ラモーナ、八歳になる

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  • Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784052014048

作品紹介・あらすじ

「みんながラモーナをたよりにしているんだ」おとうさんはクインビー家の将来はラモーナにかかっているといいます。でも、ゆでたまご事件をおこしたり、見せびらかし屋さんでやっかいな子だといわれたり・・。小学校3年生の人生もそんなに楽ではありません!

感想・レビュー・書評

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  • シリーズを読み重ね、自分が8歳の少女ラモーナに入り込み、追体験にも近い感覚。親としても自分の子育てがどうだったのか、決して自虐的にではないが、振り返る余裕を残してくれる雰囲気が漂う。親や姉、先生や友達などとの思い通りにはいかない日常やり取り、8歳の少女の心の居場所を作り上げる過程などが、出来事の中でユーモアも交えながら、重ねられる。小学校の頃、私も字を覚えていくのが楽しかった。読書感想文って、何を書くのよ? 先生、私のこと嫌いなのかな等々、クレアリーさんも訳の松岡さんも同じように感じてたのかな。

  • 『ラモーナとおかあさん』の続きの本を借りてくる。

    ラモーナは3年生になる。通学区の変更があって、新学期からバスで新しい学校へ行くことになった。姉のビーザスは中学生になり、お父さんは、学校の先生をめざしてもう一度大学生になった。お母さんは、お医者さんで受付係としてフルタイムで働きに出ている。

    3年生のラモーナは、学校のあと、隣のケムプ家へ行かなきゃいけない。お父さんとお母さんは、ケムプさんのおばあちゃんにお金を払って、どちらかが帰ってくるまでラモーナの面倒をみてもらうよう頼んでいるのだ。でもその間、ラモーナは4歳のウィラジーンの遊び相手をすることになってしまっていて、もううんざりしていた。ウィラジーンが何か悪さをすると、ラモーナのほうが大きいんだからちゃんとしなきゃいけないとおばあちゃんに叱られるのだ。

    大変だって分かってる、でもがまんしてとお母さんは言い、お父さんは「みんながラモーナをたよりにしてるんだ」と言った。自分が人から頼りにされるほど大きくなったのはうれしい、と思うラモーナだけど、荷が重いと思うこともある。

    もし自分がケムプ家へ行くのがいやだと言ったら、お母さんはフルタイムで働けないだろうし、そうなったらお父さんは大学に行けないし、レジ係の仕事に逆戻りしなければいけないかもしれない。レジの仕事はお父さんをくたびれさせて、不機嫌にするし…

    そんな風に家のことも考えるけど、3年生にはもっと考えたいおもしろいことがいっぱい!

    3年生にゆでたまごが大流行したときは、おかあさんに頼んでゆでたまごをお弁当に入れてもらった。たまごの殻を割るのに、いちばん人気があったのは、頭にぶつけて割る方法で、それも用心深くコツコツやるのと、いっぺんにガツンとたたきつけるのがある。

    ラモーナは、もちろんガツン派で、同じテーブルのみんなが自分を見てるのを確かめてから、思い切ってガツンとやった。すると、なんとそれは生卵だった。おかあさんは、間違えてお弁当にいれてしまったらしい。

    髪についた生卵をとるのに、ひとしきり苦労して、さいごは校長室で秘書のラーソン先生に洗ってもらった。ラモーナが頭を拭いているときに、隣の事務室で、ラーソン先生と、担任のホェーリイ先生が話しているのが聞こえる。「きいたけど、うちの見せびらかし屋さんが頭にたまごくっつけてきたんですってね」「やっかいなこと」(p.74)と。

    見せびらかし屋!やっかいな子! ラモーナはあんまりびっくりして、そしてひどく傷ついた。ラモーナの心の動きがおもしろくこまやかに書かれているのがが、このラモーナのシリーズのいいところ。大人が何の気なしに言ったことにも、小3なりの状況認識のなかで、ああかもしれない、こうかもしれないと考える。

    このラモーナ3年生の日々のなかで、もうひとつおもしろかったのは、ホェーリイ先生が、ある本を「売るつもりで」発表するようにと課題を出したときの話。

    ラモーナは、お父さんに何かを売りたいときにはどうやればいいの?と訊く。お父さんの答は「そんなこと、おまえだってわかってるだろ。テレビでいやというほどコマーシャルを見てるじゃないか。」(pp.173-174)

    それでラモーナは、テレビコマーシャルみたいな発表をやってみようと思った。だけど、ホェーリイ先生に「やっかいな子」とは思われたくないから、そうしたらいいだろうというお父さんの太鼓判がほしかった。

    「先生は、みんなに本を売るつもりになってごらんといわれたんだろう。それじゃ、売ればいいじゃないか。ものを売るのにテレビのコマーシャルよりいい方法がほかにあるかい? 先生がしなさいっておっしゃったことをやったら、やっかいな子にはならんだろう。」(p.175)

    ラモーナはそれからインスピレーションがわいて、発表の支度にかかる。「パッとひらめいた考えにもとづいて何かを作ることくらいうれしいことはありません。」(p.178)

    猫のお面を3つ作り、自分が言うセリフを書き、同級生のセラとジャネットに電話して、自分の発表に協力してくれるよう頼んだ。2人ともゲラゲラ笑って一緒にやると言ってくれた。ラモーナは、一晩かかって自分のセリフを暗記して、次の日の発表に挑む。

    ほとんどの発表は、「これは、…についての本です」という言葉で始まって、「もし、このあとどうなるか知りたかったら、本を読んでください」で終わった。ラモーナの発表は全然違うのだ!

    セラとジャネットに手伝ってもらったテレビコマーシャル風の発表に、ホェーリイ先生は一番大きな声で笑った。「本はおもしろかったの?」と訊かれたラモーナは、正直に「あんまり」と答える。そのあとの先生の正直な発言もイイ。

    ▼「でも、考えてみると、自分がすきでない本をみんなに売りなさいっていうのは、いいことじゃないわね。わたしはただ発表をもっとおもしろい形でやれないかしら、と思っただけなの。」(p.184)

    先生のこの正直な言葉に励まされて、ラモーナは「ゆでたまご事件」以来ずっとずっと気になっていた、「やっかいな子」発言について、思いきって先生に話す。「見せびらかし屋」のことも先生と話して、ラモーナはずっと気分がすっきりする。

    ラモーナの話を読みながら自分が小学校の3年生だったときのことを思い出してみようとするが、どんな気持ちだったかはあまり思い出せない。こないだ見た映画「円卓」も、小学校3年生の話だった。ラモーナやこっこや、周りの子らの言動を見ながら(こんなんやったんかなー)と思うくらいで。

    そんなんやから、大人は自分が子どものときに言われて(イヤやなあ)と思ったようなことを、自分がまた言ってしまったりするのかもしれない。

    (6/29了)

  • ちょっとお姉ちゃんになったラモーナ。
    でもあいかわらずやんちゃなところはなおりませんね。

    先生に言われたことにきずついたり、どんどん成長していきます。
    女の子ってちょっとおませさんですよね〜。

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著者プロフィール

1916年米国オレゴン州生まれ。カリフォルニア大学卒業後、ワシントン大学で図書館学を学び、その後、児童図書館員として働いた。1950年刊行の「ヘンリーくん」は半世紀以上にわたって大人気シリーズ。

「2015年 『ゆかいなヘンリーくん改訂新版 第2期 全6巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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