英語の冒険 (講談社学術文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061598690

作品紹介・あらすじ

英語はどこから来てどのような経過で世界一五億人の言語となるに到ったのか-。一五〇〇年前にフリースランドからブリテン島に入り込んだゲルマン人の言葉。わずか一五万人の話者しか持たなかった英語の祖先は、衰退と絶滅の危機を乗り越え、やがてイングランドの公用語から世界の「共通語」へと大発展してゆく。周辺言語との格闘と成長の歴史。

感想・レビュー・書評

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  • 大変に興味深く、おもしろかった。特に前半。
    感想を書こうと思ってパラパラとめくりながらメモったりしていたら、またうっかり最初から読みふけりそうになった。

    英語の歴史については、まず最初にゲルマン語がケルト語を駆逐してしまったこと、それから、バイキングの言葉が文法に大きな変化をもたらしたこと、その二つを昔ざっくりだが聞いたことがあって、おもしろいなぁ、もっとちゃんと知りたいなぁ、とずっと思っていた。
    この本はその好奇心を十分に満たしてくれた。
    Amazonのbot君が何をどう分析したのかは不明だがオススメしてくれた本。(個人情報とターゲットマーケティング云々については「サピエンス全史」の解説番組を見て以来、心の中で折り合いをつけました・・・笑)

    民族の興亡による言語の変化はどの言語にも起こりえることで、ありふれたことのように思うが、この本を読むと、それだけじゃなく、一人の人間の業績が「英語」の発展に多大に寄与したということも同じく多々あると分かった。そのエピソードがいちいち毎回感動的で驚いた。

    中でも、アルフレッド大王には心底驚いた。なんという知性の持ち主なのか。
    イギリスで唯一「大王」と呼ばれる国王。
    9世紀に、国民の識字率を上げることが富国に結びつくと考えるなんて、その先見性にはびっくり。

    「let there be light(光あれ)」という聖書の訳文を考えたオックスフォードの古典語学者にして革命の戦士、ティンダルの業績も心打たれた。著者が、「世界中の作家という作家が、ティンダルのリズムを体得しようとし、彼の言葉が与えてくれた豊かな可能性を享受した」とべた褒めなのも、抜粋の文を読むと分かるような気がした。シンプルなのにすごく美しい。

    「大母音推移」のことは全然知らなかったので、とても興味をかきたてられた。ああ、だから発音がああなのに、スペルはこうなのね、なんてすごく腑に落ちて楽しい。なぜそんなことが起こったかというのは今もミステリーだ、ということまでが、とにかくおもしろい。
    タイムマシンで言語学者をその時代に送り込んで、事情を解明してもらいたいくらい。
    日本語も、「はひふへほ」は昔は「ふぁふぃふふぇふぉ」だったんだよ、と国語音声学の授業で聞いたのを思い出す。

    逆に、「たった一度だけ起こった」という構造の変化(文法の変化)については、割とすっきりと解明してくれていて、これはこれで大変におもしろかった。
    デーンローという言葉は初めて聞いたような気がするが(世界史で出てきてたにもかかわらず、私の脳がきれいに忘れているだけという可能性もある…)、その境界近辺で、商取引で間違いがあってはいけないからということで、今のような「語順が重要」な文法へと変化が起こった、という。なんとまあ、おもしろい。商人ってのは、いつの時代も柔軟で実際的で、政治的な壁なんか、軽く、とは言わないまでも、なんだかんだでしたたかに飛び越えちゃうよなぁ、と感心する。
    フランス語の侵略にも耐え、やがて産業革命の言葉となり、今や世界語となる鍵は、この文法上の特徴にあるような気が私はどうしてもしてしまう。(もちろん、そのせいかどうかは神のみぞ知る)

    とまあ、こんな感じで、知らない「英語の歴史うんちく」がいっぱいで、非常に楽しい読書であった。いつか、この本と同時進行で製作されたという映像の方も見てみたい。すごくおもしろそう。

    余談だが、ほとんど英語には取り入れられなかった、というケルト語語源の単語の音の響きが特に好きだなぁ、と思った。エイヴォン(Avon)、テムズ(Thames)、 エスク川(Esk)、ワイ川(Wye)、ドーヴァ―(Dover)、ロンドン(London)・・・

  • 弱小言語がいかに世界語にのしあがっていったかつぶさにその歴史を追う。
    他を吸収し変容し成長できる柔軟さに強さをみる。
    これって言語に限らない法則なのかも、と思いながら読む。

  • 2018/06/11 読み終わった。
    島国の一方言だった英語がどうやって世界を制したのかがテーの本。
    単語一つとっても、この言葉が何語を語源としているのか、時代ごとに説明してくれて面白い。ノルマンコンクエストでフランス語が大量に入ってきたりね。和語、漢語、外来語がある日本語とも似ているんじゃないかな。

  • BM3a

  • 英語

  • 750円購入2014-03-24

  • タイトル通り、英語が未熟で世間知らずで、勇気と冒険心溢れた若者のように時間と空間を冒険する物語。 チャーチルが人々を鼓舞した演説に使われていた単語は古英語に由来するものがほとんどであったとか、宗教改革と印刷技術の発展と英語の体裁の変化、など、興味深いエピソード満載。

  • w

  • 誕生から現在に至るまで、英語というものの歴史が描かれた本。
    現在は世界中で話される言語にまで成長した英語だが、国の中心の言語としては使われず、息をひそめていた時代もあった。しかしその間も熱心に話す人々は地方にいて、当時イギリスを支配していたフランスの言語をはじめ、さまざまな国の言葉を吸収しながら大言語に成長していった様子が事細かに描かれていた。
    内容としては難しく、訳本であるためやや読みづらい部分もあったことから★3つ。

  • [ 内容 ]
    英語はどこから来てどのような経過で世界一五億人の言語となるに到ったのか―。
    一五〇〇年前にフリースランドからブリテン島に入り込んだゲルマン人の言葉。
    わずか一五万人の話者しか持たなかった英語の祖先は、衰退と絶滅の危機を乗り越え、やがてイングランドの公用語から世界の「共通語」へと大発展してゆく。
    周辺言語との格闘と成長の歴史。

    [ 目次 ]
    英語の出発
    危機一髪
    苦難の時代
    試練のなかでの進化
    玉座奪還
    新生イングランドの文学者チョーサー
    神の言葉となった英語
    国家の言葉へ
    壮大な権力闘争の果てに
    言葉のルネサンス
    “正しい”英語を求めて
    永遠の作家シェイクスピアの英語
    アメリカへの運命の旅
    大いなる西部―英語が発見した新世界
    川下に売られて
    英語を“つかまえ”ようとした人々
    正しい発音のために
    蒸気機関、街路、そしてスラング
    イギリスとインド、波瀾の関係
    英語のるつぼ、西インド諸島
    オーストラリア英語の宝
    “光と影”
    英語の植民地化
    英語に明るい未来はあるのか?

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


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