エックハルト: 異端と正統の間で (講談社学術文庫 1335)

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  • Amazon.co.jp ・本 (521ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061593350

作品紹介・あらすじ

「マイスター・エックハルトというのは偉大な名である。…我々はエックハルトを知っている。同時に我々はエックハルトを知らない」と語られる中世ドイツの神秘主義思想の創始者エックハルト。本書は、思想家エックハルトの生涯と思想の形成を第一人者が精魂を込めて叙述。さらに「脱却して自由」「神との合一」等を説いた論述、及び説教集を平易に紹介、広範にわたる彼の思想の本質に迫る意欲作。

感想・レビュー・書評

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  • エックハルトの人生における背景、エックハルトの論述と、また説教まで乗っけてありまして、
    エックハルトを知るためには必読の書だと思います。

    「もしお前が自分自身を真に愛しているならば、お前はすべての人を自分自身と同じように愛しているのである。」
    (説教より)

    「どんな仕方であれお前が少しでも自分のものを求めるならば、決して神を見出すことはない。
    ただ神のみを求めているのではないからである」
    説教より

    「お前が病気であってそして神に健康を祈るならば、お前にとっては健康のほうが神よりも好ましいのであり、神は決してお前の神ではないのである。」

    「何がお前に起ころうとも、それを神から最善のこととして受け取らなければならない。
    それがお前の最善のことでなければならないからである。
    なぜならば神の存在は最善を欲したもうからである。」

    「神に在って平安にして静かな生活をもつことは、善いことである。
    労苦の生活を忍耐することは、更に善いことである。
    しかし、労苦の生活の只中で平安をもつこと、これが最善のことである。」

    「本性なきことが神の本性である」

    「お前はここかしこと神を探す必要は全くない。
    神はお前の心の戸口より遠い所に居られるのではない。
    そこに立って、お前が神に心を開くのを待ち受けて居たもうのである。」

    「私は言う、人性(人としての本性)は、このうえなく貧しくおとしめられた人においても、法王や肯定においても等しく完全であると。」

    神がいる、神などいない、という議論のまえに、この時代における「神」と呼ばれているものの概念に注目したいものだ。

    さすが上田先生。
    難解と言われるエックハルトの教説を分かりやすくまとめていただいています。

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