言志四録(4) 言志耋録 (講談社学術文庫)

  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (331ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061582774

作品紹介・あらすじ

心を苦しめ、思慮分別に悩んで始めて本当の智恵が現われるものであり、安らかに生活している時は、思慮の力が埋れてしまっている。このことは丁度、苦いものは薬になり、甘いものは毒となるようなものである。婦女子を訓戒するには、まず恕即ち思いやりのことばを先にかけ、次に厳格なことばで結ぶようにするがよい。小人を訓戒するには、まず厳格なことばでぴりっとさせ、次に思いやりのことばをかけてやるがよい。(本文より)

感想・レビュー・書評

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  • 佐藤一斎
    言志四録 1巻から3巻は 似たような言葉が繰り返される箴言集だが、最終巻 言志耋録(てつろく) は凄い。

    80歳の佐藤一斎が 自らを戒め、人生を総括した名言の数々。西郷隆盛や吉田松陰の思想や生き方は 佐藤一斎の通過点や一部分にすぎないかも。


    学は一なり(学問の道は一つである)で始まり、父母への感謝と 全うした生を自覚する ことで終わる。


    佐藤一斎の幸福論
    *過失を免れる方法は 物事を控えめに慎み深くする
    *幸福を求める方法は 人に恵む、人に施しをする
    *幸福を求める必要はない。禍さえなければ幸福なことになる
    *名誉を希う必要はない。恥をかかなければ名誉なこととなる
    *長生きを祈らなくていい。若死さえしなければ長生きしたことになる
    *金持でなくていい。飢えなければ 富があることになる

    言志録
    核となる言葉は 数=天命、運命。基本思想は「人事をつくして天命を待つ」言志録の箴言の数々は 人事をつくす生き方を意味しているように捉えた。一番いい言葉は 地道。現代の意味と少し違うが、地道=人に対して敬い、自分に対しては つつしむ という意味らしい。

    才は剣のごとし〜よく用いるれば身を衛るが、よく用いないと身を滅ぼす

    自分を治めることと他人を治めることは同じである。自分を欺くことと他人を欺くことは同じである

    士は独立自信を貴ぶ〜権力者に媚びたり、富貴者に付き従うな


    言志後録
    順境は春の如し〜あたかも春の日に花を見て遊ぶようなもの。逆境は冬の如し〜冬に閉じこもって雪を見るに等しい〜冬もいいものだ

    言志晩録
    67歳〜78歳までの文章
    胸次虚明なれば、感応神速なり
    *胸中が真空なら、誠の心が通じ、その感応は髪のように迅速である
    *人の真空の部分が人を引きつける(欲がつまっている人は人を引きつけない)





  •  これはね、もう読んでもらうしかない。解説云々の次元ではないです。

     私は本書のシリーズから2つの要素を得ています。
     1つは学ぶことへのモチベーション。
     もう一つは実経験に照らし合わせ、具体的なシーンでの立ち振舞いのヒントです。

     まずはビジネス云々は抜きにして(私は巷でよく見る「ビジネスに効く」的な売り方は大嫌いなので)、一斎がその言葉に込めた真意を理解すること。そののちにこれを仕事なり私生活なりにどう応用できるかを考えるとよいと思います。

     あと何気に訳者の付記にキラッと光る解説や引用が含まれていて、得をした気分になれます。

  • 『ぼくらの頭脳の鍛え方』
    書斎の本棚から百冊(立花隆選)76
    日本思想
    江戸時代の儒者の本。40代から80代にかけて書いた。年代によって内容が大きくなっていく。

  • 江戸時代には偉い人がたくさんいた。
    学ぶべきところがきわめて多い。
    学校でも教えるぐらいのことがあっていいと思う。

  • 言志耄録を丸ごと収録。断じて耄碌では無い。

    今回は訴訟に関する話など、
    ケースごとの話が多くなっている。

    そして最後は老人の心得の話になり、
    それも養生の話ばかりになり、
    体がきかなくなって云々になっていき、
    ついに死に関する言葉になって締めくくる。
    まるで一斎先生の遺言状のようである。

    私はまだ若いのであまり参考に出来ないが、
    老人になったらまた読み返してみようと思う。

  • 展示期間終了後の配架場所は、1階 学士力支援図書コーナー 請求記号:121.55//Sa85//4

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著者プロフィール

朱子学・陽明学を消化し、 近世日本儒学に偉大な足跡を残し、 幕末維新の主な学者・思想家を育てた大儒。
【著書】
『言志四録』一斎の透徹した人生観を語り、処世上の指針を与える書。西郷隆盛の愛読書としてしられる。
『重職心得箇条』等の政教に関する心構えを説いた書
『愛日楼文詩』詩文集
『論語欄外書』等、中国古典の訳注書も多数ある。

「1990年 『佐藤一斎全集 1 政教論考』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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