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- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061976436
感想・レビュー・書評
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堀江敏幸の編む金井美恵子の初期短編集。
鮮烈な色彩感覚で絵画的な美しさすら湛えた作品や、詩的イメージに富み「書くこと」そのものを問い直すボルヘスを想起させる作品、また後続する目白を舞台にした連作群に通ずる短編など多様な作品が収められている。
いずれの諸作においても、詩的感覚に律せられた美しい文体を自在に駆使し、時に時空が混在し混濁して極度の抽象性を帯びた幻想性と、ぬめぬめとぬめらかで体液の匂いすら感じさせる身体感覚とが同居している。白昼夢のさなかで彷徨う、薄明と黄昏のあいだのエクリチュール。
<i>“列車が轟音を立てて鉄橋を通過し、黄昏の最後の淡い白さが夜のなかにのみこまれ、丸い桃色がかった月が昇りはじめる。”</i>詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
タイトルと表紙にひかれて衝動買い。結果は大正解。金井美恵子さんの作品にはまるきっかけになった1冊です。本にも運命の出会いってあるんですね。収録作品はどれもお勧めですが、思考の流れを直接読むような「鎮静剤」という作品がお気に入り。