- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061982413
作品紹介・あらすじ
「生きてるのは、つまりは、長いあいだじっと死んでいれるようにと準備する為じゃ」という父の言葉にとりつかれたアディは、夫に、自分の遺体を父の眠るジェファソンまで運んで埋めるように遺言を残して死ぬ。家族六人は洪水で橋が流失した川を棺桶と共に渡る。十五人の五十九回にわたる内的独白からなるこの小説は、南部の貧農一家を立体的に描き出す。
感想・レビュー・書評
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3.72/118
『「生きてるのは、つまりは、長いあいだじっと死んでいれるようにと準備する為じゃ」という父の言葉にとりつかれたアディは、夫に、自分の遺体を父の眠るジェファソンまで運んで埋めるように遺言を残して死ぬ。家族6人は洪水で橋が流失した川を棺桶と共に渡る。15人の59回にわたる内的独白から成るこの小説は、南部の貧農一家を立体的に描き出す。』(「講談社BOOK倶楽部」サイトより▽)
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000168847
原書名:『As I Lay Dying』
著者:ウィリアム・フォークナー (William Faulkner)
訳者:佐伯 彰一
出版社 : 講談社
文庫 : 304ページ
メモ:
・英語で書かれた小説ベスト100(The Guardian)「the 100 best novels written in english」
・20世紀の小説ベスト100(Modern Library )「100 Best Novels - Modern Library」
・死ぬまでに読むべき小説1000冊(The Guardian)「Guardian's 1000 novels everyone must read」
・オプラ ブッククラブ『Oprah's Book Club』詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
序盤は、「あれ?『響きと怒り』に似てるな…」って思うんです。でも、『響きと怒り』ほど意識の流れを書いてる感じもないし、なんとなく読み進めていると、中盤から、もっというとアディの章から俄然すごくなってきます。なんかもう、あの章がほんとすごい。そもそもよく考えれば、死体が腐っても憑かれたように運び続けるというのが既にすごい設定なんですけど。
解釈して言葉にするのが難しいので、イメージを無理やり言葉にすると、フォークナー作品って、登場人物たちの肉体が業火みたいなもので燃えてる感じがします。で、その焔によって感覚と意識がパッと浮かび上がり、肉体が土に還るのとともに無になる。ジェファソンの土はそういう肉と血でできていて、皆そこから生まれ、そこに還っていくんです。
ヨクナパトーファのサーガを読んだのはこれが3作目ですが、時間をかけても全部読まなきゃいけない気がしています。 -
「やっぱり乾いたフォークナーよねー」なんつってたのに読み始めたら台風接近で連日雨じゃあないのっ。
嗚呼私って雨女、だった・・・
入学式も卒業式も遠足も入試も引越しも雨だったわ・・・まーこれもある意味、「水難」の話だし。いっか。 -
フォークナーらしい物語だ。混沌として血生臭い。だからこそ、人の決して心地よいだけではない、肌の温度が感じられる。母を弔うための過酷な旅は、家族らをその路面が体を揺らし消耗させるように、胸に仕舞ったはずの思いさえも揺さぶって、正気ではいられなくさせる。救済も無く、それまでの劇的な事件からは想像も出来なかったほど呆気なく訪れた物語の終わりには、思わず笑い出しそうになった。いや、これこそが生だと思う。この唐突さと、残酷さと、可笑しさが。これらを受け入れることが生きる術であると思う。
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日本語と英語、両方読みました。
この難解な本を日本語に翻訳された方は凄いと思いましたが、登場人物のしゃべり方が日本の田舎っぺ?みたいなしゃべり方にしてあったので、元のイメージに会いませんでした。
できれば英語で読んだ方が良いと思います。
ストーリーは本当に良かったです。始めは何が起こっているのかよく意味がわかりませんでした。でも読み進めていくとともに視界が晴れていくような感じでだんだん話に引き込まれました。話の書き方は部分部分で見たら無茶苦茶だけど全体で見たらまとまっている…そんなすごい本です。登場人物もやけにリアルで人間味があって気持ち悪いくらいでした。オススメ! -
<亡くなった母親の亡骸を遺志に従い、遠く離れたジェファーソンへ埋めに行く一家。
しかしそれぞれがおのおの、ジェファーソンへ行く別の目的を持っていて・・・>
著:ウィリアム・フォークナー
ヨクナパトーファサーガですがあまりつながりはないかも。
母の遺骸を埋めに行く一家の珍道中です。
家族のメンバーそれぞれが別の理由を持ってジェファーソンを目指していて、
早く埋めるべき亡骸は腐臭を放ち、
それを守ろうとしたり、「まっとうな」行動をしたりする息子達は様々な苦難にあう。
皮肉とブラックジョークにあふれたフォークナー独特の中篇。
こういうのもフォークナーは書いていたのか、という一作。
でも私が望んでいるフォークナーとは違うのでこの点数に。
でも傑作のひとつ。 -
アンスがひどい奴でどうしようもない。周りの人間もどこかおかしいが、アンスは飛び抜けている。フォークナーはどうしようもない人間をユーモアをまじえて描くのが上手い。
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なかなか読み進められず、しかも半分くらい進むまでは話もよく分からなかった。
でも、最後の4分の3くらいで一気に物語が進むというか分かってきて、ラストはかなり衝撃的というか脱力というか。
もう一度じっくり読んでみたい。 -
これから読みたいと思っているある本の構成が、フォークナーの「死の床に横たわりて」を基にしているのでは?という指摘を受け、とりあえず読んでみることにした。
フォークナーは最初の印象がとても悪く、その後、それを挽回したのだが、今回もまた少し逆戻りしてしまった。とても読みづらく、何度も中断し、やっと読み終わったという感じだ。
構成はフォークナーらしく、一筋縄ではいかない複雑なもので、それだけに読みづらい。「響きと怒り」より更に複雑である上、ストーリーがいまひとつ面白くない。南部のプア・ホワイトの愚行、そして天災といったものが主な出来事であり、読み進めていくと登場人物の現在の不可解な行動の説明になるような過去の秘密が次第に明らかになり、最後はちょっとした衝撃というか驚きで幕を閉じる。
この話は何とか頑張って最後まで読まないと面白くない。けれど、読み終わっても読み終わった達成感は味わえるものの、本当に面白い小説を読んだという満足感は得られなかった。