彼を妹のゾフィーと結婚させようとします。やがてルードヴィヒは精神を病み、やがて謎の死を遂げますが、青爾とダブりますね。
それから作者の華麗な文体は、三島由紀夫を彷彿とさせます。やはり禁断の愛をテーマにした「春の雪」を思い出しました。
「狂王の庭」映画化しないかな〜詳細をみるコメント0件をすべて表示