新装版 解体新書 (講談社学術文庫)

  • 講談社
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061593411

作品紹介・あらすじ

日本の遅れた医学を改革しようと、杉田玄白、前野良沢らは西洋の「解剖図」の翻訳に挑戦する。三年半の年月を経て、一七七四年オランダ語版『ターヘル・アナトミア』は『解体新書』として完成をみた。辞書のない時代、「門脈」「神経」など現代も使われている用語を造りながらの難事業であった。本書は、医学界のみならず、その後の蘭学の隆盛に貢献し、日本文化が大きく変容する契機となったのである。

感想・レビュー・書評

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  • 解体新書の裏話 - 川崎医科大学
    https://m.kawasaki-m.ac.jp/immuno-oncol/kaitaishinsho.html

    『新装版 解体新書』(杉田 玄白,酒井 シヅ):講談社学術文庫|講談社BOOK倶楽部
    https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000150942

  • NHK正月時代劇「風雲児たち蘭学革命編」を録画で見た。実は正月に、前野良沢や杉田玄白が小塚原で腑分け(人体解剖)を見た現場である​南千住の回向院​にも立ち寄った。そんなこんなで、興味を持って紐解いてみた。

    刊行時には名前を載せることさえ許さなかった前野良沢の、翻訳に果たした役割は決定的であるとしても、実はこうやって本書を全体的に俯瞰してみると、やはり杉田玄白のプロデュースも「決定的」だったことが判る。

    刊行の段取り、読みやすさの工夫だけではなく、中身についても、「注」というのにはあまりにも多くの文章を費やして「解説」あるいは「推論」を述べている。もちろん間違いはある。しかし、それ以上に本書によって「洋学の扉が開かれ、明治維新を準備した」というみなもと太郎「風雲児たち」の主張はその通りだと思うのである。

    杉田玄白が眼球の役割を「諸説を調べて」長々と解説している(107ー109p)。正確ではないが、彼らは光線及び眼の光学的知識を全く持っていなかった段階で、ここまで真相に近づいている。そもそもなぜ人は物を見ることができるのか、江戸の人たちは、初めてその合理的な解説に接したのである。その驚きは、幾ばくであっただろうか。

    「軟骨」や「神経」など、現代でも使われている数多くの医療用語を発明した。この翻訳を基に、当時の秀才が玄白や良沢のもとに集まり、大槻玄沢、稲村三伯、宇田川玄真などが蘭学及び洋学を発展させる。それ以外の無名の秀才たちが、競ってこの本を写筆したのは目に見えている。

    杉田玄白「蘭学事始」に「鼻」の翻訳時に「フルヘッヘンド」を訳するのに苦労してやっと「うずたかし」と訳した、という有名な箇所があるが、実は鼻の説明にその言葉は出ていないというのは、トリビア的な有名なエピソードである。鼻の説明は「中央に隆起し」と書いている。更にトリビア的なことを言えばこの単語は「乳」の説明に使われている。「その形は円くてうずたかい」(128p)

    この文庫本では残念なことに、洋画家の開祖・小野田直武の解剖図が所々潰れて不鮮明である。それだけのためではないが、元本の復刻版も安く出ているらしい。1度紐解いてみようと思っている。
    2018年2月読了

  • かの「解体新書」。あとがきに、当時の苦労など背景も書かれており興味深い。700語程度しか単語を分からないのに翻訳に乗り出したこと、友人の助けで挿絵が完成したこと。その気概が、文章から伝わってくる。
    人体に関わる、例えば妊娠のメカニズムなどにも触れられており、内容は驚くほど詳細。あ、ターヘル・アナトミアは実は元々ドイツ人がドイツ語で書いた本だというのは初めて知りました。

  • 新書文庫

  •  
    ── 杉田 玄白/酒井 シヅ・訳《解体新書 1774‥‥ 須原屋 市兵衛 19980810 講談社学術文庫》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4061593412
     
    (20121208)
     

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