徒然草抜書 (講談社学術文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (404ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061589476

作品紹介・あらすじ

『徒然草』といえば余りに名高い古典、研究し尽され最早疑問の余地などないかに見える。だが果してそうだろうか。例えば「つれづれ」とは何か。「ものぐるほしけれ」とは?また「うしのつの文字」とは。次々問いを発するとき通説は急にその安定を失う。博大な学殖によるテキストの読み、重厚な論理的追究、著者の驚くべき炯眼は、見過されてきた真実を紙背から鮮明に炙り出す。真に独創的な現代の名著。

感想・レビュー・書評

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  • 現時点では新しい本を買うことが出来なかったのだけど、良い状態の古本が手元に来て、それはもう狂喜乱舞しましたとも(笑)

    この人の姿勢が、好き。
    面白い。でも、その面白さはエキセントリックではなく、本当に丁寧な分析の上でのセオリー崩しを行ってみせるから、面白い!

    「日暮らし」は、「ひくらし」か「ひぐらし」か。
    「ものぐるほし」の、当時の用法から見える兼好の姿勢について。
    写本から写本へ、その中でどこまでオリジナルの一冊に迫れるかって、ドキドキする展開だと思うのは私だけなんだろうか。

    もちろん『徒然草』だけでなく、古典との向き合い方の指南にもなるし、当時の語の在り方や、推移についても沢山学ばされる。
    抜書ではあるけれど、本当に充実していて、これが簡単に手に入らないなんて残念すぎる。

  • 文献学的解釈の基礎◆つれづれなるままに◆うしのつの文字◆土偏に候ふ◆蜷といふ貝◆いみじき秀句

    著者:小松英雄(1929-)

  • 国語学者 小松英雄 氏による徒然草の深読み本。伝本に戻って 深読みすることにより、解釈の楽しさ=表現の奥に潜む面白さ を知ることができる。そのためのアプローチ方法も 記述。通説を否定し、権威を否定している?

    たった5段を深読みするために 本1冊書けるのは 凄い

    序段「つれづれなるままに〜」
    62段「延政門院〜」
    136段「くすしあつしげ〜」
    159段「みなむすび〜」
    86段「惟継中納言〜」

  • 徒然草というタイトルは、作者が決めたものではないし、作者も吉田兼好じゃないかもしれない・・実はそういうものだということまでは、示されないものだということがよくわかった。
    なにより、研究者というのは、ここまで丁寧に、段階を踏んで論理を積み重ねることを要求されるんだということも。

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著者プロフィール

出生 1929年、東京。
筑波大学名誉教授。文学博士。

著書
日本声調史論考(風間書房・1971)
国語史学基礎論(笠間書院・1973:増訂版 1986:簡装版 2006)
いろはうた—日本語史へのいざない(中公新書 558・1979:講談社学術文庫・2009)
日本語の世界7〔日本語の音韻〕(中央公論社・1981)
仮名文の原理(笠間書院・1988)
やまとうた—古今和歌集の言語ゲーム(講談社・1994)
仮名文の構文原理(笠間書院・1997:増補版 2003:増補版新装版 2012)
日本語書記史原論(笠間書院・1998:補訂版 2000:新装版 2006)
日本語はなぜ変化するか—母語としての日本語の歴史(笠間書院・1999:新装版 2013)
古典和歌解読—和歌表現はどのように深化したか(笠間書院・2000:増補版 2012)
日本語の歴史—青信号はなぜアオなのか(笠間書院・2001:新装版 2013)
みそひと文字の抒情詩—古今和歌集の和歌表現を解きほぐす(笠間書院・2004:新装版 2012)
古典再入門—『土左日記』を入りぐちにして(笠間書院・2006)
丁寧に読む古典(笠間書院・2008)
伊勢物語の表現を掘り起こす—《あづまくだり》の起承転結(笠間書院・2010)
平安古筆を読み解く—散らし書きの再発見(二玄社・2011)
日本語を動的にとらえる—ことばは使い手が進化させる(笠間書院・2014)
土左日記を読みなおす—屈折した表現の理解のために(笠間書院・2018)

解説執筆
小川剛生(おがわ・たけお 慶應義塾大学文学部教授)

「2020年 『新版 徒然草抜書 表現解析の方法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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