MAMA 完全版 (メディアワークス文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 235
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784049146455

作品紹介・あらすじ

その夜、魔物が手に入れたのは、彼だけのママだった。

海沿いの王国ガーダルシア。トトと呼ばれるその少女は、確かな魔力を持つ魔術師の血筋サルバドール家に生まれた。しかし、魔術の才に恵まれず、落ちこぼれと蔑まれていた。そんなある日、神殿の書庫の奥に迷い込んだ彼女は、数百年前に封印されたという〈人喰い〉の魔物と出会い――。
「ねぇ、ママって、なに?」これは、人喰いの魔物と、彼のママになろうとした少女の、切なくも愛おしい絆の物語。
全編に亘り修正を加え、王国の末姫の回想を描いた掌編「黒い蝶々の姫君」を初収録。

感想・レビュー・書評

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  • 紅玉いづきさんがお好きな方には、不快な想いをさせるかもしれませんが、ご容赦ください。

    初めて紅玉いづきさんの作品を読んでみましたが、正直、本作は小説ではなく、マンガやアニメで表現するべき類の内容でした。展開が切り替わる描写がイマイチ想像しづらく、文字から緊迫感や臨場感が伝わりづらいのが非常に残念です。でも全体的な流れを通した紅玉いづきさんのメッセージは共感できる部分はあります。

    以下は作品のあらすじです。
    とある国に住む『落ちこぼれ』と周りにいじめられていたトトという女の子は、ある日、禁断の扉を開けてしまい、伝説の魔物と出逢う。その日を境に女の子と魔物との絆が育まれると同時に、『落ちこぼれ』は国で最も恐れられる対象となる。それでも女の子はその魔物だけが自分の心を許せる相手であり、決して手放したくない子であった。
    タイトルのMAMAを含む、幕間、ANDを通して、トトと魔物の生い立ちを描いた作品。

  • 名家サルバドール家に生まれた、落ちこぼれであるトト。
    彼女は封を破り、誰もが恐れる人喰いの魔物に真名を与え、息子として共に過ごすことを決意する。

    トトの「落ちこぼれ」への嫌悪感が、世界を狭めてしまっていることに、モヤモヤする。
    そのことを、何より案じていたのが、きっと息子である魔物だったんだろう。

    二人がどんなエンディングを紡ぐかというところに向けての、クライマックスが良かった。

  • とても面白かったです!最後もハッピーエンドで私好みの展開になって嬉しかったです!魔術や使い魔がある世界観って素敵だと思いました!

  • その夜、魔物が手に入れたのは、彼だけのママだった。

    海沿いの王国ガーダルシア。トトと呼ばれるその少女は、確かな魔力を持つ魔術師の血筋サルバドール家に生まれた。しかし、魔術の才に恵まれず、落ちこぼれと蔑まれていた。そんなある日、神殿の書庫の奥に迷い込んだ彼女は、数百年前に封印されたという〈人喰い〉の魔物と出会い――。
    「ねぇ、ママって、なに?」これは、人喰いの魔物と、彼のママになろうとした少女の、切なくも愛おしい絆の物語。
    全編に亘り修正を加え、王国の末姫の回想を描いた掌編「黒い蝶々の姫君」を初収録。

  • 人喰い2作目、これはね~電車の中で読んだのだけど泣くかと思った。王道プリンセスストーリーでもあり、共依存のお話でもある、この世界にいるどこかの誰かが1度は経験してることを異世界で当たり前みたいに表現されている、ディズニーの物語を読んでいるつもりでもどこか痛くて脆い感覚、個人的にエンドが好み、ミミズクの話もすきだけどこっちのが好き。

  • 最初は出会った少女と魔物の恋物語に帰結する物語なのだろうと思っていた。けれど、恋人とか主従とか親子とか、そんな一括りにはできないどこか危うく脆そうな関係性に映っていた彼らが、それぞれで出した答えには腑に落ちるような納得感があった。人はどんなにひとりになろうと思っても、やはり誰かの存在を求めてしまうもので、魔物もまた純粋すぎるほど思い入れになったものに真っ直ぐな存在として描かれているのかなと考えてしまった。タイトルにあるように母と子供を中心に据えた場面が多かったけれど、それだけではなく誰かの思いや心をまた他の誰かが継いでいくというような、継承の物語でもあったのかなと思った。

  • 貿易の港ガーダルシア
    そこでは魔術が栄えており、血ではなく魔術の血脈、魔術の知識によって繋がる魔術師のサルバドール家があった
    そのなかでも生粋のサルバドールの子であるトトは生粋であるにも関わらず魔術の才がなく「落ちこぼれ」と呼ばれていた
    いつもなら反発することもなかった母の言葉に泣き崩れて、神殿の書庫の奥に迷い込んだトトは伝説に聞く「人喰いの魔物」に出会い、魔物の「ママ」になると告げる

    電撃文庫版を以前読んだけれど、読んだ当時は残念ながらそこまで引き込まれなかった
    けど今読むとまた違う
    全編手を入れたということだけど、それも関係あるのだろうか?
    トトは純粋すぎて不器用で頑なで…共感はできないけれど、彼女は彼女なりに、彼は彼なりに親子であろうと一途だったんだなと思う
    トトとホーイチの歪んだ関係の行先は幸せなものではないだろうと思って読み進めていたけれど、読後感は思った以上に良かった

  • 母だ息子だと主張するものの、親子という関係性にしてはだいぶ歪な方を描いた話。お互いに依存的と言えばそうだし、お互いに相手のことばかり守ろうとするから根っこのところで擦れ違ってままならない。それでも、そのぶつかり合いの間に生まれるものが愛情であるのだから、紅玉いづきの書くものは恐ろしいと呻いてしまう。久しぶりに読み直して、御伽噺のようなファンタジックな世界観の割に、ストレートに上手くいくような物語は書かないし、『自分の人生を歩みたいのなら、甘えるな』と体全体使って主張するような人々ばかり書くなぁ、と感じた。

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著者プロフィール

1984年、石川県金沢市出身。金沢大学文学部卒業。『ミミズクと夜の王』で第13回電撃小説大賞・大賞を受賞し、デビュー。その後も、逆境を跳ね返し、我がものとしていく少女たちを描き、強固な支持を得ている。

「2022年 『雪蟷螂 完全版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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