- Amazon.co.jp ・本 (354ページ)
- / ISBN・EAN: 9784048738118
作品紹介・あらすじ
神山高校で噂される怪談話、放課後の教室に流れてきた奇妙な校内放送、摩耶花が里志のために作ったチョコの消失事件-"省エネ少年"折木奉太郎たち古典部のメンバーが遭遇する数々の謎。入部直後から春休みまで、古典部を過ぎゆく一年間を描いた短編集、待望の刊行。
感想・レビュー・書評
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『遠まわりする雛』。。。いいタイトルです!
美しい上に、このタイトルを冠した終章の雰囲気を余すところなく伝え、
しかもそれを本のタイトルにもってくることで
奉太郎と千反田さん、里志と摩耶花の、近づきそうで近づかない、
遠まわりもいいところのもどかしい関係を象徴しているかのようで。
相変わらず、明治の文豪のような奉太郎の語り口や
イマドキの高校生は絶対こんな会話してないから!とつっこみたくなる
里志と奉太郎の才気走った会話が、どうしようもなく心地よくて、困ったものです♪
今回の7篇は、苦さと甘さと可笑しさのバランスが絶妙で
前作から「第一人者になれない自分」、「誰かに期待をかけるしかない自分」を
引き摺り続けていた里志が、こだわらない気楽さを選んだ結果
引き起こしてしまう『手作りチョコレート事件』が苦さ5割増しなだけに、
『あきましておめでとう』や『遠まわりする雛』のほのぼのした味わいに救われます。
計り知れない好奇心を秘めつつも、普段はおっとりした風情の千反田さんが
北陣出を「わたしの終着点」として住民みんなが豊かに生きる方法を模索し
理系に進むことを決意していることに感動し、
心の中での「保留」の意味をやっと意識し始めた朴念仁の奉太郎に
狂い咲きの桜の下を十二単を纏って歩く千反田さんを
正面から見たい!と思った一瞬を、脳裡に刻み付けるがいい♪と
心のなかで密かにお説教したくなる、古典部シリーズ4作目でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
古典部4人の高校入学からの1年間を綴った短編集。
初出は順番もバラバラのようですが、時系列に並べてくれているので分かりやすい。
「氷菓」事件、「女帝」事件、「十文字」事件の間にこんなこともあったのねぇ
カンヤ祭のあとには、こんな展開が待っていたのねぇ。
登場人物が打ち解けていって距離が近くなっていく様子や
それぞれの葛藤やそこからの成長が見られて
シリーズものならではの楽しみが味わえました。
生き雛祭はいい話だね。きゅーんとした。
早咲きの桜ってなんかいろいろいい予感がするもんね。 -
ホータローがえるを意識し始めるとこの描写とか大好き
あと一冊 -
古典部シリーズ4作目。短編で、古典部メンバーのそれぞれを描いてあるから、軽めの推理でサクサク読んでしまった
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SL 2020.7.19-2020.7.21
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古典部シリーズの四作目。高1生活の中で起こる、ささやかな事件の謎解きが七編、そしてとうとう奉太郎はえるに恋愛感情を抱いたようで、告白一歩手前まで関係は深まった。次作の ふたりの距離の概算は既読であるが再読せねばならないだろう。しかし、こんなゆるい話なのに、次から次へと読みたくなるのは何故だろう。
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「心あたりのある者は」が特に好きです。
いつか映像化してみたいと思い、私は役者を探しています。
一つの場面で、二人の役者のみ。それでいて映像でも成立しそうなミステリではないですか。