新・平家物語(十五) (吉川英治歴史時代文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (478ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061965614

作品紹介・あらすじ

義経必死の腰越状も、兄頼朝の勘気を解く手だてにはならなかった。義経斬るべしの声は、鎌倉方の決意となってゆく。そして堀川夜討ちは、両者決裂の烽火であった。頼朝は大軍を率いて黄瀬川に布陣。運命の皮肉と言おうか、あのとき手を取り合った弟を討つための夜営になろうとは!この日から義経は失墜の道を歩む。波荒し大物の浦、白魔に狂う吉野山。悲劇は義経一人にとどまらない…。

感想・レビュー・書評

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  • 義経を斬れ。義兄頼朝から冷酷な沙汰が発され、平家討伐の功労者義経は途端に追われる身となる。家臣を愛し、静御前を愛し、何とかして兄の誤解を解こうと奮闘する義経の想いは届かなかった。弁慶など少数の仲間と逃亡生活を送る彼は、今何を思うのだろうか。

    後半は静御前。義経の子を身籠っていると判明した彼女だが、義経誘き寄せの囮にされ、白拍子として舞を踊らされ、子が男児であると判明した途端、子を由比ヶ浜の海中に沈められた。義経と頼朝の対立が無ければ、こんな悲しい運命を歩まなくても良かったのにと、悲しい気持ちになった。

    また、話の中で、麻鳥や西行といった武門から外れた人物の視点も入り、権力の移り変わり・終わることの無い争乱の虚しさを描いている。世間が荒れる時、常に苦境に立たされるのは平民である事は、現代にも変わらぬ真理である。

    次巻でラストとなる。結末に期待したい。

  • 義経討伐
    静御前の出産

  • 全巻で平家が滅亡したので、迫力のある合戦の描写はない。

    ここから先は義経の悲劇がメインなので読むのも辛い内容かと思ったが、案外楽しめた。

    結局のところ、「清盛 vs 後白河」から「頼朝 vs 後白河」の権力を巡る策謀の仕合へと変わっただけか。

  • 頼朝がついに義経討伐の兵を差し向け、義経は数少ない配下の武士たちとともに、各地を転々とすることになります。そしてついに、静御前との別れが訪れます。

    物語もいよいよ終盤ですが、文覚のほか、麻鳥と蓬子、朱鼻や吉次といった、サブキャラクターの動きがあわただしく、肝心の義経の影が薄くなってしまっているようにも感じました。

  • 吉野山 峰の白雪踏み分けて 入りにし人の後ぞ恋しき
    平家討伐の栄誉もままならぬまま、追われる身となった義経。長く続くことはないと心では知りながら、後を追う静。
    義経の必死の逃亡劇は、読むにつれ辛くなる。

  • 義経の逃避行。捕らわれた静、頼朝と政子の前での舞。そして……、この辺りは読んでいて少々つらい。

  • 本巻はまさに義経の逃避行を描いた書。宇治川、一の谷、屋島、壇ノ浦と連戦連勝してきた源氏の大将が、今や肉親の頼朝に追われる身。不運に不運が重なり、従者も弁慶や伊勢三郎など数人。愛妾の静とも今生の別れを果たす…。これでもかというくらい、悲哀を描いている。私個人的には戦記よりも人間模様の方が好みなので読みやすかったが。
    本巻では、久しぶりに西行が登場。彼も平時忠と同じく、第一巻から登場しているキャラクター。鎌倉の御家人、安達新三郎が義経と静の子供を沈めるよう命じられたものの、そのフリだけをして静ともども逃がしたというアングルにおいて、それを見た僧ということで登場していた。おそらく、これが最後の登場となるのだろう。出家する前は佐藤義清として清盛の若き頃の学友という設定だったのだが、今や69歳。いやはや、長い長い期間を描いた物語である。

    さて、いよいよ次は最終巻。最後、どんな終わり方をするのだろうか。弁慶と蓬の弟姉の再会はあるのか…?気になるから、すぐ読もう。

  • 京都をひたすら逃げ惑う義経一行。想い人の静も鎌倉の手に落ちと言う情勢です。昨日の英雄が今日は逆賊に。しかし、静の義経に対する想いの念には頭が下がります。この当時の女性と言うものも本当に強かったんだなと思いました。

  •  平安末期頃~鎌倉までの滅びゆく平家、源氏との戦いを描いた全16巻の大作です。

     続きが読みたくてつい夜更かしをしてしまう作品でした。

  • そのうち更新します。<BR>
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    2005年4月8日讀了

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著者プロフィール

1892年、神奈川県生まれ。1921年、東京毎夕新聞に入社。その後、関東大震災を機に本格的な作家活動に入る。1960年、文化勲章受章。62年、永逝。著書に『宮本武蔵』『新書太閤記』『三国志』など多数。

「2017年 『江戸城心中 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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