情報と国家―収集・分析・評価の落とし穴 (講談社現代新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061497399

感想・レビュー・書評

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  • 無数にあるデータを取り出し、有用か否か、有用ならばどの方面に使えるのか十分に考慮する。データの取り扱いにおいては選定と吟味を怠ってはならない。
    という話。正直特別目新しいものではない。「information」と「inteligence」は別物である、ということを改めて認識出来たのは良かったが、それ以外は「情報」と一口に言っても「information」と「inteligence」は別物ですよ、を繰り返し述べているに留まっていた感じである。国家の動向にそれがどう用いられたのか/用いられず失敗したのか、の具体例をもう少し突っ込んで書いて欲しかった。後半の弾道ロケットについての話はそれほどページを割くべきではなかったと思う。

    「思い込み」と「結果ありきでデータを扱う」ことが数々の失敗を生み出すというのはおっかないことだけど、逆を言えば、人間は人間である以上、この間違いからは逃れられないのかな、とも思ったり。

  • 複数の情報収集主題で得られた情報(データ)を水平に統合して解析を行う方法を「マルチ・インテリジェンス」という。

    信号情報収集=SIGINT

    あるテロリストが常用している自動車のエンジンから放射される電磁波信号の特性が分かっていれば、その電磁波を追放することで、どこを動いているかを把握できる。

    2001年10月からのアフガニスタンにおけるタリバンとアル・カイダ掃討作戦では、SIGINTが前例を見ぬ規模で多用されている。

    公刊情報からある国の情報機関による情報収集分析活動を開始できる。安全保障において、こうした公刊情報は大量破壊兵器の拡散だけでなく、テロリズム、国際犯罪組織、麻薬、危機の予測と対応、人道支援と介入などの分野において大きな力を発揮できる。

    情報分析官は固有の専門性を持っていて、イランの核開発を追跡し、分析してきた人間が、いきなりインドの核開発分野に移行するのは難しい。それまでの情報と情報解析に要する経験の蓄積が必要だからである。

  • 「情報の80~95%は公刊情報から得られると言われる。新聞、雑誌、研究論文などを読み、あるいは東側のラジオやテレビ放送を聞いて、そこに盛り込まれている情報から「変化」を探り出す。」

    そうやって情報収集をしてるのかー、勉強になりました。
    情報は満ち溢れているから、そこから得られることは多い。但し、落とし穴にはまってはならない。そのためには注意深い処理・分析・評価が必要である。

    P.6
    現代は、情報があまりに多い為に処理しきれず、あるいは色々な情報に左右され、判断が遅れ、そのため行動の決断も遅れて時期を逸するという危険が多くなった。この問題のさらに一歩手前にある落とし穴として、情報を集めるだけで満足してしまい、それを処理・活用しないという、人間が一般に持つ特徴がある。
    情報はそれを
    処理(必要な情報とそうでないものに分ける)し、分析(その情報がどれだけ確からしいか、何を伝えているのかを客観的に把握する)し、評価(そこから何が読み取れるのかを判断し、これからどうなるかを予測する)し、それに基づいての行動の決定を行わなければ活用されたとは言えない。

    P.7
    先入観なく、客観的に物事を見ると言うことは、一見簡単なようだが、実は情報の収集、処理、分析、評価の過程で一番危険な落とし穴である。

    P.11
    情報に対しては、受け手側が最大限常識を働かせて、情報の真偽、あるいは確からしさを分析、評価する必要がある。
    その常識とは、政治、経済、軍事、科学、技術、さらには人間の行動における常識などだが、時として、かなりの専門知識が要求される場合もある。

    P.231
    常識を働かせれば、かなりな程度は情報の真偽の判断が可能であり、間違いを犯す危険性が少ないのは事実である。が、また常識では推測、判断ができない事例が存在するのも事実である。
    我々はどうしても、自分の世界の常識から物事を評価、判断せねばならない。常識から外れてしまったら、そこには理論や合理性が無くなってしまう。このような非常識的な行為に備える為には、できるだけ信頼性が高い情報を多く集め、その情報に対して自分の価値観にとらわれず、清の科学性、すなわち客観性を持って分析、評価するしかない。

  • Intelligenceについて書かれているが、具体例と理論が混在しているので整理して読む必要がある。<br />但し、きちんと整理していけば非常に得るものが多いだろう

  •  タイトルよりも副題の方がこの本をよく表していると思います。イラク戦争に向かったアメリカが陥った落とし穴についての話といってもよいかもしれません。


  • (T)

  • 日本という国は「平和国家」を標榜している国でありながら、自国の平和を守ると言うことに関して自虐的に無神経です。現在の安部政権は日本版NSCを創設しようと頑張っていますが、国の安全保障政策を支えるには対外情報の収集が必要です。そうした情報と国家の関係を簡便に学べるのがこの本です。

  • 情報の怖さを知りたい方へ。

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