戦争を始めるのは誰か: 湾岸戦争とアメリカ議会 (講談社現代新書 1184)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (235ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061491847

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  • タイトル通りアメリカ議会の本。

  • この本は湾岸戦争時におけるアメリカ議会の開戦の可否について米議会がどういう判断を下したかというドキュメントである。戦争は誰が始めるのか?そもそもいつから戦争なのか?等の疑問を抱えながら、利権まみれの議会の議員達は己が戦争の引き金を引いた事を自覚しつつこの問題に取り組んでゆく。それを『アメリカ議会最良の時』と賞するあたりに世の皮肉と人の業を感じずにはいられない。

  • 湾岸戦争が米国にとってどのような戦争だったのか,著者は,実際に戦争に至るまでの議会と大統領の動向を緻密に記述分析している。米国が湾岸戦争に向かうまでの過程で,「マニフェスト・ディスティニィ」,そして「モンロー・ドクトリン」という2つの要素が,米国大統領の権限を固持し,またそのために米国を孤立化させる結果に陥った事実にも言及している。米国憲法が定めるところの大統領の権限。それは「戦争の遂行」と「戦時中の財政的支援」,及び「軍隊徴集」である。一方,議会は,「宣戦布告」という権限をもっている。しかし,これらの大統領の権限と議会の権限を巡ってはグレイ・ゾーンともいうべきものが存在しており,明確な線引きがなされていないと著者は主張する。過去に,米国が国連やNATOへの加盟を巡って行われた議論を通して米国が孤立化してしまった経緯にも言及されている。読了後,米国が湾岸戦争に踏み切るまでの議会の,あるいは議員の苦悩を知ることで非常に切実で,複雑な思いを抱いた。

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著者プロフィール

会田弘継(あいだ・ひろつぐ)
1951年埼玉県生まれ。共同通信社ワシントン支局記者、ジュネーブ支局長、ワシントン支局長、論説委員長を歴任。現在、共同通信社客員論説委員、青山学院大学地球社会共生学部教授。主な著書に『増補改訂版 追跡・アメリカの思想家たち』『戦争を始めるのは誰か』、訳書にフランシス・フクヤマ『アメリカの終わり』ほかがある。

「2016年 『トランプ現象とアメリカ保守思想』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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