心身症 (講談社現代新書 1159)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (233ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061491595

作品紹介・あらすじ

ストレスが腰痛を生み、不安が胃潰瘍を生み、行動パターンが病気を誘導する。心身相関に関する最新研究を紹介し、近代医学が引き裂いた「こころ」と「からだ」の統合を目指す新しい医学を提唱する。

感想・レビュー・書評

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  • ・胃潰瘍の三分の一ないしは、再発の際の心理社会的ストレスを考えると、三分の二ぐらいのケースが心身症として対応した方がよいと思われる。―末松弘行

    ・ポリサージャリーは単に頻回の手術そのものを意味するのではなく、医学的には必ずしもその必要がないにもかかわらず手術をたくさん受けることに一種の嗜癖的な傾向をもつ患者をいい、広い意味での強迫的な傾向、あるいはマゾヒスティックな傾向、すなわち苦痛をたえず身体に感じていたり手術を受けたりすることで、現実からの逃避や葛藤からの逃避をはかる傾向をいう。

    ・境界パーソナリティの特徴は、自己と他者の全体像を把握することが困難で、対象を欲求を満たしてくれる良い面と欲求を挫折させる悪い面とに分裂させ、良い対象から見捨てられまいと常軌を逸した努力をするところにある。

    ・強迫パーソナリティ  よい自己 ← 強迫的努力 ― 悪い自己
    自己愛パーソナリティ よい自己     (否認) ××   悪い自己
    境界パーソナリティ   よい自己    ××分裂××     悪い自己

    ・過敏性大腸だから職場の緊張だろうとか、性格傾向が偏った人だ柄その性格的な因子があるのだろうとか、そういうような考えでは治療にならない。いつ頃から、腹がどういう感じになるのか、電車の中でどういう気分なのか、便所へ行きたくなって、駅の便所に駆け込むわけですけど、駅の便所に駆け込んだら、どのくらい便が出るのか、便が出るときの気分は、どうなのか、出てしまったらすっきりするのか、それともすっきりしなくて、あまり便は出なくて、相変わらず、腹がジクジクするのか、何回も行くのか、職場についたときは、もうおなかはすっきりしているのか、それとも、ずっと、職場にいる間じゅう、ジュクジュクしているのか、そういうことが違えば、その身体症状が表している心理学的な意味も、全然違うんだ。だから、細かに聞かなければ分からないじゃないか。ただ職場の緊張なんだろう、とかいうとらえ方は、心理療法のレベルの症状把握ではないんだ。評論家的なレベルであって、目の前にいる患者さんを理解して、一緒に考えてあげようというためには、症状の解釈より前に、現象学的に精密な把握、ということが大切だろう。―下坂幸三

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著者プロフィール

名古屋大学医学部卒業。
現職: 成田心理療法研究室室長。日本精神分析学会認定精神療法医スーパーバイザー。

著書に『青年期境界例』『精神療法家の仕事』(金剛出版)、『精神療法を学ぶ』(中山書店)、『精神療法家の本棚』(みすず書房) など。

「2023年 『寄り添うことのむずかしさ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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