孟嘗君(4)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 109
感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (310ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062078955

作品紹介・あらすじ

食客説客、風のごとく去来する戦国の中国を、億万人に一人の清々しい声で相渉る。青年田文の愛と風格。

感想・レビュー・書評

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  • 時代はどんどん変化してゆく。その変化が田文の目を通して描かれている。一方、田文は肝心な時に家出していて、父・田嬰はヤキモキ。
    おのおの一芸に秀でた食客達が田文の元で活躍する中、最終巻へ。

  • (再読)話が進んでいるようでどうも盛り上がらない感じがする。

  • 第四巻
    春秋戦国をざっと体感している感じ
    田文と薄幸の隻蘭の交差を交えた物語
    昔馴染んだ中国史を思い出す(結構忘れている)

  • ―黄河をどう治めるか。
     それが太古からの帝王の悩みの種であった。黄河を制するものは天下を制するというのは過言で
    はない。

    ―わしがやろう。
     白圭は人民のために、その大事業にとりかかったのである。
     すでに工事ははじまっている。

     白圭はこの治水工事のまえに、病人や孤児を収容する家を建てた。放っておけば死んでゆく
    人である。本来、そういう人々には王や君主が恵じゅつの手をさしのべるべきなのである。しかし
    どの国の政府もその種のじゅつ民政策に国費をわりあてない。

    ―塗に餓ひょうあれど発くことを知らず。
     
    孟子は言説によって人民を救おうとしたが、白圭はみずからの手で仁義を表現した。
    「人によって儲けさせてもらった金だ。人にかえすのはあたりまえだよ。」
    白圭は田文に治水工事についてきかれたとき、そう答えた。
    白圭は商売がうまい。その儲けは莫大である。ところが白圭はその儲けを事前事業につぎこ
    んだ。そうなると白圭の商売は人を救うための色合いが濃厚で、それを知った人々は、どんな
    に白圭が大儲けをしても、かれを憎むことはしなくなった。
    「治水をはじめたいま、いくら儲けても、金は足りぬであろうよ」
    と、白圭は田文にうちあけた。
    ―王事だな。
    と、田文は感動した。白圭が治水事業にとりかかることは、剣客の呉立子からきかされてい
    る。実際、それがはじまったと知って、これは王者の事業だと思った。堤防が完成したから
    といって、白圭に一金のとくになるわけではなない。白圭の金は多数の労働者に慈雨のご
    とく降り、かれらのかわいたふところをうるおす。

  • 2008/7 再読

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著者プロフィール

宮城谷昌光
1945(昭和20)年、愛知県蒲郡市生れ。早稲田大学文学部卒業。出版社勤務のかたわら立原正秋に師事し、創作を始める。91(平成3)年『天空の舟』で新田次郎文学賞、『夏姫春秋』で直木賞を受賞。94年、『重耳』で芸術選奨文部大臣賞、2000年、第三回司馬遼太郎賞、01年『子産』で吉川英治文学賞、04年菊池寛賞を受賞。同年『宮城谷昌光全集』全21巻(文藝春秋)が完結した。他の著書に『奇貨居くべし』『三国志』『草原の風』『劉邦』『呉越春秋 湖底の城』など多数。

「2022年 『馬上の星 小説・馬援伝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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