- Amazon.co.jp ・本 (229ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061156753
感想・レビュー・書評
-
日本人の好奇心の強さについて、歴史的・社会的な観点から論じた本です。
「あとがき」で著者は、日本の近代化に関する問題が本書の議論の背景にあったことを明かしています。近代化の主体的条件が論じられるとき、マックス・ウェーバーの『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』が決まって取り上げられ、個人主義が確立しなければ日本は本当の近代化を迎えることはできないという主張がしばしばなされますが、これに対して著者は、日本の近代化を推進してきたのは好奇心だったのではないかと考えます。
本論では、日本人が外来の文化を取り入れる際に生じる緊張を処理する仕方を「多重構造型」と規定して、外来の思想と伝統の思想とを鋭く対立させることなく、融通無碍に外来の文化を取り入れてきたことが論じられます。そうした受容の具体的な形が、「切り離し」「使い分け」「無限抱擁」といった言葉で表現されています。また、そうした受容の仕方の背景に天地万物に精霊の存在を信じるアニミズム的な思考やシャーマニズムがあったと指摘する泉靖一の議論が紹介されています。
さらに、日本では古代から現代に至るまで「のぞき見文化」が継続していることを指摘し、このことが日本人の好奇心の強さを示しているのではないかという主張が展開されています。
日本人の好奇心の強さというテーマ自体は興味深いと感じましたが、本書でそのことが十分に論証されているかどうか、やや疑問が残るように思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
大学生のときに読む
-
節操無くなんでも取り込み、日本流にアレンジしてしまうような日本人を「多重構造型の緊張処理の型」とし、それを支えるものが好奇心であり、それが日本の近代化を進めた、と論じている。
面白いのだけど、あとでもう一回読み直してみないとなんかつかめない。