- Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
- / ISBN・EAN: 9784049141627
作品紹介・あらすじ
それは、絶望の果てからはじまる、小さな少女の崩壊と再生の物語。
第13回電撃小説大賞〈大賞〉の伝説的ファンタジー小説が装いを新たに、
電子書籍でしか手に入らなかった『鳥籠巫女と聖剣の騎士』を加筆・修正して刊行決定!
感想・レビュー・書評
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2022年に紅玉いづきさんデビュー15周年祝し、3ヶ月連続刊行
その第一弾の作品『ミミズクと夜の王 完全版』
この目で見てみたかったカバーイラストは、作品に出てくる森の暗闇に、煌々と光る大きな月と美しい魔王を彩る鮮やかな赤色が映えていて、うっとりするほど綺麗だった
夜の魔王 魔物の森 血のような紅色の煉獄の花 聖騎士 美しい月夜 赤い絨毯 額の刻印。。。そんな言葉達が童話風の美しい情景、神秘的な世界に連れて行ってくれる
読み始めはミミズクの奇妙な話し方や存在そのものがわからず、この世界観に入れるかどうかと思ったが、話は至ってシンプルで王道
ここに出てくる死にたがりやのミミズク、人間嫌いの夜の魔王、聖騎士、巫女、飾りの四肢を持つ王子
違う立場の登場人物がそれぞれが考える、自分にとって何が幸せなのかを
そして自分の意思で選ぶ、最良の形で
お互いを思いやる優しい気持ちがあれば寄り添って生きていける、そんな言葉が聞こえて来そうな優しい作品だった
久しぶりのファンタジーは新鮮だった詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
圧倒的吸引力の一冊。
人が人を想う魔力に圧倒された。
森の闇がいざない、生ける屍と化した少女ミミズクにスルリと心に潜り込まれ、飄々さの裏側に纏う絶望が苦しいほど心を吸い込み離さない。
次第に溶け出す彼女の凍りついた心と封印された時間。
降り注ぐ陽のような言葉とただ一人の存在が彼女を溶かし、溶けた雫が涙の雫へと変わる瞬間を思い浮かべては感涙。
愛という名の拒絶、不器用という名の愛。
哀しみと幸せの表裏一体を知り得た涙ほど価値が有り美しいものはない。
架空の世界がストレートに魅せる、涙が照らす愛と生きる意味への導き物語。 -
魔物の森,奴隷少女ミミズクは夜の王に自分の死を願う。魔王討伐隊に夜の王は囚われ…街を焼き尽くす程の力があるのに行使しない謎。保護されたミミズクが記憶を失っていて歯がゆい。良質ファンタジー。
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物語には、型がある。
昔からよく読んだ、ある種の型を、このお話は持っている。
虐げられた奴隷の少女と、人間が嫌いな魔物の王様。そして、二人を繋ぐ好奇心旺盛な魔物。
自分を食べて欲しいと願う少女が、なぜ、森を訪れ、魔物の王にそれを願ったのか。
そして、魔物の王は、物語の中で少女に対する感情をどう変化させていくのか。
型をなぞったお話だけど、エンディングまで、ちゃんと読ませてくれるのは、誰かが誰かを想うということが、やっぱり人間には必要だからなのかもしれない。(ポポロクロイスだよ……)
ただし、それを描くには、醜さもまた前提として必要なのかもしれないけれど……。 -
これまでに読んできたハイファンタジー作の中でも比較的浮世離れした世界観を感じました。
それを作り出しているのは詩的な文体とセリフ回しをベースに、劇的に展開するストーリーだと思います。
最初の方は、なんでそんなセリフが出てくるの?と、不思議、不思議、不思議、な気分でふわっと読み進めていく感じでしたが、
物語の根っこには人間の女の子の純真な想いが確かに潜んでいて、読み終えてみるとなんだかきらきらした気持ちに。。 -
中学生が書いたおとぎ話、といった感じのラノベでした。文章も稚拙。これを楽しむには私は歳を取りすぎた。残念。
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人間の少女ミミズクと魔王のフクロウを中心にした、人と魔物の物語り
最初はミミズクのセリフがどうにも引っ掛かってしまって読みにくかったが、読み進めるうちに気にならなくなるどころか、物語りに引き込まれていました
言葉悪く言えば、綺麗事です
だけど、ここまで真っ直ぐな綺麗事はホントに綺麗に思えてきたのが不思議でした
どちらかと言えばファンタジーは苦手だと思っていたけど、涙する自分に驚きです
フクロウの魔物らしからぬ立ち振る舞い、また人間の残忍さと優しさ、人なのか魔物なのかを問わず『何者であろうとするか』が大事なんだ -
童話のような物語でとても素敵
人間という存在に虐げられ絶望した少女、ミミズクの過去は痛々しい
同じく人間を棄て魔物の王となった彼、フクロウとの出会い
何故フクロウはミミズクに優しく…は少し語弊があるが傍にあることを許したのだろうか
同族意識からなのか、同情心からなのか、絆されてしまったのか
物語中では彼の心情は語られることは無いため心中を窺い知ることは出来ないが、彼のその優しさはミミズクにとっては初めてのもので彼女を人間らしくした1つの要因だろう
どうであれ、ミミズクにとってフクロウが命に代えられ無いほど大切な存在になってしまったことがよくわかる
そうして最終的にはそれに答えたフクロウが尊い
その後の彼らは彼らはどうなったのかは分からないけれど、番外編を読んだら、一応は幸せに過ごしているんだなって察することができた
本編の物語は250頁程なので、駆け足で物語が進む印象
なので深堀して欲しいなって思う部分もチラホラ見られる
でも物語としては王道な感じで、個人的な好みにも当てはまり面白く読めた!
本編の後は外伝としての100頁ほど
本編で出てくる聖騎士様が聖騎士になる過程や巫女様との出会いの物語
強いだけじゃなく、弱い部分も持ち合わせている彼の心中
聖騎士とは強い者の印象が強かったけれど、勿論彼も強いとは思うが、こんな考え方をする聖騎士もいるんだなって思わされた
聖騎士になり数年後の姿
彼が守るべき者がもう1人増えたんだなって嬉しくなった
血縁ではなくても、彼ならとびきりに愛し育てるんだろうなって