著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048739726

作品紹介・あらすじ

過酷な自然、のしかかる重い疲労。死線をさまよい続ける極限状態にあって、人間が人間らしくあることは可能なのか。第二次世界大戦時のニューギニアで、前線と後方をつなぐ兵站線から、名も無き兵隊たちのドラマを描く、小説の極致。

感想・レビュー・書評

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  • 【再読了】2023年7月31日

  •  第二次世界大戦時の激戦地、ニューギニア前線。
     どの章も 生きることが絶望的な戦線での 兵士達の過酷で無残な姿を突きつけて来ます。 一編読んでは休み、一編読んでは休みの繰り返しでしたが、最後まで読まずにはいられない内容。
     短編集なのに、長編を読んだような感覚になりました。

  • 美談でなく、どこまでも報われないニューギニア戦線の兵士達の日々の話が淡々と書いてある。短編で読みやすかった。

  • ニューギニア戦短編集です。
    古処先生にしてはさらりと書いたな!と読み始めは思ったんですが、最後の最後の一行で、「ああそうか」と先生の意図をつかんだ気分です。
    ひとくくりに「南方」という言葉でくくってしまうけれども、高々60年前に祖父たちはオーストラリアまでを手中に収めようと、泥の中を戦っていた。60年で、生活は大きく変わった。しかし、日本人の本質はそう変わっていない。人は弱い、どうしようもない、ずるい、のたうち回って、でも生きていく。戦っていく、そして死んでいく。古処先生の描く太平洋戦争は、精神的な美化や武勇性はほとんどない。ただ『そこには人間がいた』。
    あいかわらず「戦争小説」のくくりに、入れるのことの出来ない作品でした。「接近」の帯の文句は素晴らしく的を得ている。

  • 短編集です。よね?
    この人の作品は当時の軍隊内での区分けや力関係、
    立場などを理解できて楽しいです。
    当たり前ですが、みんながみんな将校でも歩兵でもないんですよ。
    現地召集された日系現地人もいるし、民間召集もあるし、
    前線だけでなく後方支援もある、語学兵や暗号係もいる。
    女性だって従軍していました。
    どうしてもクローズアップされるのは派手さや悲劇性。
    のたうちまわるのが戦争なんだと改めて思わせられる作品が多いです。

  • 短編集。
    古処さんの戦争物としては重すぎずとっかかりやすいのでは。

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著者プロフィール

1970年福岡県生まれ。2000年4月『UNKNOWN』でメフィスト賞でデビュー。2010年、第3回「(池田晶子記念)わたくし、つまりNobody賞」受賞。17年『いくさの底』で第71回「毎日出版文化賞」、翌年同作で第71回「日本推理作家協会賞(長編部門)」を受賞。著書に『ルール』『七月七日』『中尉』『生き残り』などがある。

「2020年 『いくさの底』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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