牧野富太郎自叙伝 (講談社学術文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061596443

作品紹介・あらすじ

わが国の植物分類学を独力で切り拓いた巨人・牧野富太郎。幼少より植物に親しみ、小学校中退後の人生を独学による植物研究に捧げた彼は、権威による研究妨害や貧困に屈することなく、九十五年の生涯の晩年まで現役であり続けた。彼が採集した標本は実に六十万点、命名した植物は二千五百余。「植物学の父」が独特の牧野節で綴る波瀾万丈の「わが生涯」。

感想・レビュー・書評

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  • 植物学の父、牧野富太郎が綴る波乱万丈の生涯。
    第一部 牧野富太郎自叙伝  第二部 混混録
    第三部 父の素顔 牧野鶴代/文
    牧野博士の創定した親属植物、牧野博士の代表的著作、
    牧野富太郎博士年譜、有り。
    朝井まかて/著の『ボタニカ』を読了した後、
    では牧野先生本人は、自分の言葉でその生涯を
    どう書き残しているのかと思って、読んでみました。
    自叙伝、エッセイ的な混混録と、娘が綴る父の姿の
    三部構成で収録されています。
    幼少期からの学びと小学校中退、植物学への思い入れ、
    東京帝国大学での研究と学内での軋轢、借金問題、
    西洋音楽、亡き妻への想い、様々な人との関わりなどが
    自叙伝と混混録には綴られています。
    なんとも喜怒哀楽がはっきりしているというか・・・。
    恨み骨髄な事や好きな事は、思い出すと筆が止まらぬようで、
    何度もあちこちに顔を出しています。もうしつこいほどに。
    植物学に生涯を捧げながらも、その偏屈ぶりは凄いなぁ。
    でも、娘が綴る父の姿はエピソードに溢れ、人間臭い。
    『ボタニカ』は執筆にあたり、この本も随分と深く読み込んだ
    のかもしれません。

  • 植物学の巨人、牧野富太郎。
    なんでも近々、朝ドラの主人公にもなるらしい。

    実家にもこの人の名前を冠した図鑑があったような記憶がある。
    けれど、どんな人かは、この年になるまで全く知らなかった。

    第一部はご本人の筆になるもの。
    でも、七十代、八十代と別の時期に書かれているようだ。
    同じ内容の重複がある。

    第二部はいろいろな時期に書いた、内容もさまざまなもの。
    お嬢さんの手になる回顧録も収録されている。

    が、まあ、なんと磊落な人だろう。
    文体も、書きぶりも自由な感じ。
    (じゃがいものことを「馬鈴薯」と呼ぶのをずいぶん憤っているが、なぜいけないのかが書かれていないという、この自由さ!)

    小卒の学歴で「帝国大学」の学者のお歴々に伍して成果を挙げ続けるのは痛快だ。
    七十歳を超えても、日中は観察、毎日夜中の二時まで原稿を書く生活をしても健康。
    なんという人だろう。

    土佐の醸造業を営む、裕福な家庭で生まれた。
    が、両親とは幼いころに死に別れ、やがて家業も整理せざるを得なくなる。
    それでも、幼いころから好きだった植物一筋。
    八十歳を超えても、やりたいことがあり、気力も体力もあるという人生は、すごすぎる。

    恋女房の妻とは13人もの子供をもうけ、それだけでも大変なのに、研究には多額のお金がかかる。
    借金額も相当なものだったようだ。
    一時期は寿衛子夫人が待合を経営して家計を支えていたという話もある。
    ちなみに、この件が大学にも知られ批判をされても全く悪いと思っていない。
    すがすがしい。

    最近、朝井まかてさんが牧野博士を主人公にした小説を出したと聞く。
    そちらもいずれ読んでみたい。

  • 学生時代と思いきや、編集者時代

    高校生のときに植物知識を読んで以来だったか。

  • NHK朝ドラ「らんまん」のモデルの自叙伝。

  • こんなにも植物を愛した人はいないのではないか。
    そして、とてもとても幸福な人生だったことでしょう。

  • 「好きなことに邁進する」

    彼の生き方が100年以上たった今、注目を浴びている。その秘密が、おおらかな人柄にあることを感じさせてくれる本でした。
    とかく、周囲に気をつかって生きていく大切さを語られがちな現代とは異なる生き方も魅力でした。

    園芸好きの私は、ドラマ開始早々のジャケ買い。大正解でした。
    先日、練馬区の記念植物園にも行って、堪能してきました。

  • 摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB00085150

  • 牧野博士は奇人変人の類いである。宮沢賢治『毒もみの好きな署長さん』に出てくる署長さながらである。自分の好きなことのために、ひたすら植物のことに夢中になる。きっと天国でも、植物の採集をしているのではないか。

    方言文化にも理解のある研究者は、今では珍しいのではないか?当時でも稀な人だったとは思うが。山を半分にして構造を知りたいというのは、時計弄りに辿ることも出来そうである。

    ただ親の顔を知らないことと我慢づよいことは関係していそうだ。精神分析で解明できるのではないか?「いつまでもあると思うな親と金」というが、金を散財させてしまうのは金にも価値を持たせられなかったことではないか?親がいれば金にケチになるのかもしれない。

    しかし、死ぬまで一つのことに集中していることと自信を持って好きだといえることがあるのは一つの理想形である。基礎学力があったこともさいわいしていると思う。漢学に素養があるのも自己形成しているのではないか。

  • 摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB00085150

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/740430

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著者プロフィール

1862年(文久2年)土佐国佐川村(現、高知県高岡郡佐川町)の裕福な商家と酒造業を営む家に生まれる。三歳で父を、五歳で母を失い、祖母に育てられる。幼少時から植物に強い関心を示し、小学校を2年で中退、好きな植物採取に熱中する。19歳の時、初めて上京し博覧会を見る一方、書籍や顕微鏡を購入する。22歳の時(明治17年)に再び上京し、帝国大学理科大学(現、東京大学理学部)植物学教室に出入りし、文献・資料等の使用を許可される。自ら創刊に関わった「植物学雑誌」に新種ヤマトグサを発表し、日本人として初めて新種に学名をつける。94年間の生涯で収集した標本は40万枚に及び、新種を初め1500種以上の植物に命名し、「日本植物分類学の父」と呼ばれる。

「2023年 『オリジナル普及版 牧野日本植物圖説集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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