QED 東照宮の怨 (講談社ノベルス)

著者 :
  • 講談社
3.45
  • (39)
  • (27)
  • (145)
  • (4)
  • (2)
本棚登録 : 476
感想 : 42
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061821644

作品紹介・あらすじ

「日光東照宮陽明門」「山王権現」「三猿」「北極星」「薬師如来」「摩多羅神」「北斗七星」そして「三十六歌仙絵連続強盗殺人事件」。東照宮を中心軸とする膨大な謎は、ひとつの無駄もなく線でつながり、時空を超えた巨大なミステリは、「深秘」を知る崇によって見事解き明かされる。ミステリ界に屹立する「QED」の第四弾。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 今回ばかりは動機が薄すぎるんじゃないの

  • 真相に関しては黒幕(メイン)の方はあまり深く考えなくてかまいません。いわゆる「あたおか案件」とみて
    差支えはありませんので。

    ただし、その裏にいる人たちはな…
    まあ決定的な弱みを握られ続けていたのは
    事実だけど、なかなかにえげつなさすぎます。

    今回出てくるのは恨みという感じでしょうか。
    メインもサブの案件も恨みが深くかかわっているので。
    ただしメインは当てつけかもだけど。

  • 東照宮に仕込まれた天海僧正の呪と三十六歌仙の絵を巡る殺人事件を解く物語。
    いつもの蘊蓄は面白かったけれど殺害された八重垣リゾート社長の新ホテル計画、そんな理由で採算度外視で建てようとするものなのでしょうか。経営者としてどうなのかと。

  • 歴史ミステリシリーズ。
    殺人事件の動機はどうなんだろうと毎回思うけど、とても面白く読める。
    ホントなんかなぁと毎回思うけど。

  • 2000.01.01

  • 家康は死んで神になったのだ!死して祀られるのは怨霊だけだったが、家康は違う!格が違うのだよ、格がね!!!


     東照宮は秘密がいっぱい隠されているってのは知っていて、これの参考文献になった本も読んでいる。そういった東照宮の隠されたメッセージをストーリー立てて読んで・理解できるという点で、この本が一番わかりやすい。
     ただ、面白かったかというと、六歌仙の暗号ほど面白くなかった。呪いの強さが大したことなく感じたからだと思う。呪というより、願掛けだからなぁ。

     でも、かごめ歌の意味がわかって、実に興味深い。これが正解とは決められないが、わかるとゾクゾクするあの感じがある。

     殺人事件はオマケです。

    ______
    p108 カゴメ歌
     童謡には違う意味が込められているという説が多い。

     「鶴と亀が出会った」は「つるつるつっぺった」という方言ともいわれる。つっぺったは関東近辺で使われ、共通して溺れるとか落ち込むという意味がある。
     「夜明けの晩に」は矛盾しており「夜明けの番人」の違いともいわれる。

     沢史生氏の解釈では、籠の中の鳥は「遊女」であり、売られた女はいつ解放されるのか、夜明けに番人が押し入ってまた娘たちを犯している。という遊女の境遇を恨んだ歌ととっている。ここで出る遊女は、かの昔朝廷が土蜘蛛と蔑んだ出雲臣の一族のことではないかという説もある。

    p129 分断される
     佐竹三十六歌仙絵巻は鎌倉時代に作られた絵巻物であるが、1919年(T8年)に分断された。不況で絵を手放す必要があったが、あまりに高価なもので買い手がつかず、分割売出しすることになったらしい。
     この絵巻には上畳本という種類のものも存在し、これは佐竹本よりも早くから断簡されていたらしい。一巻で完成する絵巻を敢えて分断するというのは、怪しいにおいがする。

    p146 三
     東照宮につきまとう「北極星」と「三」の因果。

    p148 神という字
     示へんに申(さる)という字で神となる。こういうところから、猿という生き物の神秘性が高まるぅ!

    p152 南光坊 天海
     福島県会津市高田町に一五三六年に生まれたという説。高田の龍興寺で得度し、十代で比叡山に入り奥義を究め、園城寺、興福寺でも修業を積んだスーパーエリート。家康の頃になって、延暦寺の再建を依頼され、すばらしい根本中堂、大講堂、文殊楼を建てた。
     家康と懇意になった天海は家康の死後、彼に神号として「大権現」を送った。大権現はイザナギ・イザナミの神号のため、梵舜や崇伝から反対されたが、天がに押し切った。豊臣秀吉は死んで大明神の名を受け取ったが、家康はそれよりも上だといういみで大権現がつけられた。神である、神!
     つまり、家康を神に仕立てたのが天海だった。

     一八六五年に江戸の鬼門の位置に寛永寺を建てた。

    p162 天海さんまとめ
     東照宮の陽明門、山王権現、三猿、北極星、薬師如来、多羅神、北斗七星、
     これらのものは天海プロデューサーによって整備された。彼は東照宮で日本に呪をかけたのだ

    p221 後水尾天皇
     水尾天皇=清和天皇。藤原良房の孫にあたる。9歳の頃に冠を被せられ、藤原氏に牛耳られた時代の天皇として生きる。妻には良房の娘の高子がなる。応天門の変とかのあった時代。息子は陽成天皇で、27歳の頃に譲位する。この人の臣籍降下した子孫が源頼朝である。
     これが水尾天皇である。

     江戸時代になって後水尾天皇(在位1611-1629)という人物が生まれた。平安時代の水尾天皇を意識して諡号を付けられた。不仲であった父:後陽成天皇に反発してとのことである。
     とはいえ、後陽成天皇と後水尾天皇の時代は、平安の陽成と水尾の頃と似ている。良房に牛耳られたのと、徳川家に牛耳られた時代。

    p223 神社と神宮の違い
     神社は土地神を祀る社。神宮は皇祖神を祀る場所。しかし、皇祖神以外で祀られている神宮が二つ。東照宮と天満宮である。出雲大社や諏訪大社は「大社」である。
     天満宮の菅原道真は怨霊だが、徳川家康は神となったのである。
     ついでに、東照宮は例幣使という朝廷の使節を復活させている。天皇家の仕事にまで領域侵犯するほど、徳川家は増長していたのだ。

    p233 隠されたライン
     江戸の真北に日光東照宮は建てられたというのは有名だが、家康は西のラインも作っていた。
     豊臣秀吉は、秀吉の墓から豊國神社は真西にあり、その真西に本願寺がある。このラインを分断するように東本願寺を建てた。
     また、始めに家康の墓が建てらえれた久能山から家康の生地まで西に一直線であり、その延長線上には京都御所がある。
     家康は西に向かって呪を送っていたのだ。

    p247 絵巻
     日光東照宮の三十六歌仙絵巻は後水尾天皇の宸筆である。徳川家の傀儡になった後水尾天皇がわざわざ家康のために送ったのである!わざわざ!

    p269 朝鮮総督府
     日本政府は朝鮮総督府を建てることによって、朝鮮の龍脈を断とうとした。朝鮮は北岳山から流れ出る龍脈があると風水的に信じられていた。総督府はその風水を乱すように建てられた。それに対し、高宗(李太王)は「天ニ叫ビ、地ニ泣カザルハナシ」とアメリカに悲嘆した。

    p272 日光、結構
     「日光見ずして、結構というなかれ」という諺があるくらい、東照宮はすばらしい。
     これは「日光と月光」の隠語ではないかという説。

     日光菩薩と月光菩薩は大日如来(薬師如来)の両脇を固める脇侍である。では日光とついとなる月光はどこにあるのか。山形県、出羽の月山である。

    p272 関東一宮ライン
     関東にある一宮:群馬の貫前神社、栃木の二荒山神社
    、茨城の鹿島神宮、下総の香取神宮、上総の玉前神社、安房の安房神社、神奈川の寒川神社、埼玉の氷川神社を線で結ぼうとすると、渦巻き状に配置されていることがわかる。

    p275 会津
     日光山(日光菩薩)と月山(月光菩薩)の中心に来るはずの薬師如来はどこか。それが会津である。
     天海の生誕の地:会津。天海は自分の故郷に薬師如来を降臨させたのである。

     そしてまた、タタルは、日光(天照大御神)、月山(月読命)、会津はイザナキ命(天照と月読の生みの親)と照らし合わせる深読みもしている。

     とはいえ、皮肉にも江戸の終わりとともに会津は心中することになった。ほんと皮肉だね。

    p306 かごめ
     「かごめ」は籠目紋:三角形を重ねた六芒星の紋、魔除けの意味がある。
     「籠の中の鳥」は囲われた鳥居、つまり幕府によって飼われるだけになった天皇家を指す。
     「夜明けの番人」は東照宮の番人。夜明け=朝陽=日光ってね。
     「つるつるつっぺった」家光の時代に鷹狩で鶴を捕えそれを朝廷に献上して以来、朝廷に鶴を納めるのが慣例になった。また、鶴に対応するのは松である。鶴の松平家が天皇家を貶めている。
     「後ろの正面だあれ」江戸の真後ろでこっちを見ているの、だあれ?

     天皇家がもつ恨みを隠語の歌にしたのが「かごめ歌」という説。
     確かに日本人はこういう恨み辛みの話は大好きで、でも大っぴらには言えないから陰でこそこそ言う。文化だねぇ。

    _____

     なんで殺人事件が起きたのか、それを追及するのは無意味だ。
     殺人ってのは、常に意味がありそうで、意味なんてありゃあしないんだから。だから悪なんだよ。

  • …どうやら私は、あまり日光に興味はもてない人間だったみたいです。

  • 東照宮にて借りる。QEDシリーズ面白い。

  • 三十六歌仙に絡む凄惨な殺人と日光東照宮の謎を絡めたミステリ。もちろんメインは東照宮の方の謎解きです。しかし毎回思いますがタタルの話、文字になってればまだ理解できなくはないですけど、耳で聞くだけの奈々はよく理解できるなー。愛のなせるワザ?(笑)

  • (あらすじ)アマゾンから引用
    巨大な謎の複合体(コンプレックス) 東照宮に挑む、桑原崇
    「三十六歌仙絵」を狙った連続強盗殺人事件が発生。
    不可解な事件の手がかりは意外にも日光東照宮にあった。
    「陽明門」「山王権現」「三猿」「北極星」「薬師如来」
    「摩多羅神(またらじん)」「北斗七星」。
    桑原崇が東照宮に鏤められた謎を解き明かした時
    天海僧正が仕掛けた巨大な「深秘(じんぴ)」が時空を超えて
    浮かび上がる。好調シリーズ第4弾!

    *****

    事件より東照宮のや天海の謎についての薀蓄の方が興味深かった。
    殺人事件事体は手足をバラバラにされたり陰惨なんだけど
    結局はどいつもこいつも因果応報…/(´o`)\
    そして犯人も犯人で 動機がマニアック過ぎてスッキリしない。

    でも「QEDシリーズならでは」な理由だから結果的に○なような。

    タタルって好きだけど他人が当然知らないであろう知識を
    さも「常識」の如くに話し出して結局上から説明に至るという
    流れが多すぎてちょっと鼻につきだした(笑)
    そういうキャラなんだけど「天然」には思えない。わざとらしい。憎い。

全42件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール




「2023年 『江ノ島奇譚』 で使われていた紹介文から引用しています。」

高田崇史の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×