- Amazon.co.jp ・本 (387ページ)
- / ISBN・EAN: 9784048733991
作品紹介・あらすじ
若年性の痴呆症を患い、ほとんどすべての記憶を失いつつある母・千鶴。彼女に残されたのは、幼い頃に経験したという「凄まじい恐怖」の記憶だけだった。バッタの飛ぶ音、突然の白い閃光、血飛沫と悲鳴、惨殺された大勢の子供たち…死に瀕した母を今もなお苦しめる「最後の記憶」の正体とは何なのか?本格ホラーの恐怖と本格ミステリの驚き-両者の妙なる融合を果たした、綾辻行人・七年ぶりの長編小説。
感想・レビュー・書評
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怖さはそれほどでもなかいが、終始不気味な感じ。
あとがきに記されているように、結末ですべてが理に落ちるわけではなかった。でも、そういうことなのか〜と区切りはつきました。
頻発する「ああ」に、主人公の疲れ、病み、諦めがにじみ出ていた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
いつものミステリーではなく、ホラー寄りの作品。
綾辻行人って思って読むと、少し残念な感じかも。
話はちゃんと繋がってるし、途中までは囁きシリーズみたいだけど、最後の方で不思議なダークファンタジーが入りつつ、戸惑っている間に完結してしまった。
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2000年から2002年にかけて、月刊誌『KADOKAWAミステリ』に連載された作品を2002年に単行本化。
帯には「本格ホラー小説」と書かれていますが、どちらかというと、ダーク・ファンタジーという感じでしょうか。
クライマックスまでは記憶がテーマのミステリーで、ダーク・ファンタジー的なクライマックスがあり、実は〇〇でした、という仕掛けがある、と、結果的にはファンタジー要素のあるミステリーという感じです。
「ホラー」というと、幽霊が怖い、とか、狂人が怖い、とか、〇〇が怖い話、だとは思うんですが、この作品の場合は、記憶が無くなることが怖い話。まあ、読んでても、全く怖くないですけどね。
ただ、多分10年ぶりくらいの再読なんですが、この作品の内容を全く覚えていなかった自分の記憶力の無さには、ちょっと怖くなりましたけど。 -
ミステリーなのかホラーなのか分からずに読んでいた。ストーリーが凄い。白髪痴呆に囚われてしまった主人公が、病んで、踠いて、気付く。
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私にとっては初・綾辻行人作品でした。
所々ゾクゾクとするところもあり、
ちょっとした推理要素もあり、
思いがけずスラスラ読めました。
とても読みやすい、絢辻さん……。
ショウリョウバッタは序盤できっとこうなのでは?と思っていたらやはりその通りで、あとはキーワードが出てくるものを繋ぎ合わせて答え合わせのように謎解きをしていく感じが面白かった。
それでも少し、ホラーでありつつファンタジックでもあったような気がする。
ミステリー小説やホラー小説は
先がどうなるのかというワクワクした高揚感や
このあとどうなってしまうの?何が出てくるの?
という先の見えない恐怖、
自分で想像してまうよくわからないモノたちの怖さ。
そういうものが楽しいのじゃないかなぁと思ったりする。
自分で想像したモノが特に怖いのじゃ、ないかしら。
映画で見て驚いたり、音を聞いてびっくりしたりするけれど、
もしかしたらこの扉を開けたその暗闇の先に、
見知らぬナニかがいたらどうしよう、
そんなことを考えている瞬間が一番緊張していて、
ドキドキしていて、それに似た先のわからない怖さが、ホラー小説を読む時の楽しさなのかもしれない。
人はよく分からないものが一番怖い。