- Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
- / ISBN・EAN: 9784048737432
作品紹介・あらすじ
男前でかわいい彼女たちの最強恋愛小説。
感想・レビュー・書評
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タイトル「クジラの彼」と表紙のカクテルの絵に惹かれてチョイス。
自衛官の男性あるいは女性の恋の話し。
今回も苦手とする恋愛でしかも短編の小説ではあるが、一緒に手に取った自衛隊三部作の1つである「海の底」のスピンオフとして主人公が本作に登場していたので、この本の選択時点では期待大であった。(ただ、海の底は非現実的な怪獣映画で、本作とは、全く関係がないことが、海の底を読んでわかり、少しガッカリだった)
クジラの彼
主人公・中峯聡子は、潜水艦の自衛官で恋人・冬原春臣から 2ヶ月ぶりに送られてきた『お元気ですか?浮上したら漁火がきれいだったので送ります。春はまだ遠いですが、風邪など引かないように気をつけて』と書かれただけの短いメールを受け取る。潜水艦乗りの彼と普通のOLの恋の話。
聡子に送る短いメールを考えると合コンであった夜に2人が一晩中、話題が尽きることなく話しができたというのが、奇跡のような出会いだと思わずにはいられない。よほど聡子の潜水艦をクジラに例えた表現が冬原の心に響いたのだろう。
自由が制限される職業がら相手のことを思って「別れたいときに別れていいよ」とか「いつでもやめていいよ」と聡子に伝えているが、自分の正直な気持ちを添えて伝えるのではなく、高物件の冬原がこの言葉をだけを伝えることに、恋愛への自信のなさを感時、2人の恋の切なさを感じた。
ロールアウト
次世代軍用機のコンパートメント式トイレを要求する高科三尉た航空設計士・宮田絵里のトイレを巡る戦い。
男子トイレを通路として誘導できるのに、軍用機のトイレはコンパートメントにして欲しいと主張するた高科の思考が、女性には理解しづらいところがあった。「なんでー。男性はどこでもしてるじゃない。」と、思わずにはいれなかった。
本作を通じ、絵里と高科の恋よりも、私には男性が個室を利用する時の感覚が女性と同じであることがわかったことの方が、本作の収穫のように感じ、「やっぱり人間なんだ。」と納得感が半端なかった。
国防レンアイ
女性陸上自衛官・三池舞子三曹は恋人に振られるたびに同期の伸下雅史三曹に愚痴る。三池が好きな伸下とそのことを知らない三池との恋愛発展までの話。
いきなり、女子自衛官のWAC(ワツク) なる専門単語が登場。何の略とWomen’s Army まではわかったが、Corpsがなかなか出てこなかった。こんな些細なことに引っかかりながら、読み進める。
想い人である三池が恋人にふられる度に自分にだけ見せる弱みに付け入るべきか入らざるべきか。男性でなくとも複雑な気持ちになるだろう。でも、そこは正義の自衛官という設定だ。8年間もじっと耐え忍んでいるという設定になっている。読者としては、こんなに長い期間、想いを継続し、弱みにつけ込まずに耐え忍んでいる伸下には、上手くいって欲しいと絶対に思ってしまう。(少なくとも私は、同情に近しい感覚に陥った。)
男性運がない三池が最後に最強男子を捕まえることができるのか!といったところであろう(笑)
有能な彼女
『海の底』のスピンオフ!主人公2人が登場するその後の話。
夏木大和と冬原晴臣がともにニ尉に昇進していた。そして冬原はすでにクジラの彼で登場した聡子と結婚していた。クジラの彼から読み始めたので、本作の繋がりは簡単であった(が、このイメージで読み始めた「海の底」の内容に調子を狂わされた)。
恋愛不器用な夏木の彼女・森生望は、海幕広報室のマドンナでしかも、仕事ができる。
相手のことを思いすぎて、恋愛を次のステージに進めることに躊躇してしまう夏木の不器用さは、不器用と言うより鈍感かつ臆病なだけで、イライラした。
脱柵エレジー
新隊員の頃、清田和哉が遠距離恋愛中の彼女のために、陸自の若造が駐屯地脱走を試み失敗した経験の物語。
恋愛による勇気ある(向こう見ずな)行動は、往々にして、判断力が伴っていない。冷静になってみれば、わかることなのだが、本人は、相手を美化し、自分と同じくらいに相手のことを思っていると勘違いをしてしまう。
そんなこと、第三者に言われなくても、解ってはいるのだが、受け入れることが出来ず判断を誤る。こんな時も冷静な判断と行動ができる人間になりたいとつくづく思う。かく言う私もできない1人である。
ファイターパイロットの君
『空の中』の大人主人公2人の結婚後の話。
三津菱重工社員・春名高巳とその妻でファイターパイロット・光稀とのはじめてのデートとその後の話。
恋愛不器用な光稀をいったいどのように高巳はデートを誘ったのか?高巳の苦労がなんとなく想像でき、吹き出しそうになった。
パイロットとしては優秀で、ベテラン光稀が、恋愛や母親という立場のフィールドでの言動や所作が可愛いく、そのギャップが初々しく感じ、応援したくなる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
いい年した大人が、活字でベタ甘ラブロマ好きで何が悪い! あとがきより。
いいえぇ、ちっとも、悪くごっざいません。
整然とした文字の羅列が、私にこれでもかこれでもかと、胸キュンをせまりました。しかも、私、おかげさまで自衛隊三部作は既読なもので、より一層胸キュンをしてしまいました。
表題作「クジラの彼」の、ヒーローは、なんとあの、冬原さん。私、有川さんの作品では、主となっているヒーローよりも、彼らを支えている男の人がすきなのです。
つまり、夏木さんより冬原さん。堂上さんより小牧さん。掛水くんより吉門さん(笑)です。
「海の底」では、さらっと「結婚した」としか、かかれていませんでしたが、潜水艦のりの冬原さんとその彼女聡子さんにも、あーんなドラマが。クールな冬原さんが、
「聡子が待っててくんなきゃ嫌だ」って言うところ、激烈にもえました。
「有能な彼女」は夏木さんと望のお話。泣けました。あの二人が、とうとう・・・おめでとうー。ぱちぱち・・・わーん。ってな感じです。
「ファイターパイロットの君」は、「空の中」の高巳と光稀のお話。高巳がいい男過ぎますよ。ママになった光稀が単身赴任をしていて、高巳は娘と二人して、ママの帰りを待つとか・・・すいません。この日本国のいったいどこに、そんなできた男がいるんですかー。おーい。どこですかー。
高巳に愛される光稀が、うらやましくて、可愛くて・・・ファイターパイロットをずっと続けていて欲しいと思いました。
ほかにも、「国防レンアイ」も好きです。胸キュンいっぱいしました。あああ。本読みでよかったです。私。
また明日からも、がんばれる。-
まろんさん!!こんにちはー。
これは、やばい本でしたね。これを読んだ後で、私現実の世界に、戻れるか分からんな・・・と思ったほどです。
そうか...まろんさん!!こんにちはー。
これは、やばい本でしたね。これを読んだ後で、私現実の世界に、戻れるか分からんな・・・と思ったほどです。
そうか、まろんさん、吉門さんより清遠さんか!!そう来ましたね。
思い返せば、「県庁おもてなし課」は、私の有川さん処女作品。まろんさんに、「有川さんをもっと読んで読んで」とコメントをもらって、「うわー読もう!!!」と思ったことを昨日のことのように思い出します。、2013/05/19 -
わたしも夏木より冬原、掛水より吉門、
でも小牧より堂上教官です^^
堂上教官はやばいぐらい好きです。(笑)
こういうその後のストーリーはた...わたしも夏木より冬原、掛水より吉門、
でも小牧より堂上教官です^^
堂上教官はやばいぐらい好きです。(笑)
こういうその後のストーリーはたまらない!
高巳、いいですよねえ・・・ほんと、どこにいるんでしょうねえ・・・
現実の世界に戻れるかわからなくなるような本てありますよね!
2013/05/23 -
macamiさん、こんにちはー。
macamiさんは堂上派ですか。やはり、「よくやった」とか「いい子だ」とかいって、郁をなでなでするのがツボ...macamiさん、こんにちはー。
macamiさんは堂上派ですか。やはり、「よくやった」とか「いい子だ」とかいって、郁をなでなでするのがツボですか?もしくは、「トリか!?」「前世クワガタか?」とやたら動物に例えるお茶目さを支持しますか?
その後のストーリーって、本編読んでいるものにとっては、ご褒美みたいなものですものね。
ほんとに、たまりませんねえ。
あ、こうやって書いていると、また現実の世界から遠ざかっていく私がいます。友人に、
「聞いてない だれもそこまで 聞いてない」
という川柳をもらってしまった私です。2013/05/23
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作者の あとがき が、最高! 有川浩、大好き!
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自衛隊員の恋愛を描いた六つの短編小説集の中に、「空の中」と「海の底」のスピンオフが紡がれている。
『クジラの彼』は、「海の中」の冬原と彼女。
『有能な彼女』は、「海の中」の夏木と望が大人になってから。
『ファイターパイロットの君』は、「空の中」の高巳と光稀。
スピンオフ、アマアマで幸せなお話です。
『クジラの彼』で紡がれる「言葉」がいいなー。
『有能な彼女』の弱々の夏木と、夏木にまっすぐに、素直に、自分をぶつける、預けてくる望が魅力です。
『ファイターパイロットの君』の光稀は女ですw
『クジラの彼』と『有能な彼女』の2編が気に入った。
スピンオフを読み終えて「自衛隊三部作」読了って感じです。
さて、有川浩さんがあとがきでこんなことを。
「「活字でベタ甘」が好きやきしょうがないろうがえ。・・・ 漫画でもアニメでもドラマでも映画でも不可能な、活字特有の胸キュンの需要が私的にはあるがやきかまうかえ。」
「図書館シリーズ」の「活字でベタ甘」を知った私にもその需要はあるようですw
Fin. -
前に読んだ本の登場人物の経緯や後日談を読めてよかった☺
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男女の関係がこんなにも魅力的に思えるなんて…!甘々なのに、嫌な気持ちにならず、後味さっぱりなのが有川さんの作品の凄いなと思うところです。『クジラの彼』、特に好きです。存分にキュンキュンさせて頂きました。
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作者曰く『ベタ甘』だそうで
自衛官が主人公のベタ甘の短編集でした
『空の中』や『海の底』の番外編的な短編も収められていて知らずに順番に読んでた俺ナイス!
ベタはいいよねやっぱ
ただ有川浩さんのベタ甘は背骨がしっかりしてるって言うのかな
なんて言うんでしょバックボーンがしっかりしてるんですわ(同じ意味やで) -
一回、図書館で借りで読んでみました。
その時は、単行本でしたが…。
そして、表紙がとても綺麗なことが印象的で文庫本を買いました。
クジラの彼も凄く好きですが、ロールアウト!が好きですね。
内容が、トイレについての話だったので初めは驚きましたが読み返すにつれて「なるほど・・・」と考えさせられる点がいくつかありました。
クジラの彼は、≪海の底≫の続きで、有能な彼女も海の底の夏木さんと望ちゃんの後の話です。
そして、ファイターパイロットの君。この為に、買ったようなものです。
親となった、≪空の中≫の高巳さんと光稀のその後ですね。
先に、≪空の中≫ ≪海の底≫を読むことをお勧めします。
単行本と文庫本の表紙が少し違って素敵だなあ・・・、と思いました。
そして、単行本のみついている、カクテルのイラスト。
銘柄を探すのが、楽しいですよ -
有川さんの物語を読んで思うのは、人と人の距離がちょうどいいということ.こういう距離をとることができる人とお友だちになりたいなぁ、こういう面白いやりとりができる人と恋愛したいなぁ、と思わせる.
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国防に携わる彼・彼女らの恋愛短編集。
登場人物全員の性格が違い、色んな傾向の恋愛があって面白い。
個人的には、表題になっている『クジラの彼』が1番よかった。