失楽園(下)

著者 :
  • 講談社
3.18
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本棚登録 : 190
感想 : 21
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  • Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062085748

作品紹介・あらすじ

たった一度の生だから、この人を永遠に自分のなかにとどめておきたい。男と女の性愛の真髄を描き、新聞連載中から圧倒的な反響をまき起した注目の文芸大作。

感想・レビュー・書評

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  • 本作の内容は、次のとおり。

    ---引用開始

    たった一度の生だから、この人を永遠に自分のなかにとどめておきたい。男と女の性愛の真髄を描き、新聞連載中から圧倒的な反響をまき起した注目の文芸大作。

    ---引用終了


    本作には、有島武郎の心中と阿部定の事件が、書かれています。
    著者の生年との関連を、確認しておきます。

    ・渡辺淳一(1933年10月24日~2014年4月30日)
    ・有島武郎(1878年3月4日~1923年6月9日)
    ・阿部定(1905年5月28日~没年不明)

    有島武郎が心中で亡くなったのは、著者が生まれる10年位前になります。
    それから、阿部定事件は1936年なので、著者が3歳位の時の事件になります。

  • これが、男の浪漫、というものなんでしょうか?
    中年の危機から、愛欲に溺れていく主人公の心理は理解できるものがあるし、どんどん深みにはまっていく心理過程の描写は流石と思うが。。。
    やはり、物語は、美しくあってほしい。

  • 下巻になり、ますます「死」を意識していく二人。
    これまでの逢瀬の場はシティホテルであったり、時々旅行をしたりであったが、渋谷にマンションを借りて自宅に帰らなくってからは、どんどん社会との繋がりが希薄になっていく。

    阿部定事件や有島武郎の心中に仮託して、二人の関係が「死」へ向かっていることが描かれているが、転げ落ちる印象が残る。

    作品中二人を「愛のエリート」と言っているが、最終的には二人の環境が二人を追い詰めていっている状況もあるので、薄っぺらく感じてしまうのも致し方がないのかも。

    共感出来る出来ない関係なく、社会現象となったこの作品は一度読んでおいても良いかと思う。

  • さらっと読めた。
    下巻はかなり重くて、だいぶ気が沈んだ。
    でもこんな出会いしたらきっと死しかもう残らないのかな。疲れた。

  • 恋愛の果ての一種です。壮絶でした。文章がうまいのか、上巻から臨場感を持って読めました。新聞で読んでいた時とは違ってのめり込みながら読めました。

  •  度を超えた純愛は、狂気にしか見えない。二人の愛がどこまで正常に見えるかは、読み手次第。
    自分は、とにかく怖かった。本人たちが異常なのか、周囲が異常なのか最早わからなくなって、誰にも感情移入ができなかった。それでも、ページを捲る手が止められなかった。

     心中は、愛し合う者たちにとって、なによりも美しい愛の形である。
    だから、なのだろうか。二人の死(=愛)を事務的に処理する検死書の文面が、とても残酷に思えた。

  • アイルケとの違いは、片方だけ死ぬか両方死ぬかってことだけ。

  • ドラマを見たのは20年近く前になるかな 笑

    改めて読んでみたくて読みました。
    内容的に賛否両論あるのだろうけど、私は好きな本です。

    自殺って聞くとダークなイメージがあるけど、やっぱりコレは2人が望んだ形だから良かったのかな。

    世間や周りに振り回されず貫いた姿勢は素敵な気がしました。

  • 死ぬところをちゃんと書かないのは逃げてるよね。何で最後もっと死と性とを突き詰めなかったのか。疲れてたのか、連載が新聞だったからか、それとも自分に求められていることがエロ描写だってことを、しっかり自覚しているからなのか。エロ描写はめちゃくちゃ興奮する。二人が少しずつはまっていくところも、ベタだけど、ベタという世界ではよく書けてるんだろう。でも、下巻の帯にかいてある文言のところ以外はただ丹念に追っただけで、酒飲んだときにフラフラ読むのがオチ。おっさんが読者の日経新聞に連載されてなかったら、ここまで話題にはならなかっただろう。

  • なんだかんだいって、すごいと思う。
    エロ小説とも読めるけど、究極の愛とも読める。阿部定と重なっていくところがぞくぞくする。そして終わりは案外あっさり。そのそっけなさが、死というもの。

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著者プロフィール

1933年北海道生まれ。札幌医科大学卒。1970年『光と影』で直木賞。80年『遠き落日』『長崎ロシア遊女館』で吉川英治文学賞受賞。2003年には菊池寛賞を受賞。著書は『失楽園』『鈍感力』など多数。2014年没。

「2021年 『いのちを守る 医療時代小説傑作選』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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