- Amazon.co.jp ・本 (310ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062078955
作品紹介・あらすじ
食客説客、風のごとく去来する戦国の中国を、億万人に一人の清々しい声で相渉る。青年田文の愛と風格。
感想・レビュー・書評
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時代はどんどん変化してゆく。その変化が田文の目を通して描かれている。一方、田文は肝心な時に家出していて、父・田嬰はヤキモキ。
おのおの一芸に秀でた食客達が田文の元で活躍する中、最終巻へ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
(再読)話が進んでいるようでどうも盛り上がらない感じがする。
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第四巻
春秋戦国をざっと体感している感じ
田文と薄幸の隻蘭の交差を交えた物語
昔馴染んだ中国史を思い出す(結構忘れている) -
―黄河をどう治めるか。
それが太古からの帝王の悩みの種であった。黄河を制するものは天下を制するというのは過言で
はない。
―わしがやろう。
白圭は人民のために、その大事業にとりかかったのである。
すでに工事ははじまっている。
白圭はこの治水工事のまえに、病人や孤児を収容する家を建てた。放っておけば死んでゆく
人である。本来、そういう人々には王や君主が恵じゅつの手をさしのべるべきなのである。しかし
どの国の政府もその種のじゅつ民政策に国費をわりあてない。
―塗に餓ひょうあれど発くことを知らず。
孟子は言説によって人民を救おうとしたが、白圭はみずからの手で仁義を表現した。
「人によって儲けさせてもらった金だ。人にかえすのはあたりまえだよ。」
白圭は田文に治水工事についてきかれたとき、そう答えた。
白圭は商売がうまい。その儲けは莫大である。ところが白圭はその儲けを事前事業につぎこ
んだ。そうなると白圭の商売は人を救うための色合いが濃厚で、それを知った人々は、どんな
に白圭が大儲けをしても、かれを憎むことはしなくなった。
「治水をはじめたいま、いくら儲けても、金は足りぬであろうよ」
と、白圭は田文にうちあけた。
―王事だな。
と、田文は感動した。白圭が治水事業にとりかかることは、剣客の呉立子からきかされてい
る。実際、それがはじまったと知って、これは王者の事業だと思った。堤防が完成したから
といって、白圭に一金のとくになるわけではなない。白圭の金は多数の労働者に慈雨のご
とく降り、かれらのかわいたふところをうるおす。
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2008/7 再読