- Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061856271
作品紹介・あらすじ
薄紫の香腺液の結晶を、澄んだ水に落とす。甘酸っぱく、すがすがしい香りがひろがり、それを一口ふくむと、口の中で冷たい玉がはじけるような…。アルコールにとりつかれた男・小島容が往き来する、幻覚の世界と妙に覚めた日常そして周囲の個性的な人々を描いた傑作長篇小説。吉川英治文学新人賞受賞作。
感想・レビュー・書評
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ほかの人ではなかなか体験できないエピソードがぎゅっぅっと詰まっていました。
けして笑い飛ばせるようなものばかりではないですけれど、共感できるものは多い(かな?)です。
政府への批判部分がありました。
お金を取りたいところから敢えてとっている、というくだりです。
お酒には多くの税金がかかっています。(その税金(酒税)にまで消費税が乗じられています。これは許せない)
街中にはお酒の誘惑が溢れ、魅惑的な宣伝が人を惹きつけている…
常習性に敢えて目をつぶり、税収を守ることに徹しているのだ。
お酒とは楽しくお付き合いしていきたいものですね。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
下戸なので、お酒に酔って心地よく感じたことが一度もない。これは残念な事だと思ってる。
けど 過度に飲み続ける怖さって凄いなと思った。
アルコール中毒は本人だけでなく家族をも壊してしまうんだ。想像した事もなかった。
しかし…
身体が弱りきるとフケも出なくなるなんて。そういうものなんだ(o_o) -
おそらく4回くらい読んでいる。
とことんダメ人間な僕にもそっと手を差し出してくれるような、そんならもさんのどこか優しい物語が好きだ。
今となってはとても古い小説だけど、色褪せることがない。
巻末の刷数を見て、この本売れたんだなぁとか思いながら、
同時に悲しさと寂しさも感じた。
僕はお酒は全く飲めないけれど、いい小説だなぁ。 -
ずっと前、そう学生の頃だったかな、今宵すべてのバーでという本を読んだ(まちがった)記憶があって、古書店でこの本を見つけた時に「今夜」?と思いながら購入しました。
中島らもさんの「明るい悩み相談室」はたのしみに読んでいた連載でした。この本のはじめの部分のアルコール中毒の記載には、ワタシにもあてはまる部分が多くてどんどん読み進みました。そだね〜こんなことあるね〜と自分を戒めながら、アル中の行く末について思いを馳せた次第であります。 -
アル中男の独擅場。泥臭くて、傲慢で…ああ、こんな小説が好きだと言ったら自分の性格を疑われそう
赤河医師がいい。
終わり方もすてき。 -
ナイトキャップ、連続飲酒、渇酒症、ウィークエンドドリンカー。
私も過剰摂取には気をつけなくては……。 -
重度のアルコール中毒である男性が
入院した病院内で様々な人々と話し
時には人の死にも直面しながら
アルコール問題と向き合っていく話。
要所要所で挟まれる
アルコールについての知識や情報が豊富なため
もし私が下戸でなければ
日頃の飲酒習慣についてギクッとさせられ
考え改めるようなこともあったかもしれない。
作中でも時折語られていたが
「飲めてしまう人」はセーブするタイミングや
きっかけがない分、本当に大変なんだろう…。
そして、酒の味を嗜む「酒好き」と
酒を何かの手段として愛飲する「酒好き」は
全くの別物だという説明、
全くもってその通りだな、と感銘を受けた。 -
ほろ酔いの中、読み終わった。
アル中のおはなし。
沈んで、沈んで、底について、見上げる。
首が痛くなるくらい遠くて、光すら届かなくて、苦しい。
道が横にも、ナナメにもつながってることに気がつくのはまだまだ先のことなのだろう。
沈んでいったそこにも世界があって、道がある。
ここにいるからこそ死ねる。
今日はもう少しお酒を。それが何になるとしても。 -
既に500件近いレビューが有るので箇条書き。
・著者のアルコール依存に関連した入退院を軸にした記録的エッセイ、かな。
・脚色してないか?と思うほど個性的な面々が登場する。
・"小説を読んでいる"気分になるが、事実なんだろうなあと思い直すことしばしば。
・自分も精神的にはアルコール依存なので他人事ではない気もするが、比較にならない。 -
>「自由」というのがどんな手触りで、いかなる気配のものなのか、おれは知らなかった。