- Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061484078
感想・レビュー・書評
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350匹のオタマジャクシを育てる著者の福永先生。日照り続きで田んぼに帰したオタマジャクシたちのピンチに、幼少期の友人が描いた24色ゆめ列車がやって来た。タイトルからワクワクするようなカラフルファンタジーを想像していたが、少年期の戦争体験が描かれる重めのお話。林少年の心優しさ、伊吹姉妹の残酷さが心にずっしりしたものを残す。乗り込んだ瞬間は楽しそうなゆめ列車も車両を経るごとに不穏な雰囲気に包まれていく。単なる大団円で終わらないところがクレヨン王国シリーズの魅力。
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「林くんのハヤシライス」という言葉が頭に残っていて、20余年ぶりに再読。
主人公の「わたし」は、著者である福永先生本人。
童話作家である彼は、自然の中で、キジバトとおしゃべりしたり、オタマジャクシを育てたりしながら、暮らしている。
ある日、自然に帰したオタマジャクシたちが、日照りの危機にあうことを心配した「わたし」は、キジバトの「ブースケ」、オタマジャクシの指南役であった金魚の「A金先生」とともに様子を見に行く。
そこに、雨雲とともに現れた、24色の巨大SL。
それは、「わたし」の幼少期の友人であり、戦火で亡くなった「林くん」が、24色のクレヨンで描いた「ゆめ列車」だった。
「わたし」と「ブースケ」「A金先生」の、ゆかいなやり取り。
小さな命が自然の中で生きていく困難。
あざやかな色彩と童謡で描かれるメルヘンの世界。
そして、体験したものでしか書けない戦時中のリアルな描写と、その中で生きる人々の、優しさ、悪意、たくましさ、いじらしさ、希望、絶望などが、五感に迫ってくる。
単なる反戦ではない、ただ「林くん」の切なる願いの強さに飲まれる。 -
フクナガさんが主人公の異色作。ブースケとA金先生がそばにいる素敵な生活から、林少年と切ない戦争の思い出まで。
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珍しくおじさんが主人公だなと思ったら福永さん自身だった。自伝的な要素が濃く、福永さんの戦争体験が書かれており在日朝鮮人の同級生も登場する。とはいえクレヨン王国なので、金魚やおたまじゃくしやヤマバトが福永さんの友達として面白おかしく活躍するというほがらかさを持ちつつも、戦争による喪失や自然破壊など福永さんのテーマとも言える主題が他のシリーズよりも強く書かれており読みごたえがあった。
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クレヨン王国後期の作品。
作者の戦争体験が出てきます。