- Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061542549
感想・レビュー・書評
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4-06-154254-0 237p 2002・4・22 4刷
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インフルエンザ休暇も終わり、4冊目読了。本書も図書館のリサイクル市から。とにかく松沢先生の本は何度読んでも得ることが多い。アイの実験の話やアユムが生まれてくるときの話、さらにアフリカはボッソーでの野生チンパンジーの観察について、いずれもほかで何度か読んできたことばかりです。それでも、すぐ忘れるので復習になってよいのです。本書は10年前に書かれたものですから、アユムはすでに10歳になっているはず。アイはまだ元気なはずだからいまの様子を知りたいものです。先日、新しい本の広告が出ていたので、また探してみましょう。さて、最後の節で、質問に答える形で教育の本質について語られています。これは、今年私自身がテーマに掲げたこととも一致しており、非常に興味深い。(松沢先生は10年前に書かれているのですが。)それは、「ラベル(レッテル)をはらない」ということ。この子は、~~ができない。この子は、~~というタイプの子だから・・・。と決め付けない。「あることができなかったら、それは生徒の側に問題があるのではなく、自分すなわち先生の側になにか問題がないかを考える。教え方に工夫できないかを考える。それが唯一、生産的な方法です。」その通りだと思います。
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(2005.07.23読了)(2001.05.12購入)
チンパンジーの文化と教育がこの本のテーマです。著者は、アイと名付けられたチンパンジーを相手に、チンパンジーの知性を探る研究をしてきました。チンパンジーは、いろんな面で、実に人間に近いので、著者は、ちんぱん人と呼び、一人二人と数えています。「チンパンジーを研究するという事は、必然的に人間を研究することにつながると思います。」
●赤ん坊の反射
「子供は、三つの反射を持って生まれてきます。一つ目はしがみつく反射です。二つ目は、口の近くに何か刺激があると、その刺激のほうへ口を持っていきます。三つめの反射は、口に何かが入れば吸います。」
●新生児の模倣
「お母さんが、べえっと長くゆっくりと、赤ちゃんの顔の前で舌を出すと、赤ちゃんも舌をべろっと出します。あるいは、口を大きく丸く、ゆっくりと開けると、生まれたばかりの赤ちゃんがやっぱり口をあけます。三つめの表情は、口をううっとすぼめて前へ出すと、やっぱり赤ちゃんが口をすぼめます。この中でかなりはっきり誘発されるのは、舌出しです。」(僕も子供が生まれたとき、このことを本で読み試して見ました。確実に反応します。電車で乗り合わせた赤ん坊にも試してみましたけど、ちゃんと反応しました。)
●話し言葉を理解する
話し言葉を意図的に教えたわけではないけれど、永年のやり取りのうちに自然に身につけた。
●文化
文化とは、「ある特定のコミュニティーのメンバーに共有されている知識や技術の総体で、非遺伝的な経路で親の世代からこの世代へ引き継がれるもの」です。
サルの文化といわれるものは、いろいろ発見されています。幸島のニホンザルのイモ洗いから始まって、アフリカのチンパンジーのシロアリ釣り、油やしの種割り、などがあります。
アイの様子は、時々NHKテレビ等で、放送されていますので、ご存知の方も多いかと思います。研究すればするほど、類人猿は、かなりの知性を持っていることが分かってきます。結構驚くことが書いてありますので、一読をお勧めします。
著者 松沢 哲郎
1950年 愛媛県生まれ
1974年 京都大学文学部哲学科卒業
1978年 アイ・プロジェクト開始
1986年 野生チンパンジー調査開始
(「BOOK」データベースより)amazon
漢字や数字をおぼえ、「天才チンパンジー」といわれるアイ。その知識は、1歳になる息子のアユムに、いつ、どのように伝えられるのか?人間にとって「進化の隣人」であるチンパンジーの親子関係、教育、文化を語る。