萌がさね: 藤原道長室明子相聞

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (415ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062081245

感想・レビュー・書評

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  • 平安時代の権力者藤原道長の妻、源明子の生涯を描いたもの。道長の妻といえば倫子のほうがいくらか有名だが、この明子も倫子に劣らず尊重されていた。道長がいかに明子を愛したかということばかりでなく、明子という女性から見た道長がどのような男性であったか、という点にも作者の興味が置かれているようである。日記も何も残していない女性を描くのは大変な作業である反面、自分の空想をフルに活かせるという楽しみがありそうだな…と思ってみたりした。

  • 藤原道長の妻・高松殿明子の目線の物語。「小右記」の藤原実資が初恋の相手とは中々大胆な設定と思いきや、道長と実資の確執や実資の案外な漁色の原因をここに寄せるのも、かなり説得力ありのような気もする。
    大胆と言えば、両親(源高明と愛宮)の結婚も、結構なロマンスにされている。そっかあ、愛宮、西宮殿に走って勘当か。
    当代一どころか歴史上見渡しても最強の亭主を持ち、その愛情を一身に受けながら、何かとしち面倒臭い明子の性格設定が、下敷きの史実から離れた深くて豊かな物語を作っている。
    こちとらが夫婦喧嘩中に読んだから、尚更なのかしら(笑)。

    最後に本性を見せた倫子に白けたが、妍子の忘れ形見の禎子が「萌がさね」で道長の見舞いに来てくれたから良しとする。

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著者プロフィール

1944年、福岡県北九州市生まれ。
同志社女子大学英文科卒業。商社勤務ののち、90年、尾形光琳の生涯を描いた「雁金屋草紙」で第一回時代小説大賞を受賞。
主な作品に、「あがの夕話」「後朝」「萌がさね」「想ひ草」「蔦かづら」「一葉」「漱石の妻」などがある。
また、近著の「兄いもうと」では、妹・律の視点から正岡子規の壮絶な生涯を描き切り、子規の解釈にも一石を投じた。

「2014年 『花筏 谷崎潤一郎・松子 たゆたう記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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