- Amazon.co.jp ・本 (314ページ)
- / ISBN・EAN: 9784048736183
作品紹介・あらすじ
待望の文化祭が始まった。何事にも積極的に関わらず"省エネ"をモットーとする折木奉太郎は呑気に参加する予定だったが、彼が所属する古典部で大問題が発生。手違いで文集を作りすぎたのだ。部員が頭を抱えるそのとき、学内では奇妙な連続盗難事件が起きていた。十文字と名乗る犯人が盗んだものは、碁石、タロットカード、水鉄砲-。この事件を解決して古典部の知名度を上げよう!目指すは文集の完売だ!!千載一遇のチャンスを前に盛り上がる仲間たちに後押しされて、奉太郎は「十文字」事件の謎に挑むはめに!米沢穂信が描く、さわやかでちょっぴりホロ苦い青春ミステリ。
感想・レビュー・書評
-
エンタメ性強い!
氷菓シリーズの他の作品は何冊か読んでいたのだけど、正直ちょっとポップじゃないなーって思ってた。
だからアニメや映画になってるのは知ってたけど大丈夫かなーって心配してた。
でも本作は楽しい!大丈夫!
章毎に主観が切り替わって古典部各人の視点になる。
千反田の心の中はツッコミどころ多すぎて笑わせてもらった。
奉太郎への評が列挙されている中の「存在自体が勤労感謝の日に対するアンチテーゼ」が好き。
入須先輩のアドバイス「見返りのある頼みごとと見返りのない頼みごと」は急に普通の小説のストーリーの中に自己啓発本のように実用的なノウハウが入ってきてちょっとびっくりした。
米澤さん奥が深いなあ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
古典部3作目。
事件が定義(と言うのだろうか)されるまで、つまり前置きが長い。今回は文化祭ということもあって、いろいろ状況を理解することも必要だったのだろうけど長すぎだよ。 -
古典部3作目は、ついにきたカンヤ祭。
今回は4人の目線で描き分けられていて、それぞれの心情が読み取れて新鮮でした。
トランプマークの通し番号にはなんか意味があったのかな。
古典部の抱える難題、200部の「氷菓」を3日間のカンヤ祭でどう売りさばくか4人がそれぞれ知恵を絞ってがんばります。
そして、あいうえお窃盗事件をうまく利用しようと「十文字」事件の真相に迫っていきます。
ホータローの安楽椅子探偵ぶりに、わらしべ長者プロトコル
えるちゃんの料理の手さばきと交渉術
摩耶花の「夕べは骸に」と漫研バトル
里志のコンプレックスとデータベース
期待と諦め、青春のほろ苦さ。
学祭の独特な高揚感とエネルギー。
3作目がいちばん好きかも。
周辺の色々が「十文字」事件と「クドリャフカの順番」に収束されていって、
文集もめでたく完売しても
ただめでたいだけの終わりではなかったけれど、
みんな成長途上ということで。
「十文字」事件の真相はだいぶ切ないものがありました。
4人の今後が、わたし、気になります! -
いいなあ!!
ムダに多い文科系部活が総力をあげて取り組む文化祭♪
たった3日間の文化祭期間が終われば壊され、跡形もなくなる展示や
ただ一度のパフォーマンスのために傾けられる、膨大なエネルギー。
そんな二度とない時間の中で、
知識とフットワークを駆使しても「十文字」の尻尾も掴めなかった里志から
省エネモードで部室に籠っていても事件を解決に導いてしまう奉太郎へ
漫画への真摯な姿勢を先輩に揶揄されて悩む摩耶花から
去年の文化祭で手に入れた同人漫画『夕べには骸に』の作者へ
神山高校挙げての大騒ぎとなった「十文字事件」の犯人から
原作の仕上がった『クドリャフカの順番』に手をつけようとしない作画担当へ
と、何と引き換えても手に入れたいほどの才能に、眩しげに切なげに注がれる視線。
「期待っていうのは、諦めから出る言葉なんだよ」という里志の呟きに
漂う、もはや米澤節ともいえるようなほろ苦さ。
今は手が届かない、あるいはずっと手が届かない気さえする才能や力に憧れ
生まれながらにしてその能力を得ているのに浪費しているかに見える存在に
嫉妬したり、期待して裏切られたりする高校時代という季節に
省エネ主義者の奉太郎は、お料理バトルに苦戦する仲間たちのために
数百人の観客の注目を集めることも厭わず窓から身を乗り出して小麦粉を投げ
関係のない人を巻きこんだり人前にしゃしゃり出たりするのを良しとしない千反田さんは
「氷菓」完売のためあらゆるツテを駆使し、校内放送にまでゲスト出演し
『夕べには骸に』の完成度に打ちひしがれ、漫研での微妙な立場に悩む摩耶花は
それでも見上げる頂となる作品を目標として腕を磨き、進むのだと決意し
データベースを自認し、いつもは奉太郎のサポート役に甘んじていた里志は
店番で動けない彼のかわりに事件を片付ける!と自ら積極的に走り回って
それぞれに苦手分野に足を踏み出し、柄にもないことをしたと苦笑いしながら
古典部の皆が、いつのまにか殻を破ってちょっぴり成長しているのが素敵です。
前作『愚者のエンドロール』では冷徹さが鼻についた「女帝」入須さんが、
就活中の学生全員に配布したいほどの交渉術を千反田さんに伝授しながらも
その効果を気にかけ、彼女の美点を損なわないよう、
わざわざ助言を撤回しに来るあたりも、意外で心が温まり
壊れた万年筆→ワッペン→水鉄砲→小麦粉→ブローチ→同人誌
と続くわらしべプロトコルの経緯も大いに楽しい、この作品。
そして、なんといっても。。。
古典部のみんな、「氷菓」完売おめでとう!! -
アマデウスのモーツァルトとサリエルの如く、天才と凡人をキーに文化祭の中での事件が進んでいく。古典部4人の視点から描かれており、その要素がより伝わってきた。天才の才能を見抜くのもすごいと思うけどね。自分はそれさえなかなか気づけない輩なんで
-
古典部シリーズ第三弾。
-
キャラの色が出ていて面白かった。料理対決、わらしべ長者あたりも好き。そして、やっぱり折木姉が気になりますw
-
シリーズ3作目。
今作は古典部各者の視点で話が進むので個人的には各登場人物の掘り下げができてて面白かった。
事件の顛末よりも漫画部の葛藤のくだりがよかった。 -
こんなスリリングな学園祭を過ごしてみたい
-
これはもう止まらない(笑)「氷菓」から続く、古典部シリーズの3作目。事件の謎解きはもちろん、登場人物の心境の変化や事件を起こす人の気持ちとか、自分にも繋がるものがある。サラサラ読める軽めの推理小説と思わせといての奥深さで、すっかり古典部中毒。たぶん速攻で4作目読むな(^_^;)