ジェノサイド

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
4.29
  • (2606)
  • (1828)
  • (648)
  • (123)
  • (55)
本棚登録 : 12338
感想 : 2148
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (590ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048741835

作品紹介・あらすじ

急死したはずの父親から送られてきた一通のメール。それがすべての発端だった。創薬化学を専攻する大学院生・古賀研人は、その不可解な遺書を手掛かりに、隠されていた私設実験室に辿り着く。ウイルス学者だった父は、そこで何を研究しようとしていたのか。同じ頃、特殊部隊出身の傭兵、ジョナサン・イエーガーは、難病に冒された息子の治療費を稼ぐため、ある極秘の依頼を引き受けた。暗殺任務と思しき詳細不明の作戦。事前に明かされたのは、「人類全体に奉仕する仕事」ということだけだった。イエーガーは暗殺チームの一員となり、戦争状態にあるコンゴのジャングル地帯に潜入するが…。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 3度目にしてやっと読み終えました。
    3つの場面が同時進行で読み応えありました。

  • 新人類の誕生、そして殺戮を繰り返す現人類の愚かさ。長い人類の歴史を紐解き、そして自分達を俯瞰で見下ろす新たな上位存在にどう対峙してゆくのか。そんな哲学的命題を目撃した気がした。
    エンタメとしても、展開がスピーディー且つ謎が点と点で繋がってゆく様が爽快で、壮大なSF映画を見た様な読了感だった。

  • すごい話を読んでしまった・・・
    読んでる間はハラハラドキドキしっぱなしで
    帯に「徹夜本」とデカデカと記載されていましたが
    まさにその通り
    読み終わった後は
    壮大なスケールの3部作くらいの長編映画を見終わった後のような
    清々しい満足感が得られて、今余韻に浸っています
    本を読む醍醐味が味わえました
    本を読んでいると、自分の想像力が試されることがあるのですが
    この作品は勝手に映像が脳内再生されます

    ちなみに私の脳内ではこちらの俳優さんで脳内再生されていました
    イェーガーはブルースウィリス
    ギャレットはケビンベーコン
    マイヤーズは若い頃のオーランドブルーム
    ミックはケインコスギ
    ピアースはトムハンクス
    研人は赤楚衛二
    正勲は中村倫也
    すごい豪華俳優陣だったので、読んでいて楽しかった

    薬学の知識がゼロの私にも理解できるほど
    新薬を作り出す過程がわかりやすく解説されており
    新薬開発がいかに困難な道のりなのかを知ることができます
    肺胞上皮細胞硬化症という病気は
    実際には存在しないらしいです、よかった

    できることなら
    もう一度、記憶を消してハラハラドキドキ読みたい・・・
    そのくらい楽しかったです

  • アフリカ・コンゴ、アメリカ、日本を舞台にしたアクション×サスペンス×エンタメ群像劇!
    これは人類の「新・出アフリカ」記か。

    人類の脅威となりうる「何か」がコンゴで<生まれた>。それを火種に、米ホワイトハウスから物語が動き出す。「何か」に付けられた暗号名は<ヌース>。そして作戦名<ネメシス作戦>。

    アメリカ政府機関、アフリカ紛争の内実、世界情勢、理系基礎研究、軍事、諜報、人類学などの緻密な描写が説得力と重厚さを生み、物語のスケールを支える。

    約500万年前にアフリカで生まれた人類。約20万年前に現生人類が「出アフリカ」し、何万年もかけて地球上に広がった。
    ここから、ふたたび人類が始まるのか。それとも、終わりの始まりか。

    大統領以下の政府高官、科学者、傭兵、日本の大学院生まで、それぞれの信念と思惑が絡み合う。
    デッドライン(文字通りの)があり「逃げながら闘う」2つのストーリー。
    急流のような話の流れに、丹念に張られた伏線。それらが回収されたときのカタルシス。

    人間の本質、戦争の非人道性などテーマは軽くはない。
    しかし、活劇としての純粋な面白さと、知的好奇心への刺激を感じられる傑作だ。
    あっという間の590ページでした。





    作者の、意味不明(?)な日本人下げと たまに挿入される思想的スタンスはすこし引っかかるが・・・おいておこう。
    あのラストを描いてくれたのだから。

    • Tomoyukiさん
      shintak5555さん
      推しごとのプロの方がいた….笑。
      シングルトン推しとかいってスンマセンでした!
      shintak5555さん
      推しごとのプロの方がいた….笑。
      シングルトン推しとかいってスンマセンでした!
      2024/03/04
    • かえさん
      私はギャレット推しでした
      かっこよすぎました
      私はギャレット推しでした
      かっこよすぎました
      2024/03/22
    • Tomoyukiさん
      かえさん、長編読破おつかれさまでした!(^^)
      ギャレット、イケおじでしたね。
      かえさん、長編読破おつかれさまでした!(^^)
      ギャレット、イケおじでしたね。
      2024/03/22
  • 興奮冷めやらないうちのレビューですが…

    文句なしの★5!!5じゃ足りない。★10くらい付けたい!すごいものを読んでしまった。
    すごい!!止まらなかった!!これはヤバい!!
    まさにジェットコースター。もーーー面白すぎました。徹夜必至。
    帯にあったどなたかの言葉「この本に出逢えた以上、今年読む本は全部ハズレでもいい。」と、そう思えるほど面白かった。

    普段あまり読まないタイプの本でしたが、日本、アメリカ、コンゴを舞台に交互に物語が進められていき、次第にそれが交差して…ドキドキしながら、映画を観ているように映像を頭に思い浮かべながら(これは映画化はきっとできないだろうが)、長編ながらも数日で一気読みでした。

    仕事柄米軍の軍人さんや、まさに物語に出てくる元特殊部隊、退役軍人さんたちと日々交流があるので、なんだか勝手に少し身近に感じてドキドキした!英語翻訳バージョンもあるみたいなので、彼らにもオススメしようと思っている!彼らの目にはどう映るのか聞いてみたい。

    いやーーースケールが大きくて、色々考えさせられた。人類について。未来について。まるでノンフィクションを読んでいるかのようだった。むしろノンフィクションであって欲しいとすら思った。途中出てくるものはもちろんリアルなものでもあるのだろう。平和ボケした日本で生きている私には目を背けたくなる箇所が多々あったが、これがリアルに起こっている事なんだよなと。

    とにかくスピード感のあるストーリー。図書館で借りたものだったが、今すぐ購入して本棚に並べようと思う。

    いやーーーとにかく面白かった!!!!
    ありきたりな感想しか書けない自分に腹が立つけど、とにかくすごかった。
    もう一回すぐ読みたいけど長いし…他に読みたい本があり過ぎて…でも忘れかけた頃にもう一度この世界に戻ってこよう。とにかくオススメです!!

    • Mayさん
      シンタロウさん、12年前に読んだのにそこまで覚えてて流石です(゚o゚;;
      今まだ読み終わったばかりで興奮してるのもありますが、本当ビックリ...
      シンタロウさん、12年前に読んだのにそこまで覚えてて流石です(゚o゚;;
      今まだ読み終わったばかりで興奮してるのもありますが、本当ビックリするくらい面白かったです笑 まさにここ数年でNo.1です。
      もちろんフィクションだけど、政治なんてそういうもんなんだろうなと今だからこそすごいよりリアリティを感じました…
      「本当だー!現生人類なんて滅んでしまえー!」と途中から心の中で叫んでました笑
      2024/02/26
    • shintak5555さん
      覚えてる訳ないじゃないですか!
      すぐ忘れるから備忘録つけてるのに。笑
      Facebookのnote機能で書いていた備忘録を読み返しただけです(...
      覚えてる訳ないじゃないですか!
      すぐ忘れるから備忘録つけてるのに。笑
      Facebookのnote機能で書いていた備忘録を読み返しただけです(^_^;)
      2024/02/26
    • Mayさん
      あ、なるほど!!笑 良かった(´∀`; )
      私記憶力無さすぎてホントすぐに忘れちゃうので。きっとこの本だってこんなに絶賛したくせに、数週間後...
      あ、なるほど!!笑 良かった(´∀`; )
      私記憶力無さすぎてホントすぐに忘れちゃうので。きっとこの本だってこんなに絶賛したくせに、数週間後にはイェーガーって誰だっけ?ってなってます笑 歳のせいにしておきます。
      2024/02/26
  • まだ2024年2月ですが、今年ナンバーワンの面白さ。
    10年前に刊行された本だけどめちゃくちゃ面白い。最後までドキドキさせられて終わりも良かった。

    当時の創薬はまだまだ低分子化合物の合成がメジャーだったし、ちょっとボロアパートにトランスジェニックマウスとかいる辺りがウヘッ!!とかなりましたがGIFTっていう創薬のためのソフトの完璧さにめっちゃワクワクして単純に高野さんコレは凄すぎるよ。

    他方、内戦や傭兵といった章(日本のシーンとアフリカのシーンそしてペンタゴンのシーンが交互に挿入される)はこれがリアルなのか!?経験したことないからわからないけど臨場感ハンパなくて心拍あがりまくるー。

    こんな面白い本あるんだー、はぁ。やっぱり本は止められない。

  • 日本とアメリカとアフリカ
    最初は繋がるはずがないと思っていた人物同士が深く関わり、現生人類の危機を救う。

    俳優の岡田将生さんがこの作品を賞賛していたので、気になって読んでみた。読み応えがあった。
    専門知識が理解できたらもっと面白かったかもしれない。

    殺人は犯罪であって、異常なはずの行為であり、殺人を犯した者は人々から侮蔑され、忌避される。
    にもかかわらず、戦争においては人を殺すことが正義であり、正常な行為になる。後世にどれだけ非難されようとも、敵を排除するという意義があるから、大虐殺が起きてしまう。
    戦争、差別、虐殺。
    現生人類の愚かさと弱さのあらわれなんだと気付かされる。

  • 文句なしの星5ですね!専門知識の部分が難しかったですが、織り込まれている史実や想定などどれも興味深かったです!

  • 前半はなかなか入り込めなかったけど、後半一気に面白くなった。超人類と現人類の差を、ヒトとチンパンジーに例えている時点で現人類って自己評価高いよね。三体もそうだけど、明らかに高度な知能を持った生物を人類の道徳的価値に当てはめようとしているところがもうおこがましいというか。
    最後の「この国の人たちは、もう戦争はしないと決めたんだ。」っていう台詞が、今となってはもうアキリに言える言葉ではなくて悲しくなってしまった。

  • 読むのに時間がかかりましたが私の稚拙な感想では本書の凄みが表せないシリーズの星10ぶち抜き案件です。
    なので、数多くあるレビューの中の添え物としてそっと書こうと思います。例えるなら、ほか弁に入っている申し訳程度のお野菜ですね。

    『ジェノサイド』この言葉を知ったのは『サイレン』というホラーゲームでした。エンディング後に主人公がえらい事になり敵をフルボッコにする様を物知りの友人がこう表現していたのです。
    以来、私もすぐ冗談で「ジェノサイドするしかないな」とか言っていたのですが、本書を読んでこの言葉の重みを痛感し軽々しく使えなくなりました。
    相手が敵であれジェノサイドは正しいのか…

    高野さんの『グレイヴディッガー』でもそうだったのですが登場人物ごとの物語が交互に行き来します。更に登場人物が増えて内容も混み入っているのに読みやすくて分かりやすく、再三書いていますが脚本家の方は本当に凄い!
    科学と暴力と政治が交互に展開するので緊張感がずっと持続します。

    父親が亡くなり『肺胞上皮細胞硬化症』という難病の特効薬をたった一月で合成するという無茶苦茶なミッションを引き継いだ、院生の研人。
    重度の『肺胞上皮細胞硬化症』に苦しんでいる息子の治療費を稼ぐために民間軍事会社で身体を張って戦いに身をやつしているイェーガー。主にこの2人を主軸に物語は展開します。ここにファッキ〇大統領のバーンズや飛び抜けたIQを持つ心理学にも明るい科学者のルーベンスなどかなりの登場人物が絡んできます。

    もう禁止用語を使ってしまう位の怒りを覚えてしまうバーンズですが、今の時代に読むとプーチンに比べたらマシだなと思ってしまいますね。ドヤ顔で再選する気満々なので遠い国の私ですら頭を抱えているのに、ロシアの良識ある方々のご心労は計り知れないと思うのです。何故こんな現世への憂いが出てくるのかと言うと、本書は2011年に書かれたもので作中でも出て来ますがイラク戦争が終わったすぐ後の話です。
    2024年の今、あれ同等かそれ以上に酷い殺し合いが続いている現状にゾッとしたからなのです。
    もし今、イェーガーを含め抜擢された4人の特殊部隊が暗殺を命令されたとある未確認生物が現存していたら、我々人類を見てどんな決断を下すのか暫く考えてしまいました。

    ここまででお察しの通り、読むのにかなりのエネルギーを必要とします。科学がサッパリなので知らない世界を知るのは楽しくて大好きなのですが、理解するまでに時間がかかった事も原因ではあります。政治の暗部や人間の善悪、神の視点から見た人類、何度も出て来る大量虐殺(子供も含まれます)に虐待。
    かなりヘビーです。
    それ故に命を懸けて他人を救おうとする研人と見返りも求めず研人を助ける韓国人のジョンフンの善性に感動が止まらないのです。

    このバランスが絶妙。話の構成も素晴らしいので海外ドラマを見ている時のように先が読めずにハラハラし通しで、眠いけど少しだけでも、と思っていたら終盤はもうページを捲る手が止まらなくなり結局目がギンギンに冴えた上に最後の方で何度もやってくる久々の涙腺崩壊。
    目の下のクマに加えて明日は目が腫れぼったくなっているというフルコンボですが、眼鏡をかけて誤魔化そうと思います。(さっき鏡を見てあまりの酷い顔に変な声が出ましたが)

    イェーガー達が派遣されたのが南アフリカなので、舞台が日本、アメリカ、南アフリカと転換するのもページ数が多いのに一切飽きない要素の1つでした。
    基本的にはバーンズが1番酷く書かれてはいますが、日本人にもヤバい人物が出て来ます。この辺りが平等なのでより本書で提示されている問題が身につまされます。

    もしかすると小難しく思われてしまったかも知れませんが、この内容なのにエンタメ性が失われていないのでエネルギーは必要ですが全然苦ではありません。今こそ読むべき本だと思いますのでお気になられている方は是非チャレンジしてみて欲しい一冊です。

    前のレビューで集中して読書をしたい時は音楽を流すと書いたのですが、今回は終盤ずっと『人間椅子』というクールすぎるおじ様メタルバンドの『さらば世界』という楽曲をリピートしていました。
    このバンド、私はメタルで文学作品を聴かせてくれるバンドという認識なのですがこの楽曲は本書にピッタリな気がしました。
    ちなみに、PVのCGの雑さが最高です。逆に今これが出来るなんてたまりません。

    • yukimisakeさん
      シンさまが混乱されている!笑
      そうそう、日本の美味しい食べ物、チキン南蛮タルタルソースがけを研人から教えてもらい、ハマってしまう戦場グルメ小...
      シンさまが混乱されている!笑
      そうそう、日本の美味しい食べ物、チキン南蛮タルタルソースがけを研人から教えてもらい、ハマってしまう戦場グルメ小説です笑


      違うー!!笑笑
      2024/02/05
    • 1Q84O1さん
      レビューは濃く、弁当をあっさりにしますか
      あっさり…、あっさり…、唐揚げのレモンソースなどw
      もう、弁当の話はいいか…(^.^;
      レビューは濃く、弁当をあっさりにしますか
      あっさり…、あっさり…、唐揚げのレモンソースなどw
      もう、弁当の話はいいか…(^.^;
      2024/02/05
    • yukimisakeさん
      本日のお弁当は肉じゃがと卵焼きなのでややあっさりでした笑
      唐揚げのレモンソース!食べたばかりなのにお腹減るー!!
      本日のお弁当は肉じゃがと卵焼きなのでややあっさりでした笑
      唐揚げのレモンソース!食べたばかりなのにお腹減るー!!
      2024/02/05
全2148件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1964年生まれ。2001年に『13階段』で第47回江戸川乱歩賞を受賞し作家デビュー。著書に『幽霊人命救助隊』、『夢のカルテ』(阪上仁志との共著)など。2011年、『ジェノサイド』で第2回山田風太郎賞を受賞。自著のドラマ化『6時間後に君は死ぬ』では脚本・監督も務めた。

「2012年 『グレイヴディッガー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

高野和明の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×