ユングとキリスト教 (講談社学術文庫 1247)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (386ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061592476

作品紹介・あらすじ

精神医学者として著名なユングはすぐれた思想家でもあった。中心的課題を西洋精神の本質の追究におく彼は手懸りをキリスト教精神史に求め、原始キリスト教の成立過程、グノーシス主義の影響等を深層心理学的見地から再検討し、従来看過されてきた重大な問題点を見出した。ユングの思索を追うことにより、キリスト教における正統信仰確立過程で切り捨てられてきた影の領域の復権を迫る意欲的論考。

感想・レビュー・書評

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  • 超良かった。
    ユングによる西洋精神史の読み解き。
    古代人の内的事象や心理的世界、精神の深層にまで降りていこうと意気込むユングの姿勢からは多くのことが学べる。近代ヨーロッパの「影」を見ることは外部からヨーロッパを俯瞰して見ること。
    アジアや異民族との交流を盛んに行なっていた彼の態度に尊敬する。
    古代〜中世を知るための宗教、神話への取り組みは今後も続けていきたい。
    著者のバランスが取れた知識や批判的目線も良かったです。

  • タイトルには「キリスト教」とありますが、キリスト教そのものを検証するのではなく、世界の宗教や信仰に映された世界観や人間観から深層心理学を考える本です。「0か1か」「善か悪か」みたいな二元論にちょっと違和感を感じている方におすすめです。

    ( オンラインコミュニティ「Book Bar for Leaders」内で紹介 https://www.bizmentor.jp/bookbar )

  • 題名の割に大半はキリスト教の話、とも言える。ユングとキリスト教が別々なのではなく、ユングによるキリスト教、と言った方がしっくりくる。
    深層心理について、主に女性原理や悪の存在/非存在などについて。聖書以前があり、原始キリスト教があり、その後確立していく流れを叙述しながら、影の部分としてのグノーシス主義や異端に着目し、それが形而上学の影から科学・技術の形を借りて流れだしたという、2000年にわたる西洋精神史の掘り起こしは読む者を圧倒させる。
    第一章のフロイト・ユング・ウェーバー・フロムの議論の方向の整理もだいぶ面白い。

  • 『ユングとヨーロッパ精神』『ユングと東洋』のほうが好きだけど、画像がないのでこれ。

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著者プロフィール

925年福岡生まれ。東京大学文学部、経済学部卒。東京大学文学部助手を経て、山梨大学教授、大阪大学教授、筑波大学教授、桜美林大学教授を歴任。79年度インドネシア大学客員教授、87年、北京日本学センター客員教授。91年人体科学会を創設。主な著書に『近代日本の哲学と実在思想』『日本人の宗教意識』『ユングとキリスト教』『身体論』など多数。

「2013年 『湯浅泰雄全集 補巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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