シンフォニック・ロスト (講談社ノベルス)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061827011

感想・レビュー・書評

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  • 天狼院書店「小説家養成ゼミ入門講座」の講師、千澤のり子さんの著書。

    中学校の吹奏楽部で起こる殺人事件の真相に迫るミステリー。

  • まず青春ミステリとして傑作。なんというか、まだ若いつもりではいるんだけれど、10歳も下の年齢の少年少女たちの浮遊感のある心理変動を目の当たりにすると泣きそうになる自分がいた・・・・・・(笑)
    中学吹奏楽部という舞台設定の中で追体験させられるノスタルジーと切なさはどうにも心をざわめかせる。曖昧になっている自分自身の中学時代の記憶までもが少しクリアになるような感じがした。
    そして、基本的にシナリオがミステリ・サスペンスとして面白い。
    ミステリの読み手としてある程度のトリックは看破できるものの(多分多くの人が真相の一部には行き着く)、それを遥かに超える技術力で打ち負かされ、最終的には呆然としまった。あまりの趣向にある種の敗北感すら覚えるほどに。本作以上に「再読」で爆発的に輝く作品もそうないのではないだろうか。
    初読で全容を理解するのがやや難しい面があるのが欠点かもしれないが、そもそも再読では全く見え方が違うので、再読前提のミステリなのではないだろうか。これだけの大業だと普通は小説として破綻するが、最後まで綺麗すぎる。細かい仕込みに気づけないでいるのが少しもったいない。
    本来強引に映りがちな構造は、本作の場合ストーリーの絶妙な説得力によりむしろ相乗的に心を抉る。
    辛かった・・・・・・こういうのほんと大好き。
    ただしばらくは深い溜息の生活が続きそうである。

  • 180323読了。
    今年17冊目今月6冊目。

    大きいネタを二つ仕込むことで、真相の隠蔽には寄与してるが、複雑すぎで最大効果を上げたかというと疑問。
    でもこういうネタは大好き。

    ストーリーは、救いもあるものの切なく、青春ミステリが苦手な理由を思い出した。

  • 吹奏楽部内でカップルができると片方が死ぬという噂。
    部員の死亡事件が起き噂が本当のものになるーというミステリー。叙述トリック。

  • 主人公が所属する吹奏楽部で連続殺人事件が発生するというお話です。憧れの先輩に嫌われたという絶望感と、そんな主人公を慕う後輩との恋愛の描写に、青春物語らしい青臭さが出ていてとても良かったです。
    ただ、ネタに真新しさがなく犯人も予定調和だったので、ミステリーとしての出来はイマイチかなと思いました。

  • 2011/12/31読了

  • 2011.4
    2014.4

  • 「カップルができると片方が死ぬ」、泉正博の所属する吹奏学部内で囁かれる噂通りに次々と仲間たちが謎の死を……。
    よくあるネタながらも、甘酸っぱい青春物語に隠された構成、伏線の巧妙さが光る良作。

    あと、主人公モテすぎw。

  • ≪あらすじ≫
    男子中学生で吹奏楽部のモテモテ主人公・泉正博は
    後輩女子部員と付き合うことになる。

    「吹奏楽部の中でカップルになると片方が死ぬ」
    という噂が飛び交う中
    泉正博は昔好きだった先輩の死体を発見。
    さらに顧問の先生が音楽室で殺害される。

    2人共部員と付き合っていたことがわかり、吹奏楽部内で犯人探しをする中
    今度は泉正博の彼女が学校の非常階段から転落し死亡する。

    犯人は一体誰なのか?


    ≪感想≫
    全体的に違和感があり、なんだかなぁ~って思っていたら、オチが叙述トリックだったwヤラレタ。
    ただ犯人が予想通りだったのが残念。

    ≪更にネタバレ≫
    主人公と別人物で各章ごと交互に描かれていて、再度読み返したくなる程とてもよく練られた素晴らしい作品だったけど、最後のハッピーエンド的な「結婚」オチはどうなんだろう・・・名前が泉泉になっちゃうんじゃ。。。

  • 途中から...少しづつ気がついてきたけれど、最終的には
    まんまと騙されたミステリ。中学の吹奏楽部を舞台とした
    青春のダークサイドミステリと言えるのでしょうか?
    部内で囁かれる噂...部内でカップルが出来ると
    その片方が死ぬ...という噂に沿って連続して謎の
    死を遂げていく。その渦中にいる主人公「泉正博」が
    辿り着く真相は...まさにミステリ然とした王道作品。

    随所にその伏線というかトラップが仕掛けられて
    いる訳ですが...結構分かり難くて、最後の種明かしでも
    何度も遡って確認してしまいました。そして、部内での
    噂と実際の事件の真相のリンクがやや弱い...かなー?と。
    でも騙される爽快度は割と高い作品ですので、是非とも
    人物の相関図を描きながら読んでみてくださいませ。

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著者プロフィール

東京都生まれ。専修大学卒業。羽住典子名義で評論家としても活動している。2007年に二階堂黎人との合作『ルームシェア 私立探偵・桐山真紀子』(宗形キメラ名義)を発表後、2009年に『マーダーゲーム』で単著デビュー。その他の著書に『シンフォニック・ロスト』『鵬藤高校天文部 君が見つけた星座』、共著に『人狼作家』『サイバーミステリ宣言!』『21世紀本格ミステリ映像大全』『平成ストライク』など。近著に『少女ティック 下弦の月は謎を照らす』。

「2022年 『暗黒10カラット 十歳たちの不連続短篇集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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