真珠母の匣 (講談社文庫 な 3-6 とらんぷ譚)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (243ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061842946

感想・レビュー・書評

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  • 本編の真珠母の匣はまさしく三姉妹の魔女たちの宴。事件を通して彼女たちの新しい出発が描かれているのではないかと思う。戦争を経験した別の男性作者も、もっと女性は奔放になるべきだという考え方の人だった。大正という時代の女性がかいまみえた気がする。
    本編もいいが、影の狩人がエロティックでいい。なんとなくヘッセのデミアンを思い出した。深層のテーマにはそういうものがあるのかもしれないなぁ…と。

  • これまた何度読んだかわかりゃしませんが。
    戦争の傷を引き摺る老三姉妹の物語。
    四部作の中で最も悲しいというか切ないっす(ノдT)。
    で、トランプに擬えてあるわけですから、
    13の短篇×4に加えてジョーカーが存在するんですが、
    この巻末に収録されたその2篇
    「影の狩人」「幻戯」が、全篇の中で一番好きです。

  • 400
    きらびやかな宝石の匣。だが開けてみると、肝心の宝石は消えうせ、赤い絹布の窪みだけが残っている。この匣は虚とか不在と名づけられるべき、天与の贈りものであろうか。戦争の傷をその後の人生に刻した三姉妹を美しい宝石匣の虚になぞらえ、妖美壮麗の小説世界を築く幻想文学の傑作。会心の連作集「とらんぷ譚」の完結編。

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著者プロフィール

中井英夫(なかい ひでお)
1922~1993年。小説家。また短歌雑誌の編集者として寺山修司、塚本邦雄らを見出した。代表作は日本推理小説の三大奇書の一つとも称される『虚無への供物』、ほかに『とらんぷ譚』『黒衣の短歌史』など。

「2020年 『秘文字』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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