十方暮の町 (カドカワ銀のさじシリーズ)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (298ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048742580

作品紹介・あらすじ

最近、和喜の町に流れる"神隠し"の噂。靴だけをポツリと残し、ごく普通の人が突然、いなくなるのだ。半信半疑の和喜だが、ある日、公園に居座る不思議な青年に出会う。日下慎治と名乗るその青年によると、町は今"十方暮"という魔の時期にあたり、異界への扉が開いて神隠しが起きているというのだ。慎治とその仲間に協力して、町を守ろうと立ち上がる和喜だがやがて和喜の後ろにも、恐ろしい魔は忍び寄ってきて-!?読むと必ず勇気が湧いてくる、感動の青春ファンタジー。

感想・レビュー・書評

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  •  60年に1度の辛卯の年、十方暮の10日間に神隠しが起きる……。遥か昔から続く怪異を防ぐため、謎の青年・慎治や郷土史研究家の赤沢が中心となって活動する。それに協力することになった中学生の和喜と高校生の仁美は……。


     図書館本。
    『封じられた街』が合わなかったので本作もダメだろうなあ、と思いつつ借りてみた。やっぱりアカンかった(笑)。

     興味を惹かれるタイトルと表紙イラストで、ミステリアスなジュブナイルホラーかと思いきや……慎治さんスゲーぜリスペクトォォォ!!!って話だった……。

     とにかく登場人物たちが慎治を持ち上げまくる。和喜やしのぶに至っては、「いい人に見えた」と言うだけで、根拠となるものが一切描写されないため、説得力ゼロ。
     慎治は別の出版社から刊行された『あの世とこの世を季節はめぐる』が初登場らしいのだが、読んでいない身では前作をにおわされても、何のこっちゃ?である。

     大半が主人公の心情独り語りか、登場人物との雑談、そして「慎治さんがいかにすごい人か」を聞かされる。後は延々と公園にいるだけ。
     半ば辺りでようやく挙動がおかしい人や、変な音、靴だけが残っている怪異が出てきたものの、ほんの数ページ。
     本題に踏み込む怪異は、全体の3分の2を過ぎてから。そして、やっぱり慎治さん大活躍&よくあるパターンで終了~!
     登場人物がやたらと多いわりに、約2名がただいるだけだったり、和喜が大して活躍しなかったり、完全に脇役っぽかった人物に終盤になってからいきなりスポットライトが当たって急速深掘りされたり……。
     とにかく展開の緩急バランスが変で、慎治に比重が偏りすぎ。慎治ファンへのサービス作品にしか見えない。

     とはいえ、まとまりがイマイチなわりに『封じられた町』よりはずっと読みやすかった。
     ホラーとしての盛り上がりを求めるなら『封じられた街』、安心感のあるストーリーを求めるなら『十方暮の町』といったところか。


     どうも作者の価値観や感性が、私とは根本的に合わないようで……

    ・携帯を持っていて、月謝が安いとはいえ塾にも通っている和喜に、貧乏アピールされても素直に頷けない。
    ・料理上手な仁美に対し、『いいお嫁さんになるって、いまから決まってる。』という評価はあまりにも古臭い。
    ・和喜が自分の住む町を『鄙びた』と評する場面があるが、東京23区内の下町が鄙びているわけがない。
    ・図書館が『町の北の果てのほう』にあるという。しかし、23区内の街に“果て”のイメージは無いんだが。荒川沿いでもない感じだし。

     他にもツッコミたくなる部分が多々あって、なかなか読み進められなかった(笑)

  • びみょー

    主人公は中学3年生の男の子
    だから、小中学生向けの児童書なのかな

    東京
    神隠し

    干支と十二支
    最小公倍数、60
    60年ぶり
    十方暮

    靴だけ残して、人がいなくなる

    妙憧
    お地蔵さん
    人力車

    60年ごとの十方暮の10日間
    夜を見張る

    キーワードや現象まわりはすき

    気になった点、もやもやとした点
    ・姉弟みたいなものだ、といいながら恋心あるところ
    ・子どもってあんまり固定観念ない(大人側から植え付けられるもの、大人になって感じるもの)とおもうだけど、無駄に印象づけてしまうようにおもう
    ホームレスへの印象や将来の仕事への不安、
    親や周りの大人達の生活の苦しさへの感じ方、
    アーティストへの認識など
    ・幼馴染で"姉"の仁美にお金を借りている(帳簿につけてはいる)が、母親から「仁美に」と渡されたお金を「仁美は受け取らないよ」と言い、「なら自分の貯金にしな」と言われ受け取る
    ・安直
    親からの身体的虐待→非行
    失恋→非行
    ・デリケートな部分を扱うわりには特にケアや救いがない
    ・鬼と闘うことで消耗する慎二への感想
    「でもこの人の使命」とか
    ・黒ベンツのパツキンのグラマー美人
    ・言葉が古かったり、適していない
    咲子の「ホットパンツ」、「ガリガリだからセクシーじゃない」
    中学生とかそれ以下って、なんか目にチラついてどぎまぎした、とか今まで無だったものがなんか気になるみたいな感覚が多いと思う
    ショートパンツだが、細すぎて少年みたいだ、とかのが自然だと思う
    おっさんが好みじゃない体型の人見た時の感想みたいだと思った
    ・わざわざ親がいそがしくてみんなで高校生の家に入り浸ってる設定なのも、恋愛に進んでも問題ないようになんだろうな、と感じる
    ・10日間それぞれの公園(だれの土地でもない=裏を返せば人が住むのには向かない土地)を見張ってきたのに、最終日の後半ではみんな1箇所に集まるんだ、という急な展開
    ・慎二、過去を掘り返さないでほしい態度の割にギターを持ち運ぶ謎


    登場人物の背景や設定、心理描写に納得感がなかった
    児童へ一面的な印象を与える可能性がある
    問題や課題は解決せず、救われない人がいる(慎ひゆ二、咲子)


    2011/09/30 初版発行なので、
    そんなに古いお話でもないのになー


    引用文献の
    「ライ麦畑でつかまえて」
    野崎孝訳

    ライ麦畑のつかまえ役を描きたかったんだな、とおもった

  • ティーンズ配架。主人公 和喜の暮らす街で「神隠し」が起こる。鬼との対峙、訳ありの人間関係を描く。
    「靴」をキーワードに、異世界と通じるのか。「靴を履く」という行為を改めて意識したくなった。

  • ごく普通の人が靴だけを残して突然消える「神隠し」が起きているらしい。中学生の主人公は、不思議な青年たちと出会い、60年に一度の辛卯の年、十方暮という危険な時期から町の人々を守る活動に協力することになる…というストーリー。
    特殊能力があるわけでもなく活動も地味(だからこそ中学生でも参加できる)なので、主人公の抱える思春期の中学生らしい悩みに折り合いをつけるっていうのももうひとつメインな感じ。中学生が読むと共感できるのかも。

  • 図書館の『Dog ears』というおすすめ本リストにピックアップされていて、以前から読みたいと思っていた本でした。
    主人公が住んでいる町が十方暮という時期にあたり、神隠しが起きているという。神隠しから町を守ろうと主人公や周りを取り巻く人たちと共に奮闘するお話です。
    たくさんの出来事が起きるのですが、とっちらかった感じがなく、パズルのピースがぴったりはまるように、しっくり収まっている感じがします。
    いろいろ言いません。とにかく読んでみてほしい一冊です。

  • 神隠しの起こる町。
    2014/3/17

  • 神隠しという題材、話のテンポがよく一気に読んでしまい面白かった。

    ただ、登場人物がそこそこいる割にはひとりひとりの心情にあまり触れていないのが残念。

  • ちょっとだけホラーテイスト。
    町で起きている神隠しをきっかけに少年達が成長していく物語。
    個人的にはもっと怖くても良いなぁなのだけど、銀のさじレーベルなのでこの辺りが丁度良いかなと。

  • 和喜の暮らす街で、頻発する失踪。それは神隠しと言われる。

    靴だけ残るのがこわすぎる…。
    夜の公園を守るっていうのが良かったです。

    甲申(きのえさる)から癸巳(みずのとみ)までの10日間の称。この間は十方の気がふさがり、万事に凶とされる。

  • 和喜(中3)が年代・所属の異なる仲間と協力して、
    強大な鬼から町を守ろうとする物語。

    テンポ良く語られる物語の中で、「ライ麦畑」や「十干十二支」に関する認識も揺さぶられた。その辺りはホラー色全開。

    主人公たちの活動から、昔々、英国であった犯罪撲滅キャンペーンを思い出した。悪人、犯罪を見かけたら手を打って他の人々の注意を引きつけるのだ。

    身近なデモ行進においても、どこまで周囲の人々を
    信頼し、協力し合えるかが成果につながるのだろうか。
    「ひとりひとりの力は小さくても」という言葉と裏腹なようだが、
    個人の立ち向かう覚悟、流されない意志が実に大切であるかという点も考えさせられる話だった。

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著者プロフィール

沢村鐵
一九七〇年、岩手県釜石市生まれ。二〇〇〇年 『雨の鎮魂歌(レクイエム)』でデビュー。著書に「警視庁墨田署刑事課特命担当・一柳美結」シリーズ、「クラン」シリーズ(以上、中公文庫)と、その番外編『ゲームマスター 国立署刑事課 晴山旭・悪夢の夏』、「極夜」シリーズ(以上、祥伝社文庫)のほか、『あの世とこの世を季節は巡る』、『はざまにある部屋』(以上、潮文庫)、『謎掛鬼 警視庁捜査一課・小野瀬遥の黄昏事件簿』 (双葉文庫) などがある。
ウェブサイト〈沢村鐵のフィラメント〉http://www.t-sawamura.net/

「2023年 『世界警察4 悠久のフロスティグレイ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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