- Amazon.co.jp ・本 (215ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061489554
作品紹介・あらすじ
自分を愛さない人間が人を愛せるだろうか。自分を信じない人間が人を信じられるだろうか。家族、友人の港へ向けて大海を漂う小舟である自分。ロンリネスの渕に沈まぬよう真の自己愛が針路を示す。自己自立への道を提示。
感想・レビュー・書評
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2022/07/28
p.16
ナルシストは滑稽なほどお世辞に弱い。おかげで親友からの尊敬を失うと同時に、ずうずうしい人に軽く騙されるのである。が、彼はそれに気がつかないで、依然として池の鏡で自分の魅力を見つめているのである。自分の魅力だけではなくて、自分の醜い欠点も。とにかく、自分を見つめ続けている。
p.18
「彼女を愛する」というよりも、「私の彼女を愛する」という感じの人である。「私のものである限り、彼女を大説にするけれども、私のものでなくなったら、本当に興味がない」とか、それとも、正直なところ「彼女が不幸になって欲しい」ということを考える人なのである。要するに彼女は池の鏡になってくれて、自分の輝かしい魅力を知らせてくれる手段にすぎなかったのである。
p.21
ある団体が冬の山を歩いているとする。ところが、いつまで経ってもノロノロと進んでいるので、暗くならないうちに目標の山小屋に着けないことが、途中で明らかになってきたとする。食欲もなくなり、水も毛布も懐中電灯もないので、木の間では大変なことになることは目に見えている。それが、実は社会のシンボルなのである。精神障害者、能力が弱い人、貧しいために才能を伸ばす機会を与えられなかった人、差別されている人などは、この例え話では、いわゆる「足の弱い人」にあたるわけである。
そこで、足の速い人選抜して、山小屋まで先に急いでもらい山小屋に着いたらすぐに、おにぎり、缶ジュース、単価に毛布、懐中電灯など持って、急いで残されたの子のところに寄ってもらい、みんなを引っ張って山小屋まで一緒に行くと言う計画をきめたとする。
しかし、恋理に対して、多くの強いナルシストたちはので、この計画は何回も失敗に終わってしまうわけである。山家に着いた、足の速いナルシストたちは、早速ご飯を食べてビールを飲んで寝てしまうので、山の途中に残された仲間をあっさり忘れてしまう。
しかも、さらに悪いことにはその仲間に対して、何もしないと思い、罪悪感を抱かず、山小屋でぐっすりと眠ることであろう。実は「何もしていない」こと自体が許しがたい無責任になるが、残念ながら、鏡で自分を見つめるという多忙を極めるナルシストにとっては、このような事について考える余裕はない。
p.22
ナルシストは、自分自身や、自分が出す話題が中心になっている時には、非常に元気な表情にするが、人が他の話題について話している間は、は時計を見たり、話を無視したりして、座を白けさせるのである。
p.25
友人のお葬式の時、普通の人は、愛しい人を失った悲しみで心がいっぱいになるが、『転落』の主人公が鋭く指摘したように、なぜ人は、むしろ自分自身の美しい空子に対して感動するのである。これだけ天涙子子愛情と優しさを持っていた自分の感動と自分自身に感激する。「今の私の悲しい表情はきっと美しい」と言うようなつまらない自己満足を味わっているにもかかわらず、そのナルシシズムに気づかないで、友人を本当に愛していたと思い込んでいるわけである。
p.46
奥深い自分を見つめること
ナルキソスは自分の表面の姿だけを見つめているので、その反対行為といえば、奥深い自分を見つめることである。
人からよく思われたいという自分になるのではなくて、自分がなりたい人間を見つめるという態度である。愛されたい、認められたいという自分の浅い望みに妥協しないで、愛したい奥深い自分に忠実に生きることである。損得を自分の行いの基準にしないで、奥深い自分が正しいと思っていることと、奥深い自分が本当にしたいことを、迷わずに行うとあつコンスタントな態度を、自分の人生観に入れ込むことができれば、悪いナルシシズムはほとんど関係ない話になるであろう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
http://hontana.info/2012/03/13/2012-3-13-%e3%80%8c%e8%87%aa%e5%b7%b1%e6%84%9b%e3%81%a8%e3%82%a8%e3%82%b4%e3%82%a4%e3%82%ba%e3%83%a0%e3%80%8d%e3%83%8f%e3%83%93%e3%82%a8%e3%83%ab%e3%83%bb%e3%82%ac%e3%83%a9%e3%83%ab%e3%83%80/
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大学時代にこの先生の、まさしくこの本と同じ名前の「自己愛とエゴイズム」という講義をとっていた。
この講義はとても人気があり、私もとても印象に残っていて、卒業して10年以上経つ今もう一度内容をおさらいしたくて本書を読んだ。
授業で習った内容がまとまっていて、とても懐かしく読んだ。今の私にはとても学ぶことが多い。
文中で紹介される映画もどれも気になるので、時間を見つけて観てみたい。 -
2016.8.28
内容は心理学というよりも宗教とか自己啓発に近いような本である。また著者は文学者ということもあり文学的な要素も多く、またそのような表現も多い。良心についてとか、自分の奥深くの声に忠実に生きることなどは、非常に参考になった。まさにその通りだと思う。我々は日々生きる中ですぐに自分を忘れてしまう、自分のもっとも奥にある声が聞こえなくなってしまう。感情的な声、理性的な声によってその奥の声はかき消される。マスコミュニケーションによりつくられた欲望に扇動されながら、自分が本当は何を望んでいるのか全くわからない。つくられた欲望、他者に押し付けれらた欲望なら生きているのに、自分の欲望を生きることができないというのは何とも不幸なことではないだろうか。元は、自己愛について知りたくて手に取った本である、なぜなら自己愛が強すぎることが他者への愛の妨げになるから、そして私の周りには家庭環境や過去の何かしらの経験に絶望し、傷つき、殻にこもり、必死に自分を守ることで他者のことが見えなくなっているナルシシズム人間ばかりであり、そのような友とどのように付き合っていけばいいのかについて知りたかったのもある。自己愛とエゴイズムというタイトルに沿ったような内容ではなく、もっと自己愛人間やエゴイズム人間とはどのような人間で、そのような人間にはどのようなより良き生き方が提案できるのかが知りたかった。しかし科学的な本ではないし、こういてはなんだが読みやすい本でもなかった、しかし心で読むと、何かこう、頭では納得しにくかったり理解しにくかったりするけど、ふととても大切なことを言っているような言葉に出会ったりすることのできる本だった。エゴイズム的な自己愛にまみれた傷ついた人間が、より幸せな生を送っていくためには、どうすればいいんだろう、適度な自己愛は必要不可欠であることは言うまでもない、しかし現代は自己愛人間の時代、過剰な自己愛の時代である。この「自己愛」というキーワードは、私も、私の他者との関わりにおいても、私の人間を見る目についても非常に大きな支点になる言葉なので、この言葉からまたさらに知見を深めていきたい。 -
エゴイズムとは何か、どのような人達なのか、その特徴、対策、など興味のある人には良書なのだろうか??
はっきり言ってわたしにはつまらなかった。統計や研究結果もなければ、医学的視点や他の学問分野からの考察や分析もない。ダラダラと一個人の意見を聞いているかんじで、かなり飛ばして読んだ。 -
奥深い自分に耳を傾けることが本当の自己愛に繋がる。孤独と向き合いながら港を目指す姿勢を大事にしたい。
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ナルシストとエゴイストは違う。人を愛するためには自分を愛することが必要であり。そのために自己愛は不可欠。最近の自分のテーマは「自己受容」なので、なかなかにしみいる本でした。ホンタナに感謝。 http://hontana.blogspot.jp/2012/03/2012313.html http://hontana.blogspot.jp/2012/03/2012320.html
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高校時代に一度読んだ本であるが、読み返してみた。
上智大学のバビエル・ガラルダ先生の著書。
人間が「私」という言葉を使い始めた時から必然的に生じ、あらゆる苦しみの原因ともなりうる「自分を愛すること」と「ナルシシズム」について深く考えさせられました。
本書では、「本当は自分しか愛していない」「他人にいいことをするのは自分の評価をあげたいため」「他人の成功を喜べない」というナルシシズムからの脱却の方法が説かれて、
自分が、奥底にある本当の自分に忠実であるということの指南となっています。
感謝の精神と、奥深い自分の良心をみつめることが大切ですね。 -
後半は生き方のアドバイスとなっており、タイトルとあまり関連していないようにも感じましたが、全体的には堅くもなく、読みやすかったです。
でもどこか物足りなかったです。