踏みはずす美術史 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061494046

作品紹介・あらすじ

美術の極意は「考えるな、食べろ、着こなせ!」そこから発見の旅がはじまる-巨匠は上手か。ウォーホルはポップか。似ていることは悪いのか。常識を解体し「地球美術史」の地平を新たに開く快著。

感想・レビュー・書評

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  • 美術館で絵の前にいる人が何をもって、その絵に見入られているかなんて分からない。もしかしたらその中で全く絵画の何が楽しいのか?と思う人もいるだろう。この本はある意味歪んだ見方を説明することで、絵画等芸術品を見やすくしている本に思えた。
    最初は筆者が伝えたいのか分からず、戸惑うかもしれないけど読んでいけば、楽しくなっていくかと。

  • 自分のような初心者が一見敷居の高い美術鑑賞にどんなスタンスで臨めばいいかを教授。
    有名な美術品を例に取り、その美術品の意義の捕らえ方をさまざまな視点から見てくれるため、「どんな人でも美術楽しめる」という安心を与えてくれました。
    この作者はそれをふまえ、そのさまざまな視点をもって有名美術をいじるという珍しいことをやってるようで、面白そうでした。

  • 森村さんの活躍はなかなかユニークですよね。
    横トリのプロデューサー(?)をやられた時も、それ以降の横トリは何か芯がないような気がしておりました。
    好き嫌いや批判も多いかもしれませんが、これからもユニークな作品を期待しております。

  • 2004年12月15日、4版、並、カバスレ、帯無し。
    2014年7月1日、津BF。

  • セルフポートレイト作品を手がけている著者が、自身の作品や現代美術について比較的自由に論じています。

    著者が、「男と女」「大人と子供」という対立図式を超えて、「考える」ことを前提にした「見る」こととは異なる、「見る」ことを追求していった結果、「美術は見るものではなく、着るものである」という発想に達し、レオナルド・ダ・ヴィンチの名作「モナ・リザ」を「着こなす」セルフポートレイト作品が生まれたことが語られています。

    そのほか、ピカソやアンディ・ウォーホル、岡本太郎、さらに著者と同じくセルフポートレイト作品を手がけているシンディ・シャーマンといった芸術家の作品について、著者がどのように感じ、理解したのかが語られます。

    ありがちな美術解説ではなく、美術を鑑賞する姿勢をもっと自由なものにしてくれるような本でした。

  • 目の付け所がこれまでにないアプローチ。創作するという姿勢があるから見る視点も変わって来るのだろう。とにかく面白かった。ゴリゴリの美術史をやって来た人には刺激的だ。食べる、着る美術。太陽の塔の永遠性。似たものの価値。

  • ★★★☆☆

    「抽象画はテキスタイルだと思え」

    このひと言が大きかった。

    絵画にしろ音楽にしろ、芸術と呼ばれるもの一般の鑑賞方法を尋ねると「本当に良いものは知識なしでも楽しめる」という人がいるが、そんな姿勢で観て楽しいのはあらゆるジャンルにおいて頂点の一握りだけであって、サッカーでいえば、メッシとC・ロナウドのハイライト集だけ観ていろというのに等しい。

    こういった意見は階級社会を肯定し高所から大衆を見下ろして言うことであって、僕はそれが悪いとは思わない派でもあるが、それじゃあ本当の意味で絵を楽しめないことも不幸なことに知ってしまっているのだ。

    そこで本書は入口としてまず「テキスタイル(染物、織物)として観よ」という。

    勉強しないとわからない絵画においてもとりわけわけがわからない抽象画も、シャツの柄だと思って、この柄は自分で着たら似合うかどうかという基準で見れば入りやすいだろうというわけだ。

    これは馬鹿げているようでいて意外と真だ。

    なぜなら、どんなに勉強して絵画を理解できるようになっても最終的には絵を商売にでもしていない限り、何を選んで見るかは好みの問題だからだ。

    著者は絵画を楽しむには勉強が必要だということを決して上からではなく語った後で、自然に勉強しようという気持ちになるための様々な入口を提示してくれる。

    どんな分野にも入門書というのはあるけれど、本当の入門書というのはこういう本のことなんじゃないだろうか。

  • 私はなぜ、この本をもっと早くに読まなかったのだろうか。かなり面白かった。アートを見ることを、「着こなす」というあたり、すごい観点でした。
    もう一回読んでみると思います。そして、この本に出てきたいろんなアートや本や映画なんかを、そのうち見たり読んだりすることになると思う。

  • 2011.1.1読了。

    好きだモリムラ!ウォーホル論がおもしろかった。

  • とても簡単でわかりやすい、しかしそのために最初の方は得るものがないなと感じたけど、ウォーホルの章以降のは独創的視点がとても面白かった みんなちがってみんないい、みんなにていて、みんないい

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著者プロフィール

1951 年大阪市生まれ。1985年にゴッホに扮したセルフポートレイト写真でデビューして以降、国内外で作品の発表を続ける。近年の個展に「森村泰昌:自画像の美術史——「私」と「わたし」が出会うとき」(2016年、国立国際美術館)、「Yasumasa Morimura: EGO OBSCURA」(2018-19年、ニューヨーク、ジャパン・ソサエティ)、「M 式「海の幸」——森村泰昌 ワタシガタリの神話」(2021-22年、アーティゾン美術館)等。ヨコハマトリエンナーレ2014「華氏451の芸術:世界の中心には忘却の海がある」では、アーティスティック・ディレクターを務めた。2018 年には大阪・北加賀屋に自身の美術館「モリムラ@ミュージアム」が開館。執筆活動も精力的に行い『自画像のゆくえ』(2019年、光文社新書)をはじめ多数の著書がある。

「2022年 『ワタシの迷宮劇場』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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