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- Amazon.co.jp ・本 (365ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061588554
作品紹介・あらすじ
本書は、万葉集の素朴・直截な純粋さ、重厚な肉体的感動といった自由で強烈な万葉精神が、日本の抒情詩の流れの中でいかに受け継がれてきたかを、古今的・新古今的伝統との対立とからみ合いを通して捉えようとした。万葉の伝統を全体的歴史的に展望し、中・近世の実朝、良寛、宣長、また近・現代の晶子、左千夫、茂吉、光太郎ら先人の業績に万葉への憧憬と復興の情熱を探る。万葉の美とその現代的意義を問い直した文芸評論の名著。
感想・レビュー・書評
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タイトルとはやや異なり、「日本の抒情詩の伝統を、万葉の伝統と古今的・新古今的伝統との対立し絡み合った流れとして捉える」文芸評論および日本文学研究書である。
前半はタイトル通り万葉の解説で、これを期待してこの本を取った私には読みごたえがあった。一方後半は終戦直後に書かれたようで、著者による戦時中の文学に対する怒りが湧き上がっており、万葉との明確な論説はないため期待とはズレていた。
万葉もそうだが近代文学も、それが書かれ読者に好まれた時代背景を思慮しなければ変な誤解を生んでしまう。文学も歴史と同様に後世によって評価が変遷するものであると切に感じた。そういう意味では「万葉の伝統」というタイトルは合っている。
1988年第1刷を読んだが、p.233~234、p.234~235のページの境に誤植があるようだ。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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