- Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062100274
作品紹介・あらすじ
一人の引きこもりの青年が体内に共生虫を飼っている。…絶滅をプログラミングされた種は、共生虫の終宿主となる。ある種が自ら絶滅をプログラミングするということは、生態系の次の段階を準備するということでもある。例えば恐竜の絶滅は次の生命環境のために、つまり次代の全生物の共生のために不可欠だった。共生虫は、自ら絶滅をプログラミングした人類の、新しい希望とも言える。共生虫を体内に飼っている選ばれた人間は、殺人・殺戮と自殺の権利を神から委ねられているのである。
感想・レビュー・書評
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2000年3月20日 第一刷発行 再読
この年の谷崎潤一郎賞 受賞
「変身」の毒虫から、読みたくなってしまい再読。
主人公は、自身の体内に、殺戮と絶滅を司る「共生虫」を宿していると信じている、引きこもり青年ウエハラ。彼は、インターネットコミュニティに繋がりを模索し始める。
ですが、この共生虫は途中でちょっと放置気味。ウィルスか寄生虫かと、期待していたのですが。
「共生虫」と共存しはじめたウエハラは、社会へ出て殺戮への道をしっかりと歩み始める。
ラストにインターネットコミュニティの人間の手記が書かれているが、明確な言語で崩壊した文章。読み手の思考も崩壊させそう。そして、最終章のウエハラは、明確な思考で崩壊していく。
まあ、希望は見えない小説です。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
主人公が体験を通して認識を深めていくさまが面白い。
ところどころに現実がちりばめられているからこそ、これが小説で良かったと思った。 -
まず言えるのは秀逸である
「主人公の男の世界」を書いたものであるということ
語られるもの
見えるもの
通ずるもの
それが全てであって全てではないのだ
著書は時節表現上で生々しい言葉がみられるが
これはあくまで「主人公の男の世界」なのである
もし、このレビューを見て読む方がいたら
全く別の角度から見る事が出来るので実に羨ましい -
村上龍の文章は、つまらない所を乗り越えての開放感・・・という快楽が大きい。 その快楽を求めてしまう麻薬のような作用こそ、この人の文章の凄い所だと毎回思う。 引きこもりの少年がネットでの1つの繋がり、つまり“リンク”を通じて覚醒されていく話。タイトルにもなっている『共生虫』は殺戮を求める寄生虫と文ではされていますが、ネット自体が共生虫。つまり、誰かと情報を通じて楽しみたい通じ合いたいというのが『共生虫』なのではないだろうか。無知というのはこれほど人を変えさせる。1つの繋がりから、どんどん外の世界へと向かう主人公。それがラストに見えるラインなのではないだろうか・・・と、ネットをやってる人間として色々考えさせられ、勉強になる作品です^^
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この作品は大好きで二度目の読書となった。
成長物語として読めるだろう。引きこもりの少年が、例え反社会的活動を行なったとしても、外に出て一人で活動を行えるようになったのだから。あたいはそうした変化が好きなのだ。悶々としながらも自分の力で前へ進む姿が不思議と感動を呼ぶ。毒ガスを介した自立でもだ。『おれはどこへでも行ける』 -
・・・ 星ゼロつ!
おっと、村上龍の作品にわ、こんなにおもしろいのがあったのだ、という事が発見できてのっっけは嬉しい感じである。
なんとなく『クリスタル』という本は読んだと思うが、後に村上春樹という同姓のへんてこな作家のせいで、いっしょに村上龍の方も読まなくなってしまったのだと思う。あとは、そうそう村上龍はテレヴィに少し出たりしたからかな。
うーむそれにしてもこの本1ページあたりの文字の数が多い。凄く多い。全然改行なしで文章はドンドン繋がってつづく。当然読みやすくはないなぁ。
いつも数冊の本をいっしょに読んでるいる。今回はそのうちの沢野ひとしさんの『花の雲』という本中の短編に「谷戸のアトリエ」というのを見つけていたので、この共生虫の中でも「谷戸」についての記述が時をほぼ同じくして現れたので少し驚いた。こういうことはめったに、いやまづ無いので。
そしてP264に達した時に全ては終わった。そうです急に字が小さくなりすぎてもう読めないのです。
村上春樹(わはは、わざとさ)はいったいなにを考えているのでしょうね。
そういうわたしもこれでは全部読んだ上での感想文ではないことが見え見えだけど、いいのだこんなしょうもない本はこれで。
すまなくもないわい、こんな本。