ハイデルベルク: ある大学都市の精神史 (講談社学術文庫 1050)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061590502

作品紹介・あらすじ

多くの詩歌に謳われ、19世紀にはドイツ・ロマン派文学の中心地となり、またベルリンと並び抗して世界の学問をリードしたドイツの大学都市ハイデルベルク。本書は、この美しい歴史の町ハイデルベルクを舞台に活躍した学者や詩人等に光を当て、彼等の知的交流の軌跡をたどりながら、ハイデルベルク大学を中心としたドイツの学術の栄光と、ドイツ精神史の相貌をみごとに浮彫りにした画期的な名著。

感想・レビュー・書評

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  • 多くの学者たちを擁立してきたドイツの大学都市ハイデルベルクの歴史を解説している本です。

    中心になっているのは、マックス・ウェーバーからカール・ヤスパースにいたるまでの精神史の展開です。ウェーバーは社会学者、ヤスパースは哲学者に分類されていますが、ともに狭い専門領域の観点からではその全貌をとらえることのできない思想家です。彼らのスケールの大きな思想にアプローチするにあたり、本書が採用しているような精神史という観点からせまることの有効性を教えられたように思います。

    他方で、本書においてウェーバーらと対照されているのが、ヴィンデルバントやリッケルトといった新カント派の哲学者たちです。このような構図は、講壇哲学の保守性を体現するかのようなこれらの人びとのエピソードを添えることで、19世紀から20世紀にかけての思想界における大きな変化を浮き彫りにするという効果をあげていますが、ウェーバーとリッケルトの関係はたしかに密接なものがあり、またエミール・ラスクとハイデガーの思想上の影響関係にも無視できないものがあるということにも、目が向けられてよいのではないかという気がします。

  • ちょっと油断してましたが、講談社学術文庫ですもんね、単なるハイデルベルグ紹介本ではなかったです。
    多分相当簡単に、素人に分かるように噛んで含めた本なんでしょうが、当方レベルにとってはベストです。
    しかし今のハイデルベルグの人々には結構きつい指摘ですか、要するにもう終わったって言ってる訳ですから。
    人のつながりを自ら失った当然の報い的な解説もありましたが、うーん、そうかもしれないけれどそんな簡単でもないと思うんですけど。それが社会ってもので。

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著者プロフィール

1928年生まれ。東京大学文学哲学科卒業。同大学院修了。元中央大学教授。1984年没。著書に『思想史の道標』(勁草書房、1965)、『現代ヨーロッパの精神史的境位』(福村出版、1971)、『社会思想の歴史——ヘーゲル・マルクス・ウェーバー』(岩波現代文庫、2002)ほか。訳書はレヴィ=ストロース『構造人類学』(みすず書房、1972)、ヴェーバー『宗教社会学論選』(みすず書房、1972)ほか。

「2023年 『フロイト著作集第4巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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