対話篇

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (250ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062115308

感想・レビュー・書評

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  • 二人の会話をメインに物語が進行していくから対話篇なのかな。
    そしてそこで語られる物語も、避けられない死と別れと喪失と運命と、命の対話のようで。
    運命は残酷なのに、ただただ美しく沁みる。

    「恋愛小説」はなんか村上春樹っぽいなーと感じながら読んだけど、
    真面目にくだらないことを言う感じが好き。
    死神と呼ばれている彼の思いも強くなりたい彼女の思いも切なくて泣ける。

    「花」はロードムービーのような走馬灯のような展開がうまい。
    最後はもううるうるでした。

    手を繋ぐって大切なことなんだよな。

  • 『対話篇』 金城一紀      講談社


    もともと金城さんは好きでしたが、これはタイトルから、難しい物を連想してしまい、読んでいませんでした。想像していたのと全く違って、しみじみと良い作品でした。

    3つの物語が入っているのですが、どれも引き込まれ、特に最後の「花」は、切なくて鼻の奥がツンとしてしまいました。

    一つ一つの話に浸ってしまい、どれも「恋」の話なのに、何でタイトルが『対話篇』なんだろう?と訝しく思う鈍い私。一晩たってから、3つの話が、全て二人の男性の「対話」で成り立っている事に思い至り、納得しました。

    それぞれに、死と生、男と女、運命を考えさせられる話でしたし、内2篇に、レコードのセンターラベルに《UNbreakable》とシールが貼られているにも関わらず、それが割れる話が出てきたのも、何か象徴的でした。

    これを読んで、対話とは男同士の物で、愛し合う男と女に必要なのは、手を離さないで居続ける事なのかも…。と思わされました。

    金城さんの書く人物の言動に、いつも心臓を締め付けられる様な愛着と憧憬を感じるのは何故なのでしょう。どうしてこんなに心惹かれるのでしょうか。私の場合、それが異性に対する憧れでは無く、自分が男なら、男に生まれていたら、と言う強烈なシンパシーを伴う物として迫って来るのです。

    金城さんばかり読んでいたら、私は本当は男に生まれて女を愛したかった、と思うようになりそうです。

  • 大学で空気のような男が唐突に話しかけてきた。彼は話をしたがった。まさか、日と話すのが久しぶりという男に付いていくなんて。僕は彼から驚きの話を聞くことになる。彼は、彼と親しくした人々(正確には彼に近付こうと
    した人たち)を死へと繋ぐ運命にいるらしかった。そんな彼がであった一人の女性との日々を、その終わりを僕は受け止める。(「恋愛小説」)
    癌で入院中の僕は母親に頼んであらゆる友人に見舞いに来てくれるように連絡を頼む。それは僕が死ぬまでにどうしてもやらなくてはならないことを、協力してくれる人間の募集だった。そんな頼みを聞いてくれそうな友人はなかなか見つからず、途方に暮れ始めたころ、知り合いではあるが親しくはない青年kが見舞いに来る。(「永遠の円環」)
    ある日突然のめまいで運ばれた病院で僕は頭に動脈瘤が出来ていることを知る。このまま放っておくと、次の発作で死ぬかも知れない、ただ手術をする過程で記憶を失うかもしれない。仕事も彼女も失った彼は、大学の先輩にある旅のドライバーのバイトを持ちかけられる。東京から1,2,3号線を進んで鹿児島まで車を走らせるという旅の相手は25年の冤罪事件を解決したばかりの老弁護士だった。(「花」)

    三篇を収録した短編集。久しぶりの金城作品。ゾンビーズシリーズのような疾走感は少な目。ただ噛み締める人生の節目の人々の対話はじわりと胸にきた。恋愛小説がこの中では好みの話だった。

  • この人の本は、文章が好き。
    内容じゃなくて、この人の文章を読むのが楽しい。
    島本理生みたいに気持ちいいわけではなくて、ちょっと伊坂幸太郎みたいな、純粋におもしろいの。
    始まり方と終わり方が特に良い。


    「恋愛小説」で教えてもらったこと。

    死はいつもとなりにあるし
    そうじゃなくてもいろんな理由で
    愛する人の手を離さなくてはならないかもしれない

    でも、手を離すってことはそれは相手を殺してしまうってことなんだって。
    だったら本物の死があったって、手をつないだままのほうがいい。


    そして、手を離してしまっても
    相手が本当に死んでしまっても
    手はつなぎなおせるんだ。

    ってことを「花」で教えてもらった。


    どれもすごーくキレイなのに哀しいラブストーリーで
    せつないけど幸せな気分になった。

    でもまだGOの感動に届かず・・

  • 3つの短編。

    会話のシーンが多いから対話編なのではなく、死ぬということと向き合うから対話編なのかなと思った。それもただの死ではなくて、身近な、大切なひとの死。
    だれかにとっては、ただの死、であっても、身近なひとにとっては本当に重要なことなんだといわれてる気がした。

    仲良くしてくれるひとが次々と死んでしまう死神のような青年も、
    もうすぐ死んでしまうのに恋人の仇を打とうとする青年も、
    何十年もかけて人生をかけた裁判に勝った弁護士も、
    色んな形で死と向き合って対話している素敵なお話だった。

    大学2年のときに読んだので再読だった。運命のひととは転んだときに出会うくだりがすごく好きだったのを思い出した。

  • 短編集として面白い

  • 10年くらい前に?読んだのですが、すごく面白かった記憶があったので再読。
    ハードルを上げすぎたのかもしれません…。

    いや、とても面白いし読みやすいし一気に読んでしまったのですが、大好きな金城さんの作品の中では普通かな…(絶対ハードルあげすぎた)

    「恋愛小説」が一番すき。
    大好きな人の側にどうなっても居たいと思った女の子と残酷な運命に翻弄される少年の話。
    大切なものの側に最後までいることを選んだ少年が幸せそうに笑った気持ちは、ちょっとだけわかるきがする。
    失うことを恐れずに求め続けることが出来たなら、それはとてもしあわせなことなのかもしれない。

  • 3/432

  • 号泣、感動という感想が多いが、自分にはそこまで大きく感情を揺すぶられる感じはなかった。
    まだまだ子供なのかも。
    内容自体は面白かった。文章はきれいだった。
    何年か後にまた読み返したいなあ

  • 短編一つ一つがちょっとずつリンクするのは
    読んでいておもしろかったです。

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著者プロフィール

1968年埼玉生まれ。慶應義塾大学法学部卒。1988年「レヴォリューションNo.3」で第66回小説現代」新人賞を受賞。2000年『GO』で第123回直木賞を受賞。

「2020年 『映画篇』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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