フィンランドの教育力: なぜ、PISAで学力世界一になったのか (学研新書 41)

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  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784054039070

作品紹介・あらすじ

OECDによる学習到達度調査(PISA)において、2003年に続き、2006年でもフィンランドは好成績を収めた(科学リテラシー1位、読解力2位、数学的リテラシー2位)。日本におけるゆとり教育の見直しのきっかけとなったPISA2003年調査の結果発表以降、フィンランドの教育への関心は高い。フィンランドの小学校教諭で2児の母でもある著者が、フィンランドの教育現場を語る。

感想・レビュー・書評

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  • フィンランドの教育と日本の教育。
    一概にどちらがいいとはいえない。
    例えば、日本の子供たちが自分で掃除をして給食の準備も片付けもすべてやる。学校庭園などで自分たちで植物を育てるという活動は素晴らしいし、子供に確実にポジティブな影響を与える。欧米の国では、お掃除や給食をサーブするスタッフなどは、あまり感謝をされずどちらかというとバカにさえされる職業である。子供のころからそういう風に職業差別する考えを植え込んではいけないと思う。
    逆にフィンランドの教育は、一人一人にあったサポートが十分に整っている点であるのではないかと思う。カウンセラーや教師が、身体や精神に障害がある子供に対する接し方を大学院で勉強することで与えられるサポートやサービス。やりたいことをさせそれを伸ばしていく。そして高い税金をとるだけでなく、それを教育の平等に当てているというのはものすごくすばらしいと思った。なぜなら、実際問題、教育の有無で将来の収入や可能性が決まるものであるからだ。私も、三姉妹の末っ子として育ち、親からは大学の費用は払えないと高校時代から口をすっぱくして言われていたからである。大人になってから教育の大切さ、勉強をもっとしたいという意欲がふつふつと湧いてきて、夫の力も借りて大学を卒業することができた。だから、子供のとき勉強をもっとしたいとなったら親の収入に限らず選択できる未来があるのはとても素敵だなと思った。

  • 642

  • フィンランドと日本の教育を比べながら読んだ
    一概にどちらがいいとは言えないと思った。

    ただ、教育は価値のあるもの、達成すべきもので「自分のスキルをよりよいものにしたい」と誰もが考える。そのためには学ぶこと。人生とは学ぶこと。自分の人生をよりよくするために学び、思い描いた人生を手に入れるために、学ぶことから始める。

    この言葉にすごく共感した。
    子どもたちにも伝えたいなぁ〜。

  • 未就学児の親の目線で読みました。
    日本では教師になりたい人が減少傾向にあり教師の質が下がっているそうなので、それを引き上げるには何が必要なのかヒントを探しましたが決定的なものは見つかりませんでした。
    フィンランドの教師は時間割や教材などたくさんの裁量があり、高学歴でなければなれない職種になったため憧れられる職業であり、良い人材が集まっているように書かれていました。
    しかし、裁量が大きくなるほど仕事量も増えているようです。
    日本での教師志望者が減る理由は、業務時間の長さとモンスターペアレント対応など仕事の多様化が原因かと考えますが、その点についてはフィンランドでも状況はあまり変わらないように思いました。

    スムーズスタート制度というものはとても面白そうでした。
    小学校一年生は1クラスを8-12時グループと10-14時グループの2グループにわけて授業をおこなうというものでした。
    学力でグループ分けをしますが、親へはきちんと説明すれば苦情はこないとのこと。
    小学一年生は学力の差が激しく、ABCを書けない子もいれば、ハリーポッターを読める子もいるため一緒の環境で勉強させることは難しいと聞き納得しました。

    フィンランドの学習面での平等とは学力差を埋めるよう各々に合った学習方法を割り当てることのようです。そのため、落ちこぼれが少なく全体的な学力が高いようです。
    日本では同じ内容の学習方法を割り当てることを平等と捉えてるように感じます。
    また、フィンランドでは勉強が得意な子が苦手な子を教えるよう先生がお願いすることもあるようです。
    教える行為自体が教える側の子の記憶定着になるだろうし、子ども自体も先生の手助けができることに喜びを感じ、先生としてもマンパワーが足りないので一石三鳥のいいアイデアだと思いました。

  • <目次>
    はじめに
    第1章 PISAが証明した世界一の学力
    第2章 優秀な教師は、こう育てられる
    第3章 いかに子どもにわかりやすく、勉強を教えるか
    第4章 よくできている現場のサポートシステム
    第5章 教師は、マルチ・タレントでなくっちゃ
    第6章 日本で暮らして、感じたこと

    <メモ>
    第1章 PISAが証明した世界一の学力
    1994年、オッリペッカ・ヘイノネンの教育大臣に就任、教育制度の大胆な改革が始まる(21-22)
    ・教師資格が大卒から修士号取得へ引き上げ
    ・裁量権:教科書も選べる
    しかし、“子ども中心の教育”に転換したことで「仕事量がすごく増えた」(24)
    「子どもに何かを与えるには、まず自分が豊かになる必要がある」(26)

    第2章 優秀な教師は、こう育てられる
    スムーズ・スタート(59-60)
     小学校1年生の最初の5−6週間、クラスを二つにわけ、1日4時間ずつ授業を受ける
     子どもたちを知ることが目的
    レベル別教育(61)
     週7時間の読み書きの時間のうち、3時間を3つのグループ分け、レベル別教育
     残り4時間はクラス全体
    学習に遅れが出る子にクラス全体のペースを合わせない。補習を行う。(63)
    算数が得意な子には「あなたのドリルのやり方を説明してあげたらどうかしら」
    先生の手伝いができると誇りに感じる。(64)
    リーダー格の子に、私がやりたいと思っていることをやってもらうと、ほかの子は従います。(65)
    私は両親に送る時間割に科目は書き込みません。(67)(時間割の裁量)

    第4章 よくできている現場のサポートシステム
    自分が親になっても“理想の先生像”は変わりませんが、“理想の親像”は、大きく変わりました。私は長男の出産に伴ってひとつ目の学校を辞めたのですが、もう以前のように親に完璧を望みません。子どもが生まれてから、私のパーソナリティのかなり部分が変化しました。母親になったことで得られた教師として一番の収穫は、生徒たちの行動の意味が飛躍的によくわかるようになったことでです。(96)

    2013.03.24 図書館で見つけて借りる。
    2013.03.28 読書開始
    2013.04.03 読了

  • フィンランドの小学校で教員をしていた女性にインタビューしたものをまとめた本。

    手厚さは耳にしたことがあるが、それ以外の面、例えば子どもの様子や教室での出来事は、国が違っても同じような雰囲気なのだと思った。

    同業者が読めば、そう、それが大変なんだよ!と
    同業ではない人が読めば、教師の大変さが少しわかるかも?

  • 面白かった、けど、学びも違いも思ったより少なかったというのが純粋な感想。

    夏休みに宿題がないのは衝撃だった。

  • フィンランドの教育環境が知りたくて。

    子どもひとりひとりにあわせて、環境を整えてくれるのは、柔軟でうらやましい。
    先生の負担が大きく、また、先生による違いも大きいだろうが、
    だからこそ責任感も強くなると思う。

    この本には、各科目の進め方や生徒との付きあい方は書いてあるが、
    たとえば、フィンランドは暗記で進める試験ではなく、理解をまとめるエッセイ式だ、などのことはあまり書かれていない。
    そういうことがもっと知りたかったなぁ

    フィンランド人は、母語を大切にする一方、ほかの人とコミュニケーションがとれるよう他言語にも力を入れている。また、社会情勢にも気をつけている/フィンランドは、教師のレベルが高く、教育費が無料で、教育での地域間格差が少ない/大学院まで無料/大学のカリキュラムがおもしろかったという筆者の感想が、とてもうらやましい/フィンランドでは、担任がクラスの生徒の個性を理解している→個人を大切にし、授業を退屈に感じる生徒をつくらない/大学の参考書は英語の原書が多い/親から子どもにおうかがいをたてすぎない。車の購入など、大人の話は大人だけで決める→リーダーをわからせておく/子どもには機嫌の悪い日がある/刺激的なニュースは夜に見せない

  • フィンランドの現場の教師なので説得力がある。学力世界一は政府の教育政策もあるが、現場の熱意が支えたのだ。教師の自由度が増すと実は大変しんどいが、モチベーションが上がるのはうらやましい。そのフィンランドで最近学校に行きたくない子どもが増えているという結びが気になった。

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